2025年02月28日

【薙刀式】幾何学的配置は、崩れていく

規則的配置とは、幾何学的に並んだ形のことである。
50音順は行と段にマトリックス的整理をしたものだし、
濁音隣置や上下左右にベアをつくるものなどは、
幾何学的配置にして、整理したものであるはずだ。

だけど、これが指の生理と喧嘩すると思う。


たとえば大西配列の右手部は、
中段に清音子音、
その下段にその濁音を並べた、
幾何学的配置をしている。
この整理はわかりやすく、
元を辿ればSKY配列につながる伝統的アイデアで、
そう整理されたほうが、
わかりやすくてよい、と考えるのは当然だ。

だけど、指はそのように整理されないのよね。

中段の指と、下段の指をペアとして結びつけられる感覚は、
4指で等価ではない。
人差し指、中指でその感覚をつくることは可能だけど、
それを薬指小指に拡張は、すぐにはできない。
ここで修練が必要になると思う。

指は内→外の感覚(またはその逆)も持っている。
だから人差し指と薬指に清音、中指と小指に濁音、
というやり方だってできるはずだ。

指の生理からすると、こっちの方がいいまである。
だけど、
視覚的、幾何学的には、
清音と濁音が混在しているように見えて、
「整理されていない」と判断してしまうだろう。


配列は指の感覚100%であるはずなのに、
アイデアや判断は視覚によってなされてしまう。
ここに誤謬の種がある。
(初心者が配列図を見ながら打つ間違いも、
同じ根っこだろう)

僕はJIやMKのような、
指の長さを利用したアルペジオは速いと思うのだが、
長らくこれは発見されていなかったと思う。
少なくとも80年代は知られてなくて、
親指シフトやTRONや新JISに、
それらを積極利用しようとした痕跡はない。
まだ、目で見て判断してたことが想像できる。


で、
この視覚的整理でまず考えてしまうものだから、
配列をつくるときに、
視覚的整理されたものをまず考えてしまう、
という初手の誤りがあるような気がする。

薙刀式の編集モードでは、
行と列のカーソルを分離して、
頑なに十字カーソルに置いていないが、
それは視覚的整理を捨てて、
指の生理に従った配置なのだが、
ぱっと見理解できないのがつらいところ。

ぱっと見で指の生理を想像できる人しか、
その価値をわからないんだろうなーとは思っている。
でも使えば便利なんだがね。

これを、初手十字カーソルにしてしまったら、
得られなかった機能がたくさん出てきてしまう。

欲しい機能で逆算して配置するべきなのに、
視覚的整理を優先させてしまうミスがあるわけだ。

で、
ここからが卵と鶏になるんだけど、
指の生理で判断するには、
指の生理でつくられた配列を使わないとわからなくて、
そのループに入らないと、
視覚のループから出られないのよね。

僕は配列図ではなくて、
指の感覚で配列を作るべきだと考える。

配列図を書くのは、
網羅できてるかの最後のチェックでいいんじゃないか。

あ、X位置に何も置いてないわ、
なんてことも指の生理からしたらありそうだ。

でも指の生理からしたら、QPTYに何も置かない、
は全然ありそう。


つまり、
仮に幾何学的配置で配列をつくっても、
使ってるうちに「これはこっちにいた方が…」があり、
改訂が重ねられていくうちに、
幾何学的配置はくずれて、
指の生理に従うものへと変化することがあると思う。

で、初めてキーボードを見た時の、
「なんでぐちゃぐちゃに文字が並んでるの?」
と同じ感想を、
他の人から持たれてしまうというね。


おそらく、
完全に幾何学的配置にして、
頭をスッキリさせるか(大西配列の立場)、
指の生理にしたがって、
ぐちゃぐちゃに見えても最適化されているか
(新下駄や薙刀式のような立場)、
の二択だと思う。

行が近くにぐにゃぐにゃに置いてあるJISカナは、
論外中の論外だ。
設計思想の背骨が接木してある。
使う者に受け入れられようとしてなくて、
上司にハンコを押させるための配列になっている。


というわけで、
僕としては指の生理で配列をつくろうぜ、
そのほうが最終的には快適なものができるよ、
と書いておくことにしたい。
人はカナ配列どころか漢直だってできる。
見た目の不規則配置は、指の生理が出来てればなんとでもなるはずだ。
posted by おおおかとしひこ at 13:08| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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