めちゃくちゃ根本的な問いに答えてみる。
自分が新配列を触った頃、
あるいはそもそもJISカナを眺めた頃、
なんでバラバラなのか疑問に思っていた。
「きっとその方が合理的だからだろう」
とうっすらは思うけれど、
一発で理解できる理由がなかったように思う。
今なら答えられる。
「あいうえお順は、そもそも実用的ではない」からだ。
そもそもあいうえお順ってなんや、
という話だ。
ア行の母音と、カ行以降の子音+母音の並び、
という構造はまあ理解できる。
でも、母音子音の並びって、
どのような規則による配置なのだろう?
調べると、
AIUEO×KSTNHMYWのマトリックスは、
古代インド語である梵語(サンスクリット語)の、
整理の仕方であるらしい。
仏教繋がりの知の体系なのである。
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z1304_00195.html#:~:text=%E3%80%8C%E3%81%82%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%88%E3%81%8A%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%AE%B5%E9%A0%86%E3%80%81,%E9%95%B7%E5%A4%A7%E3%81%AA%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
孔雀王を見るまでもなく、
梵語と現代日本語はほぼ繋がっていない。
だからあいうえお順は、
「日本語の音を整理したもの」とは言えない。
(梵語がこの順で合理的に整理されてるかは、
僕は分からない)
なんと、あいうえお順ですら、
デファクトスタンダードに合わせやがったな、日本よ!
すでにある権威にすがるスネ夫体質め!
で、
この順は現代において、便宜上の整理でしかない。
辞書を引く時の決まり事程度じゃないかな。
音韻的規則的配置にしたほうが、
整理できるから使ってる、というレベルにすぎない。
さてカナ配列だ。
主張は簡単。
「言葉に使われるカナたちの整理は、
『言葉に使われる並び』で整理されるべき」
ということ。
音韻分解の並びは、
使われる組み合わせや順ではない。
あいうえお順は、使われる順ではない。
(「あ」が最も頻度の高いカナではない。
ABC順も同様で、ABCが使われる順ではなく、Eが最頻出。
アルファベットの話はここでは省く)
メスや鉗子をカタログ順に並べても、
手術に使われる順ではないということだ。
だから使われる順に並べ直した方が実用的でしょ、
というのがカナ系新配列だ。
ただし、
「使われる順」「並べ方」に、
様々な考え方の流派があるわけだ。
「使われる順」には、
・1gram頻度での使われる順(多くのカナ配列)
・2gram頻度での使われる順(新下駄)
・日本語の中核の語で使われる順(薙刀式、飛鳥)
・拗音、外来音、小書きなど特殊系への配慮(多くのカナ配列)
など、どれを重視するかで流派がある。
「並べ方」には、
・使いやすいキーにランクをつけて、
1gram頻度で使いやすい順に並べていく
・片手連接で打ちやすいものに、上の使われる順を当てる
(新下駄だと2gram頻度をアルペジオに、飛鳥だと日本語の中核を中段アルペジオに、
薙刀式だと日本語の中核を斜めアルペジオに)
・左右交互にして同指縦連を防ぐ(新JIS、月)
・同指縦連、同指段越えを減らす
・強い指中心にして、弱い指をあまり使わないようにする
(各配列でバランス感覚が全然違う)
など、どれを重視するかで流派がある。
順には色々あり、平面への並べ方も色々あるわけだ。
「設計思想」とはつまり、
これらのどの組み合わせをもって、
実用的と主張するかの違いだといえる。
カナ配列はバラバラにカナが置かれているのではない。
各配列の設計思想に基づいて、
完璧に一部の隙もなく、整理され切っているのだ。
チリ一つなくピシッと規則的に
(その配列の規則に基づいて)揃っているのである。
日本語とは関係ない梵語の規則の並びに従っていないだけで、
「規則的でない」とカナ配列を見るのは、
日本語に対する理解の不足なのだよ。
薙刀式なんて美しいぞ。
ある、ない、するという存在、非存在、行動という、
根本の三つが右手アルペジオで、
して、こと、てきなどの繋ぎの語が左手アルペジオ。
左が補助で右が根本。
右利き専用の、とても美しい並びではないか。
しかも右手人差し指ホームは最初の音「あ」で、
その上に、書くこととペアの消すことBSが隣り合う。
writingとrewritingがペアで、書くことを定義している。
この美しさは、
設計思想を知ると理解できる。
さらに清濁半濁小拗外同置という、
あまりにも美しい唯一無二の法則に従う、
重なり合った結晶構造みたいになっているのだが、
まあその辺は解析しないと分からないレベルだろう。
実は、
多くのカナ配列は、
それぞれの合理性に従って、
その規則的に最適化された美しい姿をしている。
規則が異なるだけの話だ。
あいうえお順という規則を使うのは平安時代くらいからの慣習にすぎない。
そしてこれは日本語を整理したものではない。
あいうえお順なんて不規則やんけ、
あるないする順の規則で整理するべきじゃね?
と、薙刀式は考えているわけさ。
2025年04月11日
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