ブラインドタッチの技能自体は、
自転車や逆上がりや、ボールのドリブルのような技能だ。
ホームポジションの位置に毎回構えて、
指を思うところへ動かして、元に戻すだけだ。
(慣れてくると戻さずに次へ行き、
最終的にホームポジションに戻ればよし)
これと、qwertyローマ字、JISカナが、
致命的に相性が悪いだけなのだ。
ブラインドタッチ技能のみを考える。
特に訓練されていないふつうの人だと、
一番よく動かせるのは人差し指だ。
ついで中指。
薬指と小指は人によって異なる。
また、右手と左手の器用度も異なる。
(訓練されたピアニストは全てを同じように器用に、
耐久性も同じくするだろう)
ということは、
ブラインドタッチに向く配列とは、
右人差し指を一番使い、
左人差し指を次に使い、
右中指を次に使い…
…最後に一番苦手な指(左小指あたり)を使う、
使用度に傾斜のついた配列である。
ところが、
qwerty英語はブラインドタッチを前提としてつくられた配列ではない。
目で見て探しやすいようになっている配列だ。
左端にAがあり、多少崩れているが、
概ね左からアルファベット順に並んで、
下段で右から左に折り返している。
これをブラインドタッチで取るのは、
あとで生まれた技法だ。
アルファベット順は頻度順ではない。
アルファベットの起源はギリシャ文字だが、
その順の理屈は伝わってないし、
少なくとも現状の頻度順はバラバラだ。
(ETAONI…など調査によって前後する)
この、
左から読む順番、
右手人差し指が一番器用、
使う頻度はバラバラ、
という「三つの整理が矛盾していること」が、
qwertyのブラインドタッチが打ちにくい原因だ。
さらにqwertyローマ字は、
まったく異なる日本語に適用したものだ。
バラバラなものが偶然きれいに揃うわけもなく、
カオスはさらにカオスとなっている。
だから原理的に、
qwertyローマ字はブラインドタッチに向いていない。
(同様にJISカナもブラインドタッチに向いていない。
設計時点から見ながら打つことしか想定されていない)
ここ20年くらいで競技タイパーによって発見された、
ブラインドタッチ技法、
アルペジオ打鍵(片手の異なる指で、JIのようにタランと打てる組み合わせ)
を活用したほうが良くなるのだが、
それはqwerty英語にも、qwertyローマ字にも、
狙った設計として組み込まれていない。
ブラインドタッチを学んでいない人は、
qwertyローマ字を学んではいけない。
指の原則(標準運指)が、
配列に通用しないのだ。
だから上級者は指の配置を崩して打鍵する。
上級者の運指表がまとまってるので見てみよう。
https://uaaaaaaaa.com/typing/fingerchart
qwertyとは、
上級者によって工夫のしがいがある配列ではあるが、
初心者が標準的方法で学べる配列ではない、
ということがよくわかる。
初心者が食える飯ではない、上級者が自分なりのアレンジをして、
ようやく食える飯みたいなものだ。
この不合理をやめよう、
ブラインドタッチで、標準運指でふつうに使える配列をつくろう、
とするのが新配列運動だ。
新配列は、だからむしろ初心者のための配列だ。
ブラインドタッチを学ぶのに最適なのだ。
ブラインドタッチ用に設計されてないもので、
無理やりブラインドタッチを歪んだままマスターする
(例: ローマ字で一番使うAを左小指で打ち続ける)
よりも、
ブラインドタッチ用に設計された、
標準運指で使いやすい新配列を使う方が、
よほどブラインドタッチは簡単にマスターできる。
とても当たり前のことを議論している。
競技者以上に速くなりたくて新配列を学ぶことに、
あまり意味はない。
今のあなたの不合理を取り除き、
合理的な新配列を学ぶことで、
結果的に不合理時代より速くなるのは、
保証する。
競技者は秒間20打鍵。
普通の人が打てるのは秒間7〜8が限界だろう。
その速度域で、
一日打っても疲れないような、
合理的な新配列を使いたまえ。
あなたが鍛えたピアニストならばこの限りではない。
上級者の真似をすればよい。
つまり人は、
ブラインドタッチを学ばないなら、
標準的なqwertyローマ字を使ってれば良い。
ブラインドタッチを学ぶなら、
新配列をやるのが良い。
秒間5〜8打くらいになるだろう。
ピアニストなど指の上級者なら、
上のような独自アレンジ運指を練り上げて、
秒間20打でqwertyローマ字をやればよい。
(今の所秒間20打用に設計された新配列はない)
これが合理的な判断というものだ。
2025年05月07日
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