2025年05月14日

【脚本添削SP2025】5 テーマ

さてと、プロットを見直すかー、
と作業にかかろうとして、不安になってきました。

このストーリーにはテーマがない。
B級アクション映画にテーマを求めるのは、
そもそもヤボともいえるんだけど、
テーマが本当になくていい?
という不安です。


マフィアvsFBI捜査官+女運び屋
という構造なので、
勧善懲悪がテーマではあります。

そのわりには、
マフィアがどうなったのかが描かれてない。
チップを入手できなかったことで、
何がどうなったかがわからない。

つまり、
「正義の者によって、悪は被害を被ったのだ」
というオチにはなってないのです。
ここはフォローするべきでしょう。

それがないと次の麻薬取引に困るのだ、
とでも前振っておき、
ああー顧客リストがあー、と最後になってれば、
ぎゃふんと言わせたことになり、
表向きのテーマ、
勧善懲悪がなされたことを描くことは簡単です。

ボスや部下を殺しても良いです。


ただ、それでいいか?
ということです。

これはよくあるB級アクションの別の形なので、
まあそのジャンルだからそんなもんよ、
という割り切りもあります。

だけどジャックの描き方に、
「30年銃を持っただけだから、
羊の毛なんて刈ったことがないし、
人形もつくったことがないし、
娘の手も握ったことがない」
という部分があります。
これはギャグっぽく描かれていますが、
ジャックの弱点です。

これを利用しない手はありません。
つまりジャックはこれを克服することがテーマになりえます。
銃のことしか考えられないジャックが、
娘の手のことを思うのは、
親子の話になりえます。

「そんな不器用な手なら、やめときなよ」
というリタに対して、
不器用ながら最後まで完成させる、
というのはジャックの別の人生のテーマになります。
そこを深掘りする手はありそうですね。

もちろんその帰結としての、
「娘が喜ぶ」というハッピーエンドは必要です。



ここでログラインを確認します。

「家族に捨てられたFBI捜査官と運び屋が、
紛失したICチップを探すために羊の毛刈りをして協力し、
悪の組織を倒して家族を救う話」

なるほど、カミサンと娘に逃げられたけど、
人質に取られていた子供達を救うことで、
「家族」を擬似的に助けた、
という風に描いたつもりか。

となると、リタの、
ありがとうの代わりにICチップを今回はFBIに譲るわ、
というオチはありそう。
ほんとは娘のプレゼントの中に入ってるんだけど、
とリタは黙っている、くらいがニクイかな。

で、ラストシーンは娘の誕生日にして、
「お父さんジャケットが羊くさい」といわれる、
的にしておけばオチるのではないでしょうか。

一々アメリカに帰るのが面倒なので、
元カミサンと娘はオークランドに住んでることにして、
誕生日パーティーが明日ある、
そのためにアメリカから来たらこの事件に巻き込まれた、
という設定ならば、
話が早そうです。

なので誕生日パーティーに、
羊の毛と涎まみれのジャケットで出る、
でもいいし、なんなら明日じゃなくて今晩でもいいですね。
話は早い方がよい。

それを柱の陰から見てるリタがいて、
スラムの子供に「サンダーシープがお父さんならいいのに」
と言われて真っ赤になる、というオチなら、
平和になれそうです。



これぐらい深掘りしておけば、
テーマも落とせそうだし、
B級アクションムービーとして、
ちょうどいい感じになりそう。

ということで次回。
posted by おおおかとしひこ at 09:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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