「アマデウス」のほかのピーターシェーファーの戯曲も読んでみたかったので、
色々取り寄せた。
この「ブラック・コメディ」のアイデアにびっくりする。
停電のアトリエが舞台。
電気やろうそくがついてるときは真っ暗で、
真っ暗という設定のときは明るくなる、逆転の舞台照明。
つまり、「暗闇で人は何をしているか」を、
照明を逆転させることで表現するわけだ。
こんなんを1965年で既にやってたのか。
ネタバレなしで続ける。
面白いのは、
暗闇の中で、
人は嘘をつき、騙し、嘘の上塗りをし、
ごまかし、バレないようになにかをし、
ジュースと言って酒を飲み、
他人のフリをする、
などを描いて、
「表の顔と違う何かが人にはある」
を浮かび上がらせている点だ。
いわゆる皮肉的批評になってて、
暗闇とブラックコメディがかかってるというわけ。
暗闇なのでぶつかりそう、
実際にひっくり返る、
などのアクション的面白さも使いつつ、
実際のところは嘘がどんどん暴かれていく、
という体の構成だ。
このアイデアを使っていいから、
自由に一幕ものの演劇を書いて、
と言われても、
ここまで構成できるかは難しいんじゃないか。
オリジナルなアイデアを出したら、
それをとことんまで追求した、
第一人者の台本にせよ、
などと僕はよくいうが、
停電逆転もの?の最高傑作ではないだろうか。
あなたならどういうシチュエーションにする?
どういう人間関係を構築する?
焦点は何で、どういうことを縦軸にする?
発想は自由だが、ここまでの完成度で書けるかなあ。
現在古本でないと手に入らないので注意。
ブラック・コメディ ピーター・シェーファー
倉橋健訳
劇書房 昭和57年
2025年06月08日
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