2025年05月13日

【脚本添削SP2025】4 プロットや設定の問題

少し気になる点を詰めていきます。


プロットで気になる点。

・結局ICチップってどこに行ったんだっけ?
・リタとジャックの関係ってこれでいいんだっけ?

キャラクターで気になる点。

・ジャックが普通すぎるかな。造形が足りない気がする。


一個一個見ていきます。

・結局ICチップってどこに行ったんだっけ?

羊に混じって、毛刈りをする面白さはよい。
それから人形に仕立てるのもいいと思います。
僕はこの時点で、勝手にラストのプレゼントの中か、
ウールマンの衣裳の中に入っているものだと思っていたんだけど、
脚本中には名言されていないことに気づきました。

「ありました! この人形です!」というその人形は、
結局どれだったのかしら。
子供たちに配ったやつのどれかに紛れてしまったのか、
それともそれだけこっそりリタが持っていたのか、
まったく分からないんですよね。

それがどこにあったかで、もうひとつエピソードをつくれると思いました。
最初からウールマンの衣裳の中に編み込んでいたのだ、
だと思ってたんだけど、そうでもないみたいだし。

おそらく、手書きの原稿用紙から推察して、
一回流して書いておしまいになっているのではないでしょうか。
何回かリライトするつもりでやれば、ここを見逃すはずはないと思うんだけどなあ。
何回かリライトして見失うこともあるので、そっちかもしれませんが。


そもそも、このICチップがマフィアにとってどういう意味があるかとかは、
どうでもいいとは思います。
これはマクガフィンであり、
これを奪い合うことでストーリーが発生しているので、
適当に説明がつけばOKです。

よくある落ちは羊が食ってしまっていた、とかね。
うんこ待ちでマフィアが泣きながら手で受け止めようとしている、
とかはよくあります。


・リタとジャックの関係ってこれでいいんだっけ?

続きものでもないので、一個関係を進展させてもいいんじゃないでしょうか。

ジャストアイデアだけど、
チップはジャックが娘にプレゼントしようとした、
不器用でデカイ人形の中にリタが入れてたとして、
「私も誕生日に参加させて(そこで回収するから)」
と嘘をつくことで、ジャックが勘違いする、
というくらいならありそうです。

何かしらの関係の変化があったほうが、
ストーリーとしては落ちがつけやすいと思います。
「これから続く」というのはレギュラー話だといいけど、
そうでもない限りは、いったん関係は変化をしたほうが面白くなります。

レギュラーで関係性の変わらないルパンと銭形ですら、
「カリオストロの城」では、
ライバルとして認め合う的な関係性がラストに見えます。
相変わらずレギュラーに続くけど、
この一件でルパンをただの泥棒とは見なくなった、
と銭形の中で関係値が動いています。
これくらいの感じがあると、
リタとジャックの話の続きが見たくなるのではないでしょうか。


・ジャックが普通すぎるかな。造形が足りない気がする。

よれよれのTシャツを着た、銃しか持ったことのない男。
カミサンにも逃げられて、娘を残してきている。
よくあるハードボイルドパターンで、新味を感じないと思いました。
きっとジャックダニエルやワイルドターキーを飲むキャラでしょう。

それがなぜウールマンになるのか、意味が分からない。
たまたま、だとしかいいようがない。
面がマフィアに割れないようにしたいんだっけ?
仮面をかぶった理由が分からない。
ウールのセーターも脱げばいいのに、なんで着たままなんだっけ?
そのへんのご都合をもう少し詰めたいところですね。

たとえば、よれよれのTシャツをやめて、
一張羅のジャケットを着ているとします。
そうすると羊にべろべろになめられたことと落差が出来ます。
それは娘の誕生日のために買った一張羅とすれば、
これ以上これを汚したくないから、
ウールのセーターを着ることに理由をつくれます。
洋服に神経質なキャラはちょっと面白い(伏線にもなる)ので、
これでキャラは作れそうですね。

あとはウールマンになる理由かー。
仮面が鉄だったらまだ銃の直撃を避けられるかなあ。
じゃあ、牧場でやっている羊祭りの、
鉄の羊のお面とかを奪っていく、
というのはありかもなー。
ウールセーターの防弾率は悪そうだから、鉄板を入れるでいいか。
そうしたら、銃を撃っても効かない、即席のスーパーヒーローになるかな。

あとは面を知られたくない理由。
設定としてはFBI捜査官なので、マフィアに面が割れると厄介、とでもしておくかー。
人形を街に売りに行くときに、
顔を隠すものを欲しがる、という風にしておくと、説明できるかな。

仮に帽子とかをかぶっているんだけど、取れてしまって、
あわてて羊の鉄仮面をかぶると。
そういう流れならば、ヒーロー誕生がうまく行くかも。

もともと、羊の仮面をかぶっている理由、
ウールセーターを着続けている理由がないんですよ。
正体を隠したいこと、銃弾を跳ね返すように仕込んでいること、
の二つがあれば、そのへんてこな恰好に理屈がつくかな。


大きなプロットや動機などはいじらなくてもよいと思いました。
なので、これらを組み合わせて「サンダーシープ」という、
B級アクションヒーローものを書いてみたいと思います。

posted by おおおかとしひこ at 08:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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