わかりやすくてよい邦題は、
当たり前なので、なかなか記録することがむずかしい。
以下のTwitterで見たやつはよかったので拡散。
『Sister Act』→『天使にラブ・ソングを…』
『The Notebook』→『きみに読む物語』
『The Mummy』→『ハムナプトラ』
『Up』→『カールじいさんの空飛ぶ家』
『Frozen』→『アナと雪の女王』
「天使にラブソングを…」は悪くないが、
全然話が違うよね。
「警察に追われた女が修道院に逃げ込み、
たまたま歌が上手かったので、
聖歌隊を指導する話」なので、
ラブソングではない。
誰かが天使のような人でもない。
ギリギリ天使がキリスト教、くらい。
ギリギリ神の愛の意味のラブソングかw
原題のシスターアクトは、
修道女のほうのシスター。姉妹ではない。
シスターのふりをして(act)、
歌を歌う(act、performance)、
のと、両方にactがかかっている。
それこみでうまく訳せなそうだから、
いっそクリスマスキャロルの、
中身のない素敵な雰囲気のタイトルだけにしたろ、
という戦略は、悪くない。
甘ーいタイトルの割に、
ウーピーゴールドバーグの何だこりゃ感のインパクトが強いので、
そのギャップが狙いなら正解だと思う。
「…」が効いてるよな。意味ないのに効いてる。
「きみに読む物語」はもうこれしかないよ。
The notebookなんてダセえ。
むしろこんなタイトルをここまでステキにするなんてねえ。
隠れた名作なので必見です。
ラストはできすぎてるけど、佳作よりも名作の位置にあげたい。
若い頃のラブストーリーっぽいタイトルに見せておいて、
実は……まで内容に沿った、いいタイトル。
「ハムナプトラ」は、
原題の「ミイラ」だったら見なかっただろう。
敵の「イムホテップ」でも良かったと思う。
つまりエジプトのヘンテコ固有名詞で、
異国情緒があるよ的な。
「カールじいさんの空飛ぶ家」は名作タイトル。
「up」だけじゃあよくわからんよね。
英語タイトルって、
なるべくワンセンテンスやワンワードなど、
シンプルなものほど本質を表す、
的に考えてるフシがあるが、
いいタイトルとは、
「見る前から期待できるもの」でもあるはず。
「空飛ぶ家」だけだとホラーっぽいから、
カール「じいさんの」と、ほのぼのを足したのはいい判断。
「アナと雪の女王」は、
文言だけ見るとよさそうだが、
内容を反映してないという意味ではバッドタイトル。
アナが主役で、
雪の女王に何かをもらいに行く冒険を、
想像してしまう。
主役はエルサやしな。
「エルサとアナの氷の城」
ぐらいが、姉妹もの、かつ内容を示せたのでは。
原題frozenは、
凍ったままのエルサの心と、
物理的な氷の世界のダブルミーニングなので、
これも日本語に端的に訳せない。
こういうタイプのタイトルで、
邦題をつける人の、
内容の理解力、文学センス、
興行センスが重要になる。
「アナと雪の女王」に関しては、
ストーリーが中折れで、
中折れの時の主題歌let it goが良すぎるため、
この一点突破さえできれば、
興行的にヨシと判断した人がいるはず。
なので、このシーン推しで売り切るつもりならば、
ディズニーっぽければなんでもよし、
みたいに割り切った可能性がある。
邦画のタイトルは、
このように色々な裏の文脈があって、
配給側が工夫している。
その映画が名作になるかどうか、
その興行が当たるか、
の二つの要素の絡み合いだから、
当たり外れもあるよな。
ただし、カタカナタイトルでわかりにくいものを、
そのまま出すやつはダメだ。
トワイライトウォリアーズみたいに、
原題ウォリアーズオブトワイライトを、
変に縮めるやつも許せない。
頭悪いやつがやってる。
帝大出ぐらいがやってやれや。
原題と邦題を古今東西集めたリストとかないのかな。
意識して比較したことがないので、
配給会社ごとにカラーが分けられてたらおもしろいかもね。
(追記)オールドムービーの解説。
知らないのばっかあっておもしろい。
https://note.com/smallworld/n/n5c51e6486830
この頃はタイトル一発で興行成績変わったろうなー。
それくらいの真剣みがほしいもの。
2025年06月25日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック