文節を打鍵チャンクとして扱うことが、
意味を扱う実用においては大事、
という前記事の余談から続ける。
これを薙刀式がチャンク化している理屈を解説しておく。
薙刀式は、
日本語の膠着語性に注目して、
くっつかれる語と、くっつく語の2種に分かれると考える。
前者は名詞、動詞語幹、形容詞語幹など、
後者は助詞、助動詞、活用語尾、定型句などだ。
前者は話によって毎度変わるので、
話題の語と呼び、
後者を繋ぎの語と呼んでいる。
今日 雨 降
は が っていた
のような、くっつき関係になっている。
上の行に話題の語、下の行に繋ぎの語を示した。
薙刀式は、
繋ぎの語をアルペジオないし中央の指で取ることで、
繋ぎの語を高速で楽に打つことを考えている。
逆に、
話題の語は捨てている。
(もちろん、ある程度Ngram頻度は考慮しているので、
めちゃくちゃ打ちにくいようには調整していない。
経験的に数年間打鍵して、
日本語で重要な言葉は打ちにくくないように、
細かい手調整をしたつもり)
例文の打鍵列をしめす。
なお、【】はセンターシフト、()を左右同時として。
きょ う あめ ふ
は が っていた
(WI)L J【R】 【;】
C (FJ) GEKN
強い指 強い指 強い指のアルペジオ×2
助詞の「は」「が」、
「っていた」という定型的な連用形活用+助動詞。
この辺を高速で、強い指で打てて、
話題の語「きょう」「あめ」「ふ」の速度感は捨てていることがわかる。
つまり、薙刀式の打鍵感は、
「遅い+速い」を打鍵リズム感として持っている。
これをチャンク化する。
そうすると、文節単位でチャンク化しやすい。
そして必ずチャンクの終わりで加速するため、
次々に文をスルスルと引き出せているような感覚になるのだ。
このことによって、
「今日は/雨が/降っていた」と、
無意識に打てることになる。
日本語の思考とは、
「とある話題」という舞台(天気)を設定して、
そこに登場人物(今日、雨)を設定して、
それらの関係性を「つなぐ」ことではないかと、
僕は考える。
それが同時に出てくるのか、順番に出てくるのかはわからない。
短い文は同時的で、長い文章になると順番だろう。
これらの「つなぐ」を高速に楽になるできるため、
芋づる式に思考を引き出しやすいようになっている。
いわば芋づるの「つる」の部分が強力なのだ。
こうした設計理論を持つのは、
薙刀式が初めてだ。
(と思います。不勉強で以前にあったら指摘してください。
飛鳥が若干その議論をしてたけど、ここまで明確ではなかった。
なお薙刀式の影響下にある配列群は、
繋ぎの語を打ちやすいように設計しているはず。
例: フタワフタバ)
前記事のタイパーのチャンク化とは、
まったく異なる原理が働いている。
意味を無視して指の打鍵塊で最適化するから、
qwertyローマ字は競技的に高速化できる。
「kyo/u/ha/ameg/ah/ut/tei/ta」のように分解することで。
だが薙刀式は、
競技レベルを諦めてでも意味的文節的チャンク化を選んだ。
目的が実用であり、
実用(秒5カナ)を遥かに超えてる競技速度
(ローマ字で秒20打、秒12カナ程度)を、
目的としていないからだ。
目的が違えば設計理論が違うのは当然で、
だから薙刀式は、実用は便利で競技では弱い。
逆に、qwertyローマ字は競技では速いが、
実用では不便だと僕は考えている。
つまり、競技を考えずに、
「日本語を自然にスラスラと書きたい」
を真剣に考えるほど、
qwertyローマ字は棄却されるべき配列であると考えている。
もちろん、
qwertyローマ字ですでにスラスラ書けるレベルに到達してる人まで、
止めるつもりはない。
だけど多くのqwertyローマ字実用者が手を壊してることを鑑みると、
qwertyなんて捨てちまえというのが僕のスタンスだ。
僕は才能ある作家たちの手を守りたい。
無知によって職業病を誘発するのならば、
誘発しにくい道具を使うべきだ。
僕の使命は、その周知啓蒙にあると思う。
新配列の目的はいろいろあってよいが、
解像度の高い議論をしたいものだ。
「qwertyはクソ、新配列を使えば最速!」
というのは強い言葉ではあるが、
qwerty英語なのかローマ字なのか両方なのか、
最速とはどの意味でなのか、
などの解像度が低い議論は意味がないどころか、
よく知らない人を混乱させてしまう。
(もっとも、そんな馬鹿を騙して信者にする、
情報商材商法もあるんだけどさ)
ということで、
実用新配列、競技用新配列、
などのように、新配列サイドは目的を明確にした方が、
解像度の高い議論ができると思う。
ざっくりと、
配列の上限速度、想定速度を明記するだけで、
分かってる人には分別可能だろう。
まあ、解像度の低い新配列設計者も、
ぶっちゃけいると思う。
そういう人はタイプウェルZ出してから来てください、
その虎を屏風から出してください、
と煽ればいいか。
反応で解像度がわかる。
そして低いなら啓蒙して、
高いならそれはなぜかを議論できると思う。
せっかく日本語という世界一?難しい言語を使っているのだ。
楽しもうではないか。
まだそのベストのやり方は決まってない、
とりつく島もないブルーオーシャンだぜ。
2025年05月03日
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