緊張と緩和をコントロールしよう。
何をコントロールすればそうなるか。
「戻れなくなる度合い」かな。
危険でもいいんだけど、
もとに戻れる危険ならあんまり意味がないので、
元に戻れないぞ、という怖いポイントを設定するとよいと思う。
つまり綱渡りだ。
これを失敗したら戻れない、
というのが緊張であり、
よかったー、それから解放されたー、
というのが弛緩である。
単に崖があったとしても、
「落ちても死なない」という設定ならば、
緊張は起こらないと思う。
たとえば悪魔と契約していて、
一回までは死んでも死なない、みたいな設定であれば、
崖はまったく怖くなく、緊張も起こらないだろう。
だが急に「あと一回死ぬと死ぬよ」になったら、
緊張は極大になると思う。
死をかけるハラハラだけではない。
女を二股かけて修羅場になるとか、
うっかり発言をツイッターで世間に発表してしまったとか、
いろんな「もとに戻れない」ポイントがあって、
そこに緊張が発生するわけだ。
「親友や妻の死」が、
映画の中で一大イベントになるのも、
それがもとに戻れない、大切なポイントになるからだね。
で、
もちろん、緊張は緊張しつづけると持たないので、
どこかで緩和しなければならない。
ということは、
緩和できるだけの緊張を考えないといけないということだ。
だから「親友の死」を乗り越えて、
笑える日常に戻る、
というのはなかなかに難しい。
「死んだばっかりやのに、何わろとんねん」となるからね。
せいぜい一区切りつける、というくらいしかできないだろう。
だから重要人物の死は、
映画には劇薬だったりする。
ストーリーづくりの初心者は、
ついつい誰かを殺したくなると思う。
劇的な場面が書けるからだ。
そういう人は、死ぬなし縛りで何かを書いてみるといいよ。
結構難しいことに気づくだろう。
それは自分の作家性を削ぐ、
という主張も結構だが、
それ以外の作家性も育てようぜ、という話をしている。
さて。
では、そのストーリー中で、
最も緊張する部分はどこだろうか?
2番目はどこだろうか?
緊張の度合いと、長さを加味して選ぶとよい。
それが、いいポイントに来ているべきだぞ、
ということを言おうとしている。
クライマックス、ミッドポイント、第一ターニングポイント、
オープニング。
いろいろなやり方はあろう。
だけど、一番の緊張はクライマックスであるべきだよね。
大きなヤマはどこだ。
それを全体を見て配置しなければならない。
そのためには、
どこで緊張していて、どこで緩和しているかの、
リズムを見る必要がある。
そして二番目を決めよう。
クライマックスと2番で、
全体の緊張構造、スリル構造が、規定されるわけ。
たとえば「ミッションインポッシブル: ゴーストプロトコル」は、
ミッドポイントのドバイタワー上りが、
一番緊張したよ。
これで後半だれた、という感想になってしまった。
クライマックスが、これを超えられなかったんだよね。
うんこ映画、実写ガッチャマンは、
オープニングが一番緊張して、
あとは弛緩していく一方の、単調減少ムービーである。
勉強のために見ると良い。
逆に良い例。
「アマデウス」の、最大の緊張は、
サリエリと病床のモーツァルトのシーンだ。
二番目は?
初めで出会ったときの、
サリエリの曲を「こっちの方がもっと良い」と、
皇帝の前でモーツァルトが書き換えていくところ。
この2つが対になってるから、
いいんだよなあ。しかもサリエリが変化しているんだよね。
2025年07月04日
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