2025年04月25日

メンツとイコン

遊ぼう。何して遊ぶ? 誰と遊ぶ?

実際の遊びでは、誰が来るかが大事で、
何して遊ぶかはほとんど重要ではない。

飲みに行こうぜ、でもカラオケでも、
ディズニーでも、喫茶店行こうぜ、
でも成立する。


一方、
物語はそうではない。
何をして遊ぶかが重要だ。

事件、解決、テーマというストーリーが、
物語の価値である。

だけど、キャスティングというものがある。
みんながよく知ってる人気芸能人たちが集まれば、
それは映画の客寄せパンダになるわけだ。

ここに、「遊びに行く」感覚が加わる。

遊びに行くときに、
メンツが重要で、
何して遊ぶかは重要ではない、
ということになるわけだ。

誰と誰が来るかが重要で、
何して遊ぶかはほとんど重要ではないと。


バラエティで人気芸能人が集まって、
何かしらのゲームに挑むものがあるよね。
それと同じになるわけだ。

初めて絡む芸能人ならば、
座談会(お茶)だけでも成立するだろう。
しかしこなれてきたら、
こんどどっかに遊びに行きましょう的なノリで、
なにかのゲームをするかもしれない。

それを見る側、疑似体験する側からしたら、
何して遊ぶかは興味の1で、
誰が遊ぶかが興味の9なんじゃないか。

誰と誰が仲いいとか、
誰と誰が付き合っているとかが9で、
何してるかは1くらいじゃないか。
なんなら何でもいいや、
付き合ってやることはひとつだから、
誰と誰が、が10でもいいくらいだよね。


ということは、
「何をするか」が重要ではなく、
「誰と誰が集まっているか」しか、
重要でなくなっているわけだ。


ブロッコリーポスターは、
つまりはそういうことになる。
何をするかはどうでもいいと。

なぜそれが生まれるのか?

「誰と誰が集まっているか」
より面白い、
「何をするか」を、
提供できていないからだ。


もし、「何をするか」のほうがおもしろければ、
それがポスターになるわけだ。
巨大鮫が海を泳ぐ女性の下から口を開けるほうが、
ロイシャイダーが出るより面白いってなっているから、
ジョーズのポスターは成立しているわけだ。

つまり、
映画にはストーリーというアトラクション性と、
スター大集合という、
二種類の客の引き方があるということになる。

アトラクション性がスター性に負けていれば、
ブロッコリーにしかならない。


そのアトラクションは、
金をかければ用意できる。
つまり、ブロッコリーは、
金がない映画のときにおこる。

もっとも、
金がないアクラクションでも、
金があるアトラクションなみに、
面白いものができる可能性はある。
アイデア勝負というやつだ。

分かりやすいのは「キューブ」で、
立方体で出来た迷路に閉じ込められた人々の脱出話だが、
その立方体のセットは一つしかなく、
ライティングやアングルで、
それらが無限につながっているように見せていた。
金がなくても、
アイデアでアトラクションはつくれることの、
良い例だと思う。

アトラクションじゃなくてもよい。
普段ないものがそこに存在する、
というのは「物体」でなくてもよい。
事件、黒い闇、おもしろい出来事、
なんでも構わないわけだ。

そこに興味がひけるほどのものを作れていないから、
ブロッコリーに頼らざるを得ないわけだ。

(そして、ブロッコリーが増えた理由は、
まさに企画が枯渇していることの証拠だ)



何して遊ぶ?
我々はそれを考える人である。

誰と遊ぶかは、
プロデューサーが集めてくればいい。

〇〇して遊ぶから、
メンツ集めてよ、
というのが我々の仕掛けというものだ。

〇〇と〇〇を集めたから、
遊ぶ内容考えてよ、
という依頼よりも、
先んじて考えることだ。

ロイシャイダー押さえたから、
巨大鮫との死闘で遊ぼう、
とはならないでしょ。
遊ぶ内容からつくらないと。


いつものメンツに、
今日はニューカマーがいます、とか、
〇〇は今日来れないんだけど、
かわりに〇〇が来ましたーとか、
それだけで楽しくなったりするよね。
パーティーというのはそういうものだ。

我々はパーティーで遊ぶ内容を、
考えるのだ。


パーティーの内容、
つまり酒とクラブ貸し切りでダンスなのか、
ディズニーへ行くのか、
巨大鮫が来るのか、
とある事件を追うのか、
がイコンになる。

そのパーティーに誰が参加するのか、
がメンツになる。


メンツは時の人を集めればよい。
我々はどういうイコンを新しくつくるかを、
やるのだ。

世の中が写真で消費されて久しいので、
新しいビジュアルをつくることは難しい。
だが、まだイコンはつくれるよ。たぶん。
posted by おおおかとしひこ at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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