2025年05月01日

80%は、名セリフじゃない

脚本を名セリフで埋めたい、うまいこと言う言葉で埋めたい、
というのは人情だ。
じゃあ、何%が名セリフだったらいいかな?
どういうイメージをしている?
僕は、80%くらいは名セリフではない部分で占められていると考える。


あるいは、極論99%くらいかもしれない。
名セリフなんて絞り出した一行あればよくて、
いう言葉いう言葉ぜんぶ名言だらけなんてありえないと思う。
そんなのが見たかったら、偉人の言葉100とかでも読んでればいいんじゃないか。

物語におけるセリフの役割が、
名言を言うためのものではない、
ということが分れば、
このことが分ると思う。

誰が、何の為に、言葉を発しているのか。

1 その人の思うこと、言いたいこと
2 状況の説明
3 相手ヘの交渉事

の、3つだと思う。

1は独り言だろうか。
2は第三者へだろう。(独り言や相手へ言うふりをして、というパターンもある)
3は第二者へ向けて、だと思う。

つまり、言う相手と内容は決まっている。

このとき、
名セリフをもって言う場合がとても少ない、ということだ。
状況説明は状況説明がしたいのであって、
名セリフでいう意味はない。
(しゃれた映画ならば状況説明ですらしゃれた言葉になっている可能性はある)
自分の言いたいことをいったり、気持ちを素直に表すのに、
名セリフの形にすることもないだろう。
相手と交渉するのに、わざわざ名言を用意することは、
あるかもしれないが、芝居じみていると思う。

リアルな文脈であればあるほど、
名言なんてぽんぽん飛び出さない。
リアルに生きていれば、
映画みたいな名セリフに出会えるのは年数回くらいじゃないかな。
(Twitterには名言名人がたくさんいるが)

リアルなセリフを書こう。
そのほうがリアルだ。
名セリフは、たいてい修飾された何かで、情報を伝える最速の言葉ではない。
その分、進行が遅くなること気づくといいと思う。

ストーリーを進行させよう。
味わい深いポイントだけで名セリフがあればよい。
味わいたいのか、進行させたいのか、
決めるべきだ。
進行を止めるセリフなんて、駄セリフだ。
だから、80%はなんてことのない言葉でよいのだ。

進行をガンガンさせろ。

20%は名セリフを書くために立ち止まって、
そしてバッチリ決めれば良い。
posted by おおおかとしひこ at 10:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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