2025年04月24日

「おもしろい」の中には「たのしい」があるかも知れない

おもしろい話とはなんだろう。
一つのことではなくて、
複数のことを「おもしろい」と言っている可能性がある、
ということまでしかわかっていない。

で、その成分には、「たのしい」がある可能性はある。

別に、楽しくなくても、面白い話はいくらでもある。
悲劇や静かなものや、真面目なやつもあるわけで、
楽しくなくても面白いと思う。
シリアスやハードなやつは楽しいとか言っている場合じゃない。
だけど、「たのしい」というのが全面に出ているだけで、
おもしろいと感じる人はいるだろう。

たとえれば、芸人がおかしな顔をしているだけで、
「面白いギャグ」と勘違いする人がいるようにだ。

つまり、「おもしろい話が見たい」というのではなくて、
「たのしい気分になりたい」のである、
ということが言える。

悲劇で人が死んで、復讐する暗い話だとしても、
人間の真実を抉り、面白い話は書くことができよう。
しかしそれは「たのしい気分」が欲しい人にとっては、
いらないものであろう。


たのしい話ってなんだろう。
たのしいシチュエーションのことだろうか。
たのしい道のりのことだろうか。
あんまり苦労しなさそうだ。
辛気臭くはなさそうだ。
それで人間の真実を描くことができるかはわからない。
浅い話になる気がするけど、
たのしくえげつない話は書けるかもしれない。
(一種の狂気かもしれない)

「時計仕掛けのオレンジ」は、
たのしい雰囲気での狂気だから、
これはこれでおもしろいと言えるが、
たのしいのが欲しい人は、こういうのは求めていないだろうね。
「フルメタルジャケット」のラストはミッキーマウスマーチだけど、
これは狂った戦争の中のたのしい狂気で、
「時計仕掛けのオレンジ」と同じ意味だね。
もちろん、これもたのしいのが欲しい人はいらないだろう。


たのしい気持ちになりたいときに映画を見るのかはわからない。
そもそもそういう映画の見方があるかもわからない。
だけど、たのしい映画はおもしろいことはあるだろうね。

たのしいときはどんなとき?
好きな人と遊ぶとき?
たのしい遊びをするとき?
ラッキーなことが起きるとき?
得するとき?
明るいとき?
たのしい音楽が流れて、たのしんでいいよ、という雰囲気のとき?
心配やネガティブなことがなく、ここはパラダイスですよ、
というときかな?

シュガーコーティングというテクニックがある。
ほんとうは苦いことなのに、
一見たのしくあまーいものでコーティングして出すやり方だ。
そういう顔をして嘘をつくのも、
我々の手口かもね。

「ミリオンダラーベイビー」を、
老人と女ボクサーがチャンピオンを目指す熱血物語!
とか楽しい風にだましている文句を見たことがあるが、
そういうのはネタになるわけだ。


たのしい映画ってなんだろう。
死なない映画?
踊る映画?
ハッピーエンドの映画?
雰囲気?
そんなことを考えながら、
「たのしい成分」を入れると、おもしろいと言われるかもしれないね。
シュガーコーティングした狂気でもいいし、
本気でたのしみにいってもいいよ。
インド映画は、本気でたのしく、本気で悲しくやってる。
(だから疲れる)


どうせ君はたのしそうと思われる人ではないだろう。
だったら、たのしそうでモテる人を出したり、
世界がたのしくなればいいのだ。
陽キャたちを観察して、
たのしい世界を描いてみよう。
浅いとバカにするよりも、それをマスターしたほうが、
自分の武器になるかもしれないよ。


たのしい人はモテる。たのしい映画も売れる。
たぶんそう。
posted by おおおかとしひこ at 08:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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