と思ったので議論してみる。
これが言われたときは、
ローマ字=qwertyローマ字、
カナ=JISカナ、
のことを意味したのであって、
その他のローマ字による入力方式(行段系のような)や、
その他のカナによる入力方式(親指シフトやカナ系新配列)は、
想定されていないのではないか?
たとえば以下のようなツイート。
> 会社の同僚で同人字書きをしているかな打ちの男性がひとりいるんですけど 他の同僚に「なんで字書きってかな打ちが多いの?」て言われて「親指シフトには敵わないけど絶対にかな打ちの方が早い」
つまり、比較対象が、
親指シフト、JISカナ、qwetyローマ字の三つなのよね。
しかも親指シフトをカナ配列
(カナによる入力方式)に入れていない。
となると、
「世界には二つの対立軸(と、一つの無視する例外)がある」
ようにしか見えてないと思うわけ。
彼らの視界の中には、
ローマ字/行段系の、SKY配列、カタナ式、大西配列、けいならべ、
などや、
カナ系の、
飛鳥配列、新下駄配列、月配列、薙刀式などは、
入っていない。
だから、
「1カナを2文字に分解するが、
打鍵範囲が狭くブラインドタッチに有利」
ということと、
「1カナを1打で打てるが、打鍵範囲が広く、
ブラインドタッチに不利。
シフト方式で範囲を圧縮できるが、
その分打鍵数は増える」
ということの対立軸は、
見えていない気がする。
となると、実はブラインドタッチ前提じゃないのでは?
と思ったのだ。
サイトメソッド(みながら打つ方法)で考えれば、
JISカナの範囲は全キーボードよりは狭いので、
qwertyの範囲が狭かろうがあまり関係ない。
何がどこにあるかさえ大体覚えとけば、
この辺を見れば大体、で運指できるだろう。
しかも右小指殺しとか関係なく、
人差し指や中指で取れる。
シフトだって小指で取らなくていいから、
別に大変ということもあるまい。
ということは、
「JISカナはブラインドタッチで取るのは現実的ではない」
という我々の議論の前提が崩れて、
「JISカナはサイトメソッドで打つには、
qwertyローマ字をサイトメソッドで打つときのような、
1カナ2打を不要とする」
という認識になるのではないか?
と、思考をトレースしてみた。
「カナはローマ字より速い」という根拠が、
実はこれなんじゃね?
実際を見ると、
ブラインドタッチの日本最高峰試合RTCでは、
JISカナとqwertyローマ字は拮抗している。
2倍速いなんてことはない。1.5倍でもない。
同じくらいだ。
JISカナは1カナ1打で打てる代わりに、
打鍵範囲が広く、小指殺しに耐えなければならず、
メリットとデメリットがほぼ相殺することが分かっている。
この議論をすっとばして、
「見た目の動作数」だけで、
「カナはローマ字より速い」と言ってるだけなんじゃね?
と推察したわけだ。
だとしたら、
あまりにも原始的な議論すぎるよな。
「サイトメソッドではJISカナ有利」と、
議論の前提を含めば、
たしかにそれはそう。
サイトメソッドのqwertyローマ字よりも、
2倍近くなりそうな気がする。
あるいは、
1キーに2文字書いてある親指シフトや新JISよりも、
目当てのカナが探しやすいはず。
(親指シフトや新JISはブラインドタッチ前提の配列だ。
これが普及しなかった理由は、
ブラインドタッチをせずにサイトメソッドしか、
日本人はやらなかったからだ)
ふむ。
歴史的経緯を踏まえると、
「カナはローマ字より速い」のは、
サイトメソッドぽちぽち打法において、
と考えれば、すべての辻褄は合う。
サイトメソッドとブラインドタッチでは、
キーボードの物理や論理配列の意味が、
まるで変わってくる。
qwertyのAは目でみて探しやすい一番端にある。
横書きなら一番左だし真ん中だし、
一番目立つ位置にあるといってもよい。
そしてこれを最大使う。
だからqwertyローマ字のサイトメソッドは、
比較的使いやすい。
だがこれをブラインドタッチした瞬間、
最弱の左小指担当になり、
最弱の指を最大に使わされる。
阿呆かと思うわけ。(この怒りが僕の配列道への入り口だ)
つまり、
キーボード入力をめぐる議論に断絶がある。
サイトメソッド派(ブラインドタッチを理解していない)と、
ブラインドタッチ派(サイトメソッドを馬鹿にすらしている)との、
埋められぬ断絶である。
にも関わらず、
言説というのは前提抜きに広まる。
「(サイトメソッドでは)カナがローマ字の2倍早い」の、
()抜きだけが広まる。
サイトメソッド派が70%もいるわけだから、
サイトメソッド派の言説は大きくは外すまい。
だけど、ブラインドタッチ派の30%にとっては、
間違った話ですらあるわけだ。
この断絶は、かなりヤバいのではないか。
しかも親指シフトを知ってる人くらいだと、
「俺キーボード詳しいよ」ぐらいに思ってる可能性が大だな。
なんか、ブラインドタッチに関する、
ちゃんとした本を書きたくなってきた。
ブラインドタッチ前提の、
論理配列の議論を誰も知らないのが、
もったいなくなってきた。
それらを知れば、
「は? qwertyローマ字とかJISカナとか、
ブラインドタッチしろってアホか?」
と、100%の人間が理解できるのに。
だからこれからは、
「カナはローマ字より速い。俺はカナ派」
という人がいたら、
サイトメソッドで打ってて、
しかもローマ字はサイトメソッドを前提としてるな、
などのように想像すれば、
その人のキーボードレベルを推定できそうだ。
そんな人に薙刀式が…なんて話をしても、
頭に疑問符が10個くらい出ておしまいだろうなー。
「新配列の本」
序文
新配列とは、キーボードをブラインドタッチするための配列である。
標準的な配列、qwertyローマ字とJISカナは、
サイトメソッド(見ながら打つこと)前提の設計であり、
ブラインドタッチ(見ないで打つこと)するには過酷な配列だ。
この本ではブラインドタッチの原理や習性を明らかにした上で、
ブラインドタッチしやすい配列について議論し、
それらを合理的に使う新配列を多数紹介したい。
こんな感じで書けば、
「カナはローマ字より速い」なんて人を黙らせることが出来るかもしれない。
まあ、薙刀式v16が完成したら書くかもしれない。
2025年03月06日
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おそらく「1打にかかる時間」みたいなものはそもそも考慮に入っていなさそうでしたね
しかも例文が「東京特許許可局」という、
ローマ字入力でアルペジオ打鍵できる人ならかなり速く打てる、かつ
拗音促音が多くJISカナが苦手そうなワードチョイスだったので、
アルペジオやロールオーバーという概念もなく、サイトメソッドで1打1打打っていそうだなあと思いました。
それで書いた文章を読んだことありますが、
400字程度の高校生の作文みたいな駄文でした。
それでそれ言えんのかよって思った記憶。
ちなみに河野太郎は筆がめっちゃ下手です。
ググったらおもろいよ。
G20サミット事務局以外にもいっぱいある。