2025年03月03日

【薙刀式】qwertyローマ字を批判するときに、なぜqwerty英字の成り立ちを使うのだろう?

そういえば不思議なんだけど、
僕が批判したいのはあくまでqwertyローマ字であって、
qwerty英語には興味がない。

だが日本語入力としてのqwertyローマ字を批判しても、
「qwertyはタイプライター時代、文字を遅くするようにしたものだから…」
と英語の話になるのは、なぜなのだろうか。


それは、qwerty英語という配列の成り立ちしか説明していない。
(「わざと打ちにくくした」のはデマだ。
上段母音、中下段子音でアルファベット順に並べた配列から、
数回の文字入れ替えをしただけの配列であることが、
安岡さんの著書で検証されている)


「日本語としては効率の悪い形をしているqwertyを、
ローマ字用につくった愚」をこそ、
僕は批判したいのだ。

タイプライターの時代のqwerty英語の効率の悪さなんてどうでもいい。
もし英語の効率のよい最高の〇〇配列が出来たとして、
その〇〇配列を用いたローマ字が、
日本語として効率がよいわけがない。

日本語のローマ字表記は、
英語から見て異様だと思う。
全然違う音韻体系を持っているからね。


簡単な例をあげると、
英語でもっとも使う字はEだが、
日本語ローマ字で使う字はAだ。
英語だとqwertyは左中指上段をもっとも使うわけで、
それ自体はまあ合理の範囲だと思う。
だけど日本語ローマ字において、
もっとも使うキーが左手小指に当たっているのは、
不合理の極みだと思う。

この差異がある両者の配列を同一視して、
「qwertyはタイプライターがジャムらないようにしたから、
(日本語ローマ字が)打ちにくいのは当たり前なのだ」
と言っている人は全員頭が悪いと思う。

仮にその説を認めたとしても、
英語で打ちやすい/打ちにくいと、
日本語ローマ字で打ちやすい/打ちにくいは、
別の指標のはずだ。
なのに同一視をしている人が多い理由が、僕にはわからんのよね。

英語は打ちにくいかもしれないが、日本語とは違う事情よね?
と思う人がなぜいないのだろう?


英語は数文字置きにスペースを挟む言語だ。
日本語でスペースは段落冒頭でしか使われない。
英語は文頭が大文字になるが、日本語はそうではない。
英語でもっとも使う連接はER, REだが、
日本語ローマ字でもっとも使うのはYOUだ。
ローマ字は子音が二つ連続するのは、促音と拗音しかなく、
子音の次に必ず母音が来る。
英語は子音は様々に連続しうるし、
母音のあとに子音で終わるものもある。

これらの音韻構造や頻度構造も異なるふたつの言語で、
打ちやすさ/打ちにくさがなぜ同じになると信じるのだろう?
打ちやすさに関する知識、言語に関する知識がない、
あまりにも暴論ではないか。

というか、そうでも理解しないと、
手元のqwertyローマ字の効率の悪さを説明できないのだろう。
まさか効率の悪いqwerty英語に、
輪をかけて効率を悪くしたqwertyローマ字を使っていて、
それが標準化しているということを認めたくないのかもしれない。
それを甘受するほど日本人はバカではないと。

だけど様々な調査によって、
対抗馬の配列の出来が微妙だったので、
qwertyローマ字に収束せざるを得なかったことが分っている。

JISカナは過酷すぎるし、
親指シフトはブラインドタッチ必須だし、
新JISもブラインドタッチ必須で、
サイトメソッドをやるにはカナが多すぎて探せない。
qwertyローマ字が、
もっとも目で見て探すのに最小の文字数だったから、
という理由で普及したことが調査によって分っている。

打ちやすい/打ちにくいなどで決まったのではないのだ。



タイプライターで英語が打ちにくいことと、
qwertyローマ字で日本語が打ちにくいことは、
因果関係はない。

キーボードごときで打てない複雑な日本語を打つための、
魔改造としての暫定処置であったqwertyローマ字が、
文字を探すのに有利であったから、
スタンダードとして定着して動かせなくなっただけだ。
(魔改造好きの日本人が、
本来なら難易度の高すぎるqwertyローマ字のブラインドタッチを
マスターしてしまったから、
余計に不満を潰してしまったことも大きいと思う)

精度の高い議論をしようぜ。
posted by おおおかとしひこ at 18:47| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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