2025年04月15日

【薙刀式】親指シフトの思想と自作キーボード

実は自作キーボードの世界に、
親指シフトの発想は半分溶け込んでいる。
逆にいうと半分は溶け込んでいない。
その話をする。


すでに溶け込んで一体化している部分は、
「親指をレイヤーキーとして使うこと」だ。

他の指と協調して使うのは、
親指が妥当である、
(逆にいうと、
人差し指シフト、中指シフト、
薬指シフト、小指シフトはうまくいかない)
というのが親指シフトの発想だ。

ほとんどのレイヤーキーは、
自作キーボードにおいて親指位置にいる。
よほどキー数が少ない、30キーなどは置いといて、
親指にレイヤーキーを配置しているものが多い。

これは親指シフトみたいなもんだ。


だがこれをもって、
親指シフトは自作キーボードと融合したというのは早合点であろう。

実際、自作キーボードには、
親指専用キーが豊富なものが多く、
レイヤーキーを複数持てるように、
あるいは操作系(カーソル、BS、エンターやIMEオンオフ、
あるいはモデファイアを親指でやる)
のために割いてあることが多い。

だから富士通の親指シフト配列はもちろん使えるし、
それ以外でも使えるのだ。
両者は「親指を活用する」という点において、
上位集合に属するわけだ。


では親指シフトにあって、
自作キーボードにないものはなにか。
ふたつある。

ひとつめは、
「親指キーとの同時打鍵」だ。

これは素早い入力を可能とする。
親指キーと組み合わせるキーの順番が前後しても、
両者の打鍵タイミングが近ければ同時とみなせるため、
高速で打ち続けることが可能になる。

「レイヤーキーを押しながらA」や、
「レイヤーキーをホールド100msしてからA」
などのようなゆっくりしたテンポではない。

欠点は、都度毎回シフトをしなければならないこと。
打鍵数が増えて疲れることだ。


親指シフトを直接見た人の証言では、
まるでマシンガンのようであった、
というのはよく聞く。
これは、毎度毎度親指を叩いていることや、
それによる高速打鍵がめまぐるしく、
よく分からない人にはマシンガンに見えたのだろう。

この、利点と欠点の表裏一体が親指シフトだ。

親指シフトは利点だけが強調される傾向にあるが、
この批判点はあまり出てこない。
自作キーボードの使い方、
たとえばレイヤーにマイナーな記号を置く、
などでは有効な方法とは思えないため、
自作キーボードでは親指同時打鍵を採用していないのだ。


ふたつめは、
同手シフトと異手シフトで役割を変えたことだ。

親指シフトは、
同手シフト(右手と右手親指を同時に。左手と左親指を同時に)は、
マイナーなカナを打つために使われ、
異手シフト(使う親指と別の手を同時)は、
単打面の濁音を打つために使われる。

このような手と役割を変える感覚は、
自作キーボードでは使われていないアイデアだ。

左右分割で使われることがあるかもだけど、
明確に、左-左、右-右/左-右、右-左で役割を変えているものは、
あまり見ないね。
なので、ここはアイデアをいただく余地があると思う。

同手のほうが使いやすい、
というのは親指シフトの知見だ。
僕は右親指+右手にはテンキー、
左親指+左手はBlender用ショートカット、
に役割を限定している。
こういう面ごとに使い分けるのは真似できるところ。


逆に自作キーボードにあって、
親指シフトにないものもある。
タップとホールドで役割を変えることだ。

タップでBS、ホールドでCtrl、
タップでスペース、ホールドでShilft、
タップでIMEオンオフ、ホールドでレイヤー、
などがよく使われる。
タップで文字、ホールドでShiftやCtrl、
なども30%では使われることも。

こうした知見は、
親指シフトや新配列に輸入してもよいと思う。
これまで含めて配列とするか、
文字配列は別と考えるかはそれぞれだが。



親指シフトは40年前の思想ではあるが、
人間の手の形や機能は変わってないので、
今でも新鮮であると思う。

進化したとすれば、
左ロウスタッガード以外のキーボードが自作できるようになったこと
(カラムスタッガード、格子、放射状、grinやtreadstoneやlotus、
左右分割もふくめ)だ。
これによって、文字配列はさらに洗練される可能性が高い。
キーキャップも自由だし、平面でなくて良いし、
親指にたくさんキーがあっても良いのだ。

このような進化に対して、
親指シフトを語る人たちはなんだか昔の知識でものを話している。
もったいない。
天キーとか来て、実際に触ってみればいいのに。
posted by おおおかとしひこ at 11:52| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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