上級者と初級者の何が違うのだろう。
経験の差だろう。
もちろん、出力技術の差もあるが、
まず重要なものは、同じものを見ても認識する、
入力の目が異なることだ。
上級者は例外なく決断が早い。
それは、「見たらわかるから」だといえる。
初級者がおたおたしながら考えて、
ああでもないこうでもない、
と考えあぐねている間に、
上級者は「これ」と認識して、
その対処法を一瞬で決断する。
迷ってもいない。状況が明らかだからだ。
なぜ上級者はそうなのか、を考えると、
現状分析のパターン化が進んでいるからだと思う。
こういう時はこう、がわかっているわけだ。
ああ、それね、ハイハイじゃあこれね、
がスムーズにいくわけだね。
知らない事態というのはない。
大体これとこれとこれの組み合わせかー、
と一瞬で分解できるので、
対処法がこれとこれとこれとに対処できればいいんでしょ?となるわけだ。
それを知らない初級者は、
すべてが初めての事態だから、
あわあわして対処が遅れ、
いつまでも決断できない、
分析も進まない状況になっているのだと考えられる。
さて。
あなたは脚本において初級者から始めた。
どうすれば上級者になれるだろうか。
経験を積め、としかいいようがない。
いろんなパターンを書き、いろんな問題をクリアして、
パターンにまで落とし込め、としかいいようがない。
こういう時はこう書くのだ、
こういう時はこう展開するのだ、
こういう時はこう落とすのだ、
などなどの例を豊富に経験しておくしかない。
それらが多いほど、それらが長いほど、
パターン認識は早くなるに違いない。
注意してほしいのは、
そのパターン認識は、
「パターン」の時だけということだ。
つまり、ベタな、よくある状況、ということだ。
ベタの対処法だけはいっちょまえになるわけだ。
だから、
上級者でも、初めてのバターンや、
初めてのシチュエーションだと、
戸惑うし、初心者みたいにあせり、
間違えることもあるというわけだね。
ここから先は上級者向けの話なのだが、
人間は誰しも人生の初心者である。
初めての恋をして、初めての人生を生きる。
その初々しさを、上級者として描くべきだぞ、
ということだ。
人生に慣れている人を描いても面白くない。
ハイハイこれこれ、とすぐに処理してしまう。
そうじゃなくて、
上級者も知らない、
はじめてのパターンで、
人生初心者のように戸惑うさま、
おっかなびっくり進んでいくさまを、
初心者を観察する上級者のようにして、
書くべきなのだ。
つまり、
「初めての事態」に、
さっさと辿り着くために、
いつものやつの処理速度をあげるのだ。
結果、上級者は、
つねにうぶなことで悩むのだ。
2025年05月24日
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