2025年05月12日

【脚本添削SP2025】3 作品の方向性とジャンル

映画にはジャンルがあります。

こういうジャンルでは、こういうタイプの事件が起こりがちで、
こういうタイプの展開が好まれ、
鉄板のこういうものが入ってて、
みんなこれを楽しみにしてて、
解決の仕方にはこういうパターンがよくある、
みたいに、
似通った話はジャンルを形成します。


何かを盗み出す、
それがトラブルで見失う、
よれよれの大柄な男とイケてるスパイ風の女が、
突発的にコンビを組むことになる展開、
大男は娘のために生きている、
盗み出した小さいマイクロフィルム的なやつを巡って、
マフィアと取り合いっこになる、
都会からなぜか田舎へ舞台が、
などなどの要素は、
すべてB級アクションもの、とくに吹き替えものの、
ジャンルを形成します。

果たしてこれがいいのでしょうか?
一旦引き返して考えます。


たとえばリアルアクション系にするとどうなる?

娘が難病で、手術代を稼がなければならないため、
無茶な仕事や仲間を信じないジャックがいるとかに、
設定が変わるかもしれません。
また、盗んだものは羊全般にかかるウイルス性のもので、
ニュージーランド全体を全滅しかねないものかもしれません。
その、リアル世界に、
羊マスクという異物が入ったほうが面白くなりそう?

最後はボスを撃ち殺して、返り血がウールにつくかもしれないですね。
今っぽい映画になるでしょう。


ラブストーリー強調はあるかな?

よくある展開としては、仲間だと思われて手錠でつながれる、
というやつかな。
実はどちらかがどちらかを好きで、
娘の誕生日パーティーに呼ぶ/行く、という落ちはあり得るかもね。


もっとコメディにすると?
羊祭りみたいなのがあって、それに巻き込まれるとか?
そうすると、「羊の皮をかぶった狼」というヒーローなのだ、
というギャップが何か使える?
アイデアはたくさん出そうです。

とりあえずニュージーランドの祭りを調べるとちょいちょい出てくるので、
これと絡めてもなにかあるかも。
https://www.homemate-research-festival.com/useful/19425_festival_026/#:~:text=%E7%BE%8A%E9%A3%BC%E3%81%84%E7%A5%AD%E3%82%8A%EF%BC%8F%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89,%E3%81%AE%E3%81%8C%E4%B8%80%E8%88%AC%E7%9A%84%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82


つまり、
これらで分る通り、
「調べもので解像度をあげて、
ほかのパターンをいろいろ検討したうえで、
ベストを選んだ」という風になっていないことが、
れおさんの作風の限界?弱点?かと思われます。

ちょっと調べたら考えられることも考えていないし、
「これ」を思いついてしまったら、
「ほかにどういうものがあり得るだろう?
ほかの人はどうこの題材を扱っているだろう?」
を、調べていない、ということです。

よく言えば一点突破型、
悪くいうと特攻自滅型というわけです。
ほんとうにそこを攻めるべきか?
もっと強力になるにはどうすればいいか?
他の人はどうしてる?
などの俯瞰性をもったうえで、
一点突破すると、頭ひとつ抜けると思います。


「動物の仮面 ヒーロー」でググると、
仮面ライダーオーズ、スーパー戦隊シリーズでいろいろ、
ライオン丸、スパイダーマン、バットマン、
ブラックパンサー、アントマン、ソニックザヘッジホッグ、
などなどと出てきます。

これらに対して、サンダーシープがどういう立ち位置になるだろうか?
と考えるわけです。

まじめにヒーローものをやる手もあります。
これから以後ジャックはサンダーシープとして、
街を守るヒーローになる、という落ちもあるし、
アクションスパイ映画風の中で、
単なるネタとしてサンダーシープになる、でもよいです。
(もし人気になって第二弾があるなら、
なぜか別のミッションのときにもサンダーシープになる必要があったり、
別のなんとかシープになる必要になったりします)

そんな風にして、
この物語の立ち位置はどのへんだろう?
と想像するとよいです。



僕は、今回の「ウールマン」は、
ある程度できていて、あまり直すところがないと思えました。

それはれおさんなりの完成度があがってきて、
ある程度作家性が見えてきたからです。
だからあまりいじってもしょうがないなあ、
というのが第一印象です。

ただ、作風はあれど、プロ作品として合格するには何かが足りない。
「並」の枠から出てないと思いました。

それはやはり、全体の解像度の差かなあと思いました。
ヒーローネームから調べてみましたが、
全般的にそういう傾向があります。


たとえば手下の銃を、手を撃って落とさせるというけれど、
それってどれくらい難しいんだろうか、
とか、疑っていない感じが見受けられます。

よく映画で見るから、という映画ソースにするのではなくて、
現実ベースで手を撃たれた人って骨が砕けて、
二度とものを持てなくなるんだろうか、
それとも復活するんだろうか、とかを調べておくべきです。

パッと調べても出てこなかったけど、
実際に銃で撃たれたときに何が起こるかについて、
アメリカの例を挙げたものがあります。
これを見る限り、
手を撃たれたら、
止血しないと牧場から病院に行くまでに失血死する可能性がありますね。
https://www.lifehacker.jp/article/170512_get_shot/
車で30分の距離はヤバいかもね。

こういうことを考えていると、
Twitterででてきたこういう体験談も、
キャッチできるようになります。
https://x.com/okeji13/status/1920634174404231189

漫画や映画ではよくあるシーンだけど、
ほんとうに起きたらどうなるか、くらいは知ったうえで、
嘘というのはつくべきです。
でないと応用が利かなくなります。

この話では必要ないけれど、
手を撃たれた部下が、止血包帯を巡って争う、
みたいな別の話をつくることが出来るかもしれないです。

ひとつの事実を知ったら、ほかに応用できる。
それが調べもの、ということですね。


あくまで例を示しました。
さーて、どうしようかな。
当面はB級アクション映画「サンダーシープ」ということで、
プロットを整理してみます。
posted by おおおかとしひこ at 08:15| Comment(1) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
記事の更新ありがとうございます!!

私は調べ物の仕方がいまいち分かっていない部分がすごくあって悩んでいたので、前記事とともにめちゃくちゃ参考になりました!!
本当にありがとうございます!!

また、作家性がある程度できているとのお言葉、大変嬉しかったです!
ですが制作していて自覚があまりなく……(大岡監督に毎年お出ししているのはこういう系統ばかりだな、という感覚は自覚あるのですが笑)差し支えなければコメントでも次回記事の更新などでも、当方の作家性や作風がどのようなものか教えて頂けますと大変嬉しいです……!!

よろしくお願いいたします!!
Posted by 自称弟子のれお at 2025年05月12日 17:20
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