そういえば不思議なんだけど、
僕が批判したいのはあくまでqwertyローマ字であって、
qwerty英語には興味がない。
だが日本語入力としてのqwertyローマ字を批判しても、
「qwertyはタイプライター時代、文字を遅くするようにしたものだから…」
と英語の話になるのは、なぜなのだろうか。
それは、qwerty英語という配列の成り立ちしか説明していない。
(「わざと打ちにくくした」のはデマだ。
上段母音、中下段子音でアルファベット順に並べた配列から、
数回の文字入れ替えをしただけの配列であることが、
安岡さんの著書で検証されている)
「日本語としては効率の悪い形をしているqwertyを、
ローマ字用につくった愚」をこそ、
僕は批判したいのだ。
タイプライターの時代のqwerty英語の効率の悪さなんてどうでもいい。
もし英語の効率のよい最高の〇〇配列が出来たとして、
その〇〇配列を用いたローマ字が、
日本語として効率がよいわけがない。
日本語のローマ字表記は、
英語から見て異様だと思う。
全然違う音韻体系を持っているからね。
簡単な例をあげると、
英語でもっとも使う字はEだが、
日本語ローマ字で使う字はAだ。
英語だとqwertyは左中指上段をもっとも使うわけで、
それ自体はまあ合理の範囲だと思う。
だけど日本語ローマ字において、
もっとも使うキーが左手小指に当たっているのは、
不合理の極みだと思う。
この差異がある両者の配列を同一視して、
「qwertyはタイプライターがジャムらないようにしたから、
(日本語ローマ字が)打ちにくいのは当たり前なのだ」
と言っている人は全員頭が悪いと思う。
仮にその説を認めたとしても、
英語で打ちやすい/打ちにくいと、
日本語ローマ字で打ちやすい/打ちにくいは、
別の指標のはずだ。
なのに同一視をしている人が多い理由が、僕にはわからんのよね。
英語は打ちにくいかもしれないが、日本語とは違う事情よね?
と思う人がなぜいないのだろう?
英語は数文字置きにスペースを挟む言語だ。
日本語でスペースは段落冒頭でしか使われない。
英語は文頭が大文字になるが、日本語はそうではない。
英語でもっとも使う連接はER, REだが、
日本語ローマ字でもっとも使うのはYOUだ。
ローマ字は子音が二つ連続するのは、促音と拗音しかなく、
子音の次に必ず母音が来る。
英語は子音は様々に連続しうるし、
母音のあとに子音で終わるものもある。
これらの音韻構造や頻度構造も異なるふたつの言語で、
打ちやすさ/打ちにくさがなぜ同じになると信じるのだろう?
打ちやすさに関する知識、言語に関する知識がない、
あまりにも暴論ではないか。
というか、そうでも理解しないと、
手元のqwertyローマ字の効率の悪さを説明できないのだろう。
まさか効率の悪いqwerty英語に、
輪をかけて効率を悪くしたqwertyローマ字を使っていて、
それが標準化しているということを認めたくないのかもしれない。
それを甘受するほど日本人はバカではないと。
だけど様々な調査によって、
対抗馬の配列の出来が微妙だったので、
qwertyローマ字に収束せざるを得なかったことが分っている。
JISカナは過酷すぎるし、
親指シフトはブラインドタッチ必須だし、
新JISもブラインドタッチ必須で、
サイトメソッドをやるにはカナが多すぎて探せない。
qwertyローマ字が、
もっとも目で見て探すのに最小の文字数だったから、
という理由で普及したことが調査によって分っている。
打ちやすい/打ちにくいなどで決まったのではないのだ。
タイプライターで英語が打ちにくいことと、
qwertyローマ字で日本語が打ちにくいことは、
因果関係はない。
キーボードごときで打てない複雑な日本語を打つための、
魔改造としての暫定処置であったqwertyローマ字が、
文字を探すのに有利であったから、
スタンダードとして定着して動かせなくなっただけだ。
(魔改造好きの日本人が、
本来なら難易度の高すぎるqwertyローマ字のブラインドタッチを
マスターしてしまったから、
余計に不満を潰してしまったことも大きいと思う)
精度の高い議論をしようぜ。
2025年03月03日
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