2025年05月23日

【薙刀式】日本人だけが変態の可能性がある

僕はSandS(Space and Shift)のアイデアを聞いたときに、
なるほど便利だと思い、
スペースキーとシフトキーを兼ねた、
新JIS配列のことを知った時に、
うまいことやるなーと思った。

でも、こんなの喜んでるの日本人だけ説ないか。


SandSの利便性は連続シフトで、
欠点は前に押して押しっぱなしするめんどくささであり、
離す必要性のあることだ。

これを批判して、
親指シフトは同時シフトにするべきとした。
同時(ある程度の時間ずれても許容)なら、
前後関係がずれてもセーフだし、
離しのタイミングを気にしなくて良い。
その代わり、都度毎回同時押しする必要がある
(連続シフト)。

これを批判して、前置シフトが生まれる。
同時タイミング気にしなくても、
先行で打鍵すれば良いのではと。
欠点は、誤ってシフトキーを押したら、
泣く泣く何か押してシフトを解除してから、
BSしないといけないところ。

これを批判して、
相互シフトが生まれる。
AB同時押しを、Aを押しながらB、Bを押しながらAの、
お互いシフトキーであるように定義する方式で、
薙刀式が採用している。
長所はゆっくり押してもOKなことや、
3キー同時押しでもゆっくり押せること。
欠点は実装の困難性だ。
あるいは、「離してから次を押さないとシフトに化ける」
(ロールオーバー化け)こと。

これとは全く別の文脈で、
短く押して離すとタップ、
長く押して(たとえば100ms)いるとホールドになるという、
自作キーボードでのTap/Holdが、
近年qmkで広まりつつある。
長所は操作が楽なことで、
欠点は100ms待つ必要があるため、
高速打鍵には向かないことだ。


で。

こんなのを議論したり、
複数組み合わせて活用しよう、
なんて言ってるの、日本人だけだと思う。

なぜなら、
こんなシフトレイヤーシステム、
アメリカ人提供のWindowsシステムには、
全然入ってないからだ。

MacのKarabiner-Elementsはすばらしいが、
これを開発したのは日本人。

つまり、シフトレイヤーシステムを極めようなどというのは、
日本人お得意の、
独自変態システムなのである。
たぶん外人が聞いたら変態というに違いない。


qmkで採用されているのは、
せいぜいタップホールドでの、
レイヤードレイアウトで、
文字自体をレイヤードにすることはない。

なぜなら英語は30キー範囲に入っちゃうから。

そうそう、
30%、40%キーボードかつ左右分割って、
日本で特異的に人気なんですって。
外人は60〜80%でOKなんだって。
それは、qwerty×ロウスタッガード×TKLで、
一定の完成をしてるからだと思う。
(カスタムキーボードは毎度これ)

なんで日本人だけが、
こんなに変態を極めていくのか?

日本語キーボードの完成度が低く、
日本語についてきてないからだ。

フリックを使ってるのも、
日本人だけだ。
外人、そんな器用じゃないのだ。


かつて英語キーボードで、
easy-easeと称して、
分割スペースにして、
左にBS、右にスペースを実装した例があった。
それすら衰退した。
そんな難しいの、アメリカ人は使えなかったのだ。

ついでにSandSも実装すればよかったのに、
とか考えるのは、
日本人が器用な変態だからだ。


なぜここまで変態なのかを考えると、
日本語が複雑すぎるからだと思う。

英語タイピングを僕は日常的にやらないが、
いざ英語打つと簡単だもんね。
操作体系がシンプルで良いわ。
変換いらないんだぜ。カーソル使わないし。
文頭の大文字とラージIだけめんどくさいけど、
それ以外は快適そのものじゃん。
エンターも出番ないし。

SandSもSticky Shift(小指のシフトキーを前置シフトに使う)も、
アメリカ人には広まらなかった。
でもこれがWindowsに実装されるだけで、
日本人はかなり助かるんじゃないかなー。

で、SandSだけじゃ足りねえよ、
と、いろんなシフト方式を発展させると思う。


もし、
あらゆるキーを、
単押しと押しっぱなしで、機能を重ねられたら?
もし、
あらゆるキーを、
大きさを変えたり好きなレイアウト
(3次元含む)にできたら?
もし、
まったく別のシフト方式をつくれたら?

色々な妄想が捗るよね。
それが自作キーボードだ。

30%や40%の世界では、
それがたくさん試行錯誤されている。
でもこれはほとんど日本人なんだよね。

なぜか。
日本語が複雑すぎて、
たかがキーボードでカバーしきれないから、
ではないかと最近思っている。


日本人は変態ではない。
日本語が変態で、
それに相応しいキーボードが、
まだできてないから、
変態にならざるを得ないのだ。

僕はこんな日本人の変態的探求性がだいすきで、
いいぞもっとやれ、といつも思っている。

早くWindowsがついてきてほしい。
Windowsは要するに日本語についてきてない。

DvorakJや紅皿や漢直WSを、
スタンダードIMEシステムに組み込むべきだ。
PowerToysごときでは、貧弱すぎる。
posted by おおおかとしひこ at 12:30| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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