2025年01月18日

【薙刀式】新JIS、正直すごく良いと思ってないです

新JIS配列は「学習が楽」だと評価している。

だけど打鍵効率がすごく良いか、
使ってて良い配列か、と言われると、
qwertyより何倍もよいが、薙刀式より全然使いにくい、
と僕は考えている。


もちろん、いいところもたくさんある。

・左右交互打鍵メインなので打ちやすいこと。
・濁点がL位置にあること。
・濁音になるカナは左手にあるので、
 濁音は左→右と高速になること。
・拗音で最も使う「ょ」が単打カナにあること。
・頻度に配慮して、中段が打ちやすいこと。
・小ぁぃぅぇぉは端に規則的にあって、
 覚えやすいこと。
・スペースキーによる連続シフトで、
 扱いやすいこと。
 (先行する親指シフトにくらべて、
 左右の混乱のない1キーで、
 同時打鍵の技術が必要ないこと)
・「っ」「る」が打ちやすいNM位置にあり、
 ここをハブにした運指が打ちやすいこと。

・2面しかないので、3日で覚えられること。
 実戦にすぐ出れるのは最も評価できる。

などが評価できる。

だけどそこ止まり、というのが僕の評価だ。
以下に批判点をあげる。

・アルペジオを活用してないこと。
・「ん」がU位置で打ちづらいこと。
・TYやQも使うこと。
 特にQ「そ」、T「ょ」は使いにくい。
・「な」が小指外:位置(;位置よりさらに外)であること。
 「ない」など「な」は頻出なのに、ここはないわ。
・「して」のDR、「こと」のXFは大変打ちづらいこと。
・外来語に弱いこと。
 これは調査ソースが教科書文体に限られたことが大きい。
・「ー」がシフト側。
 外来語で最も使うのが実は「ー」だ。
 この配慮がなさすぎること。

・シフトキーをスペースキーと兼用する設計を捨てて、
 小指シフトキーで実装した改悪。

設計通りの「シフト兼スペース」ではなく、
スペースはスペース、シフトはシフトで実装したのは、
天下の阿呆仕様だ。
「タイピングに用いていない親指を活用する」
発想が、何も伝わってなかったんだろうな。
実装の意味が全くなかった天下の阿呆だ。

ただ、それを差し置いても、
ベタ褒めするほど出来がいい配列ではない、
と僕は考えている。



Twitterから。
> かな配列は新下駄とか他の配列のほうが人気あるみたいだけど新JISにかっこよさを感じてしまう。かしこい人達が研究して作った配列だから。

なので新JIS、全然かしこいとは思えない。

「左右交互を実現するために、
連ならないカナを見つけて2グループにして、
それを両手に振れば、同手連続を最小化できる」
まではかしこかったよ。

あと、
「面は2面を限界にすれば覚えやすい。
スペースキーを1個だけのシフトキーとして、
両手親指で使えるようにしよう」
というセンターシフト思想はかしこかった。
薙刀式でも採用してるくらいだ。

だけどそれ以外のかしこさを見出すことはかなり難しい。

いくつもバージョンをつくって試打することや、
女子大生バイトを雇って、
試打させることくらい普通にやるだろ。
(しかもこの時は国策であったのに、
バイト7人なんでしょ?少なくない?
100人くらい調査にかけるべきじゃない?)

その時に、問題を発見したとしても、
言語化できた女子大生はいたのだろうか?
その辺の開発経緯の詳細は残ってないので、
アリバイのために女子大生にやらせただけに見えるんよね。

つまり、アイデアの当初はよかったのに、
実装が場当たりで、問題点のフィードバックが出来てない、
「考えオチ」になってるんだよな。
21世紀の万博とか東京五輪みたいな感じだ。

しっぽまで餡子が入ってなくて、
口先だけに餡子が入ってる感じ。
だから末端で壊死したのだと思う。



僕は二週間ほど新JISを使って、
上のような評価をしている。
最も耐えられなかったのが「な」だ。
カナだけを打つなら耐えたかもしれないが、
実際はエンターやBSを右小指で取るわけで、
もうその時点で無理だった。

エンターやBSを人差し指に入れたカタナ式のほうが、
よっぽど全体を考えてたわ。

カナ配列のカナ部分をユニット化して、
JISキーボードに埋め込むという、
ユニット化思想はそもそも間違いだと僕は考える。
だってエンターやBSは10%ほど使う、
最も使うキーだからだ。
極論FJに置くくらいの頻度だからね。


そんなことを考えてなかった新JISは、
たいしてかしこくなかった、
というのが僕の評価。

ATCの動画で初めて新JIS打鍵動画を見たが、
小指シフトは無理すぎるだろといまだに思う。
(そもそも一日何千字なんて設計してないのかもしれないが)

反論があればどうぞ。
僕は一日2万字を平気で書ける道具がほしい。


それでもqwertyより何倍もマシで、
習得難易度の低さから、
僕はカナ配列の十傑に入れている。

そもそも新JISの意義は、
「全国民にブラインドタッチを」
だった。
それを実現できる難易度まで下げて、
その代わり上の方は無視したのだと評価している。
なにせ目標は600字(変換後)/10分。

もしこれがちゃんと普及していたら、と時々想像する。
もっとみんなデジタルでコミュニケーションが取れてた世界になったかもね。
posted by おおおかとしひこ at 20:57| Comment(3) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
新JISは非常に優れた配列とは言いにくいですが、当時の設計思想や理念を考えると、普及せずに廃止されてしまったのは惜しいなあと思います。

実は二ヶ月くらいかけて「ことのは配列がどれくらいの連接をカバーしているのか」を調査しまして、その中で参考値として新JISも調べたんです。これがなかなか面白いデータが取れまして、新JISの凄さを改めて実感しました。

この調査内容は全てまとめてあるので、後はnoteにアップするだけなんですが……ここに薙刀式のデータも掲載してもいいでしょうか?
連接のデータベースは岡さんが集めたものを使用しています(許可を頂いています)。
https://github.com/oktopus1959/wikipedia_ja_ngram
データの集計方法はちょっとややこしいので省略させてください。
記事を公開するときは薙刀式の簡単な紹介とともにブログのリンクも添えます。
よろしくお願いします。
Posted by myomyomyo at 2025年01月21日 20:54
>myomyomyoさん

全然いいですよ。
結果に興味があります!
Posted by おおおかとしひこ at 2025年01月21日 22:48
ご快諾いただきありがとうございます。
ホームページ欄に記事のURLを記載しました。
約2万字もありますが、面白い内容になっていると思います。
記事にあるグラフの画像は自由に使用してください。
Posted by myomyomyo at 2025年01月22日 19:01
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