何をどうやっても、我々の書くシナリオは、
日本の、今の役者によって演じられる。
これは事実だ。
三船敏郎や原田芳雄に演じてほしくてももういないのだ。
だから、想定キャストを考えておくことは、
とても大事だ。
全員じゃなくてよい。
主要キャストで十分。
事務所が違うと組織するのが大変だったり、
スケジュールの都合もあるし、
そもそも本人が出たくないもあるので、
まあ、主要キャストで第3候補までつくっておくといいよ。
なぜこれを考える必要があるかというと、
「この人をこの役に振る理由」を考えるためだ。
仮に佐々木蔵之介を第一候補に決めたとしよう。
なぜ彼がその役か?ということを考えるわけ。
年齢が近いからだけじゃだめだよね。
その鋭い眼光や実はまじめなところや、
おそらくその中に持っている狂気的な熱情まで、
演じられるのではないか、
ということで、僕は選んでみた。
たまにボケをやらせるのもいいかと思う。
第二候補は永瀬正敏、第三は杉本哲太。
どこかコワモテなのだが、根はまじめで、
行動力がありそうな人、ということで選んだ。
キャスティングを考えるときは、
二種類ある。
この人がこの役をやるとしっくりくる、
という選び方と、
まさかこの人にこの役が? いや、やれたら面白いぞ、
という選び方だ。
順目と逆目ということだ。
僕は、逆目として、高嶋政伸もあげた。
意外な人選だと思う。
でも最近悪役をよくやっているから、そんなに意外でもないか。
こんな風にして、
順目のキャスティングと、
逆目のキャスティングを使い分けて考えると面白い。
それは、人間の観察の参考になる。
その役の見た目や表面を演じてほしいのか、
その役の真実の部分を演じてほしいのか、
ということだ。
そのバランスを、
俳優一覧のホームページでも見ながら、
延々考えるのは悪くないぞ。
たとえば竹中直人は、
もうそういう役ばっかりだよね。
だから、全然違う、まじめ一本の役をやらせたりしたら面白くなると思う。
岡田将生は、繊細なイケメンばかりやらされてきたから、
役の幅が狭くなって、
一時期悪役や変な役ばかりやっていた時期もある。
そうやって、ひとつの役だけじゃないものを、
役者が望んでいるときもある。
あなたが毎回似たような作風を期待されることに、
飽き飽きしているようにだ。
「この人は世間ではこのように思われているが、
実はこれが得意なんじゃないか、こういう本質なんじゃないか」
と考えることは、
人間観察の幅を広げることでもある。
そんな風にして、自分の書く人間像も、
複合的な見え方になるとより深く、コクが出ると思うよ。
もちろん、その役者には、マネージャーや事務所が与える、
役の計画なんてのがあるだろう。
30超えるまでは清純派、と考える女優の事務所はあるに違いない。
あるいは、全然違う役がやりたいんです、
という本人の希望もあるかもしれない。
配役には、いろんな力学がある。
実際に決まるのは、そうした力学が働いた結果ではあるが、
その役の本質は何かを考えることは、
悪くないことだ。
もしそれが言語化できたら、
キャスティングディレクターにそのまま渡せる資料になる。
脚本家の希望が具体になっているほど、
探しやすくなるよね。
有名人じゃなくてもいいから、このような特質をもった人、
というのでよければ、
無名の役者にも芝居がうまい人はたくさん埋もれている。
そういう人があなたの映画で突然脚光を浴びる、
というのも悪くないではないか。
ちなみに、
以下のサイトで探すことができる。
タレント辞書
https://talent-dictionary.com/
20代みたいに10歳単位で探せるのが助かる。
ドンズバの年齢である必要はなく、
10くらいは乗り越えられると思って探すことだ。
○○のイメージなんだけどなー、
なんて実際に年齢を見てみると、+5〜10くらいいってることもあるからね。
これでざーっと探しておき、wikiや事務所HPで詳細を確認する。
○○代俳優人気ランキングなどで検索すると、
勝手にランキングしたサイトもあるので、
世間の動向も確認できるよ。
そうそう、日本のプロデューサーの連れてこれる人って、
事務所に口が効く人の中からよさげな人を選ぶだけで、
全くコネないけど役にぴったり、
を選ばないことが多いんだよね。
いけちゃんの蒼井優は僕が提案したんだけど、
そんなこと考えもしてなかったのでびっくりした記憶。
だから日本映画は同じ役が回るんだよまったく。
2025年06月24日
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