2025年04月08日

【薙刀式】競技用新配列がつくられない理由

Twitterから。
> タイパーの考えた高速ローマ字入力配列が存在しない理由としては、ローマ字配列は脳に1つしか持てず、かつ速くなればなるほどQWERTYを捨てることが難しくなるからというのがありそう。

それ以前に、qwertyの限界をまだ見切ってないから、
とも言えるかな。
qwertyを諦める理由がないと、なかなか新配列をやらないと思う。


実際のところ、
新配列をマスターする努力は、
qwertyの1/2程度だと思う。

それは配別の習得というのは経験が蓄積されて、
「n回目の習得ほどどんどん楽になる」
という法則があるからだ。
「n回目の習得は、1/nの労力になる」
と仮説を立ててもいいくらい。

だけどそれを知らないと、
うわーもう一回やるのかー、
2倍労力かかるわーと思って、
qwertyをたくさんやった人ほど、
嫌がるのではないか。

これをサンクコスト、コンコルド効果とよび、
なぜ人が一度やったものにこだわり、
容易にやり方を変えないのかの、
心理学的な説明だ。

そんなに努力した過去の自分を否定するのが、
怖いからだね。

実際2倍も必要なくて、
1.5倍くらいでよいのに、
それをやる前から予想するのは難しいものだ。


新配列の設計者の多くは、
qwertyを早々に諦めた人だと思う。

は?qwertyアホやろ、こんな不合理なのを一生できるか、
と見切って、
qwertyに早めに別れを告げたから、
自由に新配列を設計できたのだと思う。

もちろん、目的は実用だ。

新配列の多くのユーザーも、
実用タイピングにおいてqwertyで腱鞘炎を患うなど、
苦しみを脱出したくて、
たどり着いた人が多いと思う。

いずれにせよ、実用上のqwertyで限界を見た人たちばかりだ。


一方、競技qwertyを見ると、
理論上いくらでも上達できそうな気がする配列なので、
そのqwertyから降りることは、
「努力をしない言い訳をしている」ように見えるのかもしれない。

その後ろめたさとサンクコストがあって、
qwertyから脱出しにくいんだろうなーと眺めている。

結局「諦めた!」という見切りが、エイヤの原動力になるだろう。


で、もう一つの恐れがあって、
「新配列をつくってどうにもならなかったらどうしよう」
というやつだね。

会社を辞めて独立するかどうか、みたいな恐怖だ。

なので、新配列という先がわからないものに、
現在の地位を捨てるのが怖いんだろう。


いまのところ、
競技用として作られた配列はほとんどなく、
実績を出しているのはカナ配列のいろは坂
(タイプウェルZI)のみだ。
これも作者のめんめんつさんが、
JISカナを諦めたからできたことで、
普段はqwertyローマ字といろは坂を使ってたはず。

ローマ字二つは混同するかな?
普段qwertyを使って、
競技だけ新配列を使う手もあると思う。

誰もやってないブルーオーシャンだから、
開拓しがいがあるぞ、
というアドバイスだけしておくか。



これまでの多くの新配列の打鍵理論は、
楽をして長時間打ち続けるためのものである。
労力を減らして、脳との直結をキープするものだ。

最高でも秒5〜7カナくらいを想定していて、
それ以上の競技レベルを想定していないと思う。
秒10カナをコンスタントに叩き出すには、
また別の高速打鍵理論が必要だと思う。


たとえばqwertyローマ字で、
「ー」を;に持ってきた配列は、
カタカナ語で速くなる?
どれくらい効果があるのだろう?

競技レベルでーに指を伸ばせる能力があるなら、
ーは今のヘンテコ位置でもよいのでは、
という仮説は成り立つ。
多くの新配列でーの位置を批判するのは、
あんなヘンテコな位置を小指で取れるわけねえだろボケ、
と思うレベルの人が作っているからだ。

もちろん、競技レベルの人でも、
ーの遠さにイラつかないわけはないから、
;にーを持ってきたqwertyで、
楽にはなるが、スピードにどれくらい効果があるか、
検証することは可能なのではないかな。


多くの新配列ではヒートマップを、
「指の強さ」に応じて検証している。
これは長時間打つ前提だから、
強い指が頻度を多く使うべきだ、
という基礎理論だ。

だけど競技用新配列では、
「指の速さ」でヒートマップを作るべきでは?と考える。
強さとか耐久性じゃなくて、
素早く動く指を優先的に使えばいいじゃん、
という基礎設計は新しいと思う。

僕の拙い指での、
30キー×30キーの2連接900パターンについて、
速さを実測したものがある。
http://oookaworks.seesaa.net/article/490739021.html?amp=1
JK、JI、MK、M,、HIの順に速かった。
これらを頻出連接で取れる配列が、
速くなるだろう。

もちろん、2連接が測定の手間の限界だったけど、
3連接4連接などを測定して、
速そうな打鍵列に頻出の打鍵列を当てれば、
最強の競技配列ができそうだ。

もちろん逆も然りで、
遅い指の連接にはよくある文字連接を当てるべきではない。
ちなみに僕のワースト5は、
AS、WZ、WC、QZ、AWだった。
qwertyでもまあまあ使うASがワースト1。
そりゃ僕がqwerty糞っていうわけさ。
指が向いてないのさ。

これらの指の高速低速分布は、
競技者と素人の僕では、
だいぶ異なるのではないかと考えられる。

ただqwertyの人は、
JKやMKなどの、qwertyで使わない運指に慣れてないから、
これまでの経験に応じた偏りがあるとは思う。
ランダム文字タイピングで鍛えられてれば、
qwerty以外の連接にも対応できるかも。



新配列をつくる前提は、
「すべての指は等価ではない」「すべてのキーは等価ではない」
だ。
そして「すべての文字の頻度は等価ではない」
「すべての文字連接の頻度も等価ではない」だ。
この二つの、キーと文字の集合を、
うまく一致させることが、
新配列の究極の目的であろう。

なおカナNgramの大規模データは、
100万字ぶんをkouyさんが収集してるので参考にされたい。



qwertyを早々に諦め、
実用上の新配列をつくる人は、
耐久性を指針にする。
中段ホームに集めるべきとか、小指担当を減らすとかは、
楽に打つことを考えているわけで、
「手を壊してでも最速でよい
(短時間なら最速を出せる)」を条件にしていない。

競技用新配列は、
耐久性を捨てて速度に全振りすれば、
新しい配列が生まれるかもしれない。


で、そこまでモチベある?
って言われて、いやー…ってなってるのが現在地点であろう。

「おもしろそうじゃん」という、
冒険者が現れることを期待する。

進化はいつも、好奇心からはじまる。
海水で芋を洗った猿は、「おもしろくね?」だったと思う。
posted by おおおかとしひこ at 11:36| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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