新配列を学習する意味について
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の記事が興味深い。
大意としては、
「qwertyローマ字がすでに速い人は新配列やらなくて良いのでは?」
ということだ。
僕はこれに合意できない。
効率には、速度効率と、疲労効率と、頭の中の文章を容易に出せる効率の、
三つがあると考えている。
「大した文章でないものを少量書く人生ならば、
qwertyローマ字がすでに速い人は新配列やらなくてよい」
ならば合意できる。
なぜ新配列が気になるのか?
qwertyローマ字が遅いからだ。
qwertyローマ字が疲れるからだ。
qwertyローマ字では、自分の思うことをうまく書けないからだ。
このどれかに該当する人が、
「qwertyローマ字は効率が悪い」と思う。
効率には上の三つがあると思うけど、
そこまで分化してなくて、
単に遅いとか効率が悪いと感じるわけだ。
これらは、
少量の文章しか書かない人や、
駄文を書く人には、
どうでもいいことだと思う。
大量に文章を書くのに、
qwertyローマ字はよくない。疲れる。手を痛める。
いい文章を書くのに、
qwertyローマ字はよくない。
僕はここが一番苦痛だった。
これは効率という一次元要素ではなく、
向き不向きのファクターかもしれない。
僕はqwertyローマ字では、自分の思うことの30%も書けない。
で、
まず速度を問題にすることに、
僕は大変疑問を感じる。
「どれくらいで書きたいのか」という、
速度目標と現在地点が毎回不明だからだ。
現在530字(変換後)/10分のペースを、
1000にしたいとか、そういう具体がない限り、
議論にならないからだ。
(ちなみに僕がqwertyからカタナ式に変えた時の実績)
530を600にしたいならそのまま鍛えろだし、
1000や1500にしたいなら、
抜本的な何かが必要だ。
僕の手のスペックは900だが、
そもそも脳と手の回転が速くないと、
1500で文章を書き続けることは結構難しいと思う。
そうした具体的数字なしに、
ただ競技タイピングのチャンピオンを見ていることが、
基準の間違いだと考える。
彼らは競技スコアでは僕の2倍以上速いが、
実用文では僕の1.数倍程度しか速くない。
(KIH動画で確認)
彼らは競技タイピングに特化した訓練しかしていない。
qwertyローマ字は、競技最速の結果を出した配列に過ぎず、
「速く自分の考えを著す」
「疲れずにずっと書いていく」
「自分の考えがもっとも表現しやすい」
配列であることを何一つ保証しない。
なぜなら、
qwertyローマ字の設計時点で、
そのようなことは考えに入っていないからだ。
qwertyローマ字の起源は、
「すでに英語で使われているqwerty配列を、
ローマ字として使えば、
当時支配的だったJISカナに比べて、
覚えるべきキー数が少ない」ことで、
皆に受け入れられたことが、
調査からわかっている。
見た目で探しやすいから採用されただけで、
速度、疲労、自分にしっくりくるかで、
つくられたものではないのだ。
もちろん、たまたまqwertyローマ字がそうなってる可能性もなくもないが、
これだけブラインドタッチ率が少なく(30%)、
軽々とタイピングしている人が少ない
(僕は毎日カフェで書き物をしてるので、
よく他人のタイピングを見ている。
スムーズに書き続ける人は10人に1人もいない)
ことから、
qwertyローマ字は、ブラインドタッチで日本語を書く道具としては、
かなり劣悪な道具だと考える。
その具体は今議論しない。ヒートマップとか運指の話だ。
過去に散々語ったので省略。
さて、
新配列は、
これらの欠点をカバーしようとして設計されたものだ。
速度、疲労、自分にしっくりくるか。
万人でそうか、というのは大規模な調査がない、
個人開発のものなので、
「分からない」というのが答えだ。
だけど、多くの人が使っている配列なら、
比較的万人に向いてる可能性はある。
親指シフト、新下駄配列、飛鳥配列、月配列、
薙刀式、大西配列あたりは、
そうした実績があると思われる。
(いうて親指シフトを除くと、1000人〜100人の世界ではある)
つまり、
新配列は、
仮説と設計と、検証の一部まで終わった段階のものだ。
これからは、万人による検証待ち、
といえると思う。
少なくともこれらは、
qwertyローマ字より、
運指効率が良く、疲労しにくい。
(自分にしっくり来るかは好みの要素が強いと思われる)
速度に関しては、
ほとんどの人が、かつてのqwertyローマ字より速くなったはずだ。
そして効率に関しては、客観的数字で言えないが、
体感何倍も楽になっている。
そしてしっくり来るから、使い続けている。
競技速度を問題にしなければ、
確実に恩恵をもたらす。
もちろん、現在標準装備ではないから、
メンテナンスの問題はある。
自分PCでしか使えない人も多かろう。
でもそれを気にしなければ、
qwertyローマ字に二度と戻りたくない人の方が多いと思う。
理由は、上の三つのどれかまたは全てだ。
競技速度は、創作文章を書く速度に比べて、
何倍も速い。
その領域を競うことに、
現代的な意味はすでにないと僕は考えている。
かつては秘書検定の要素であったが、
秘書を雇える人が手書き文を清書させる場面は、
現代では相当なさそうだからだ。
また、競技で一番を取るような人が手術を余儀なくされたり、
作家たちが腱鞘炎を抱えていることは、
qwertyローマ字の宿痾である。
これを使わなきゃ、そんな目に遭わなくて済んだのだ。
(じゃあ新配列だと腱鞘炎にならないかまで、
検証は終わっていない。
少なくともそんな例は聞かないけど、
万人がそうかまではわからない)
つまり、
qwertyローマ字は、
たくさん書きたい人にとってクソ配列だ。
新配列は、
それを良くできているはずだが、
万人にとってそうかは未検証である。
だから僕が新配列を薦める理由は、
お前もこっちこいよ、だ。
一緒に検証しようぜ、なのだ。
僕は薙刀式が今の所最高だと思っているが、
欠点がないわけはないだろうし、
まだ改良できるかもしれない。
それには、他人の検証が大事だと考えている。
クレームは、次の良いものへのきっかけだからね。
ということで、
キーボードは速さが第一義ではない、
と僕は考えている。
自由文での1500字(変換後)/10分は、
ほとんどの人が出せないらしい。
僕はそこに達してしまったから、あえて言えるのかもね。
速度関係ねえよと。
(ほんとは2000以上いきたいが、
キーボードの自由文でここに到達した人は、
日本にはいないのではなかろうか。
とすると、キーボードとかな漢字変換の限界がそのへんなのだろう)
手を痛めずに、自分の思うことを書けるのなら、
500のフリックでも僕はいいと思うよ。
速さしか言わないから、
速度目標の修羅の螺旋に入ってしまって、
目的を見失うのだよ。
目的は、「たくさん良い文を書きたい」だと思う。
それに効率が付随するだけだ。
なお、この方は大西配列を使っているらしい。
たぶんだけど、
この論調は、
「大西配列に変えたけど、元のqwertyローマ字よりも、
タイピングゲームのスコアが良くないことの、
いいわけ」として書かれたのではないかと思われる。
タイピングゲームの害悪は、
真実(配列の実感)を曲げていることだと思う。
競技速度だけをもって配列の性能を語るのは、
すでに時代遅れの指標ではないか?
速度効率と、疲労効率と、脳から出せる効率の、
三つをあげようぜ。
僕は薙刀式に変えて、
速度は3倍、疲労は1/10くらい、
脳から出せる効率は体感30倍くらいあがったね。
2025年03月16日
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それもあるかもですね。
結局仕事などでqwertyを使わなきゃいけない場面があると、
さらに士気が削られそうだし。
なので「練習すればこうなれるよ!」
という見本があるといいと思いますね。
大西配列に関してはATCやKIH動画があるんですが、
この方はまだ見てないのかもですね。