2025年07月04日

【薙刀式】英語配列に思うこと

日本語は昔からある言葉(和語)、
古くに輸入した言葉(漢語)、
それを使って創作した言葉(明治期の翻訳語。現代中国語に逆輸入)、
最近輸入した言葉(外来語)、
などに分かれていて、
それらが混在している。

英語もそうらしい。


僕らにはあまり区別がつかないが、
ラテン語由来の古い言葉や、
フランス語やイタリア語由来の言葉なども、
混ざってるらしい。
そのままの形を保存してる場合もあれば、
長い時間かけて訛ってる言葉になってる場合もあろう。

英米の教養ある人は、
そんなのを区別しながら言葉を操っているだろうよ。


たとえば映画「ターミネーター2」の名セリフは、
僕ら日本人には「I'll be back」だが、
これは宣伝に使われたキャッチコピーで、
本編内ではちょろっと使われただけなのにガッカリする。

アメリカ人にとっての名セリフは、
「Hasta la vista, baby」らしい。
日本語では「地獄で会おうぜベイビー」
と訳された。
んー、僕らはさらっと流したセリフだと思う。
そんなに記憶にないと思う。

元々はスペイン語でさよならの意味らしい。
それを色んなヒット曲で使われたらしく、
「異国感のある、シャレた言い回し」
のニュアンスがあるっぽい。

で、昔のヒット曲でそれが使われたから、
現代の若者的には、それをわざと使って、
喧嘩を売る時に使う、というニュアンスがある。

シャレたニュアンスは我々は読み取れないよな。
だから翻訳ではさらっと流されて、
我々の記憶に残らない。

ここまで訳し切れてない翻訳が悪い。
「アディオス、ウンコちゃん」
「おとといきやがれベイビー」
くらいのニュアンスは訳せるべきだ。
(もっといい訳はあるとして)




で、
配列である。

配列は言葉を扱うのだから、
こうした言葉の性質を汲むべきだ。


カナ配列薙刀式ではそのようになっている。
和語、漢語、外来語に、
それぞれ特殊な運指を与えている。

和語はアルペジオや連続シフトが多い。
つなぎの言葉はなるべく中央指だ。

漢語の2文字目は「いうんきくしつち」しか来ない性質を用いて、
それを右手に多く持ち、左→右で高速に打てるように。
(多くのカナ配列の伝統)
また、熟語に多い拗音は、1モーラ1アクションなので強い。

外来語は外来音同時押しで、1モーラ1アクション。


つまり、少なくとも3つの層に対応した、
運指構造にも3つの層がある構造をしている。


で、英語だ。

英語配列も、そうなってんの?という話。


もちろんqwertyはそうなってなかろう。
だけど、
qwertyを批判して、
新時代のキー配列を標榜するからには、
ことばの歴史的層に対応するような、
運指構造をもってんのかよ?
って話さ。

古代の言葉、中世の言葉、今の言葉、
その流入の歴史、などを反映した体系になってるはずで、
それぞれの発音やスペルの傾向違うよね?と。

それらを鑑みて、配列に反映されてんの?
ということを調べたいのだが、
まず英語にどのようなそういう地層があるかわからず、
そしてそれらを配列にどのように反映するべきかが、
わからないので、
英語翻訳者くらいしか詳しくないのでは?
などと思った次第。


いや、別に僕は英語配列を本格的に使うつもりはなく、
qwertyを使う程度しか使わないので、
自分の用事としてはどうでもいいのだが、
新配列の歴史的意義として、
興味があるだけさ。


たとえば、
ラテン語は学術用語によく使われ、
○○のあとは○○が来る、などの音韻的特徴がある。
これを打ちやすく左右交互にして、
現代語のアルペジオとは運指的に区別していて、
指の運指感で、由来の語がわかる感覚になっているのだ、
なんて配列あるんだっけ?
ということ。


いや、薙刀式やほかのカナ配列はそこまで詰めてるのに、
英語配列がそれをやってないのは、
仕事がぬるいだろと思うわけで。

きちんと調べてないが、
たとえば漢直で、漢音や呉音で運指構造を変えてある、
とかはあるんかなあ?
僕ならそこまで考えたいなー。



ことばは歴史を背負っている。
今我々の周りにある何万語は、
すべてフラットにあるわけではなく、
地層を持っている。

それをガン無視して、
2連接頻度だけで並べた新下駄のような極左もあれば、
薙刀式みたいにある程度使い分ける極右もある。
(もっと極右も可能だろう。
蜩配列は古語専用だから、平安極右だ)

左翼は効率だけが求めるべきこと、という思想で、
右翼は文化の伝統を織り込むべき、という思想だな、
この場合。


そんな、英語配列の事情知ってる人いないかなー。
単なる言語学的興味なんだけどさ。

(フランス語が極右的に、フランス語を効率良く打てるBepo配列を、
第二配列として採用したことは聞いているが、
フランス語と英語の構造の違いを、
うまく解説してくれる人もいないので、
運指構造ごと理解できないのだ……)
posted by おおおかとしひこ at 14:16| Comment(5) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
qkndx j↰iug
prstf weaoh
blcmz vy,.−

全く効率などは測定していないのですが、個人的に自作英語入力用配列を使っています。
prstとweaohの並びが気に入ってます。あと中指上段のnとi。
Posted by かなで at 2025年07月05日 11:14
>かなでさん

英語に関しては語れるほどの体験がないので、
なんもいえねえ、が正直なところです。

なんで大文字Iが配列に入ってないのか、
僕にはさっぱりわからんのですよ。
小文字iと区別して分けてもいいと思うんだけど。
Posted by おおおかとしひこ at 2025年07月05日 20:52
英語の場合だと Dvorak が老舗な Alternative-QWERTY 配列として有名で、Colemak / Colemak-DH / Workman / Minimak あたりもあります。極端に QWERTY に寄せているのは FT-Swap でしょうか。

* https://en.wikipedia.org/wiki/Dvorak_keyboard_layout
* https://colemak.com/
* https://colemakmods.github.io/mod-dh/
* https://workmanlayout.org/
* http://www.minimak.org/

YouTube などで昔見た紹介動画だと、ヒートマップとかその人がこの配列を使うことで、どの程度の期間でどれほど速くなったのが語られるという感じだったはずです。Colemak の紹介で Ctrl-Z/X/C/V のショートカットは変わらず使える、というのもありました (そういう意味では backward compatibility を意識しているとも言えます)。

もう少し調べれば個々の配列の特徴というか、思想のようなものも見えてくるのだと思いますが、結局は「各自試してみて、一番良いと思うものを使ってね」という (ある意味当たり前の) 結論になる気がしています。

FWIW: ドイツ語では Neo というのもありますです: https://www.neo-layout.org/
Posted by Akira K. at 2025年07月14日 23:02
>Akira K.さん

Neoというのは初めて見ました。
第二外国語でやった範囲ですが、
ch、schを人差し指交互で取る仕組みになってますね。
定冠詞で使うdが小指なのはどうなんだろ。
主な子音を人差し指で取る発想なんだろうなと思われます。
しかし図を見る限りヒートマップしか議論してないのかしら。

英語配列全般、ヒートマップしか議論してなくね?
って疑惑が少し出てきますね。

アルペジオなどで指の流れとか言ってるのは、
arensitoだけだったりして……
Posted by おおおかとしひこ at 2025年07月14日 23:37
> しかし図を見る限りヒートマップしか議論してないのかしら。

私ですら N-gram を考慮した配列を考えているのですから、当然 affix や N-gram を前提にした並びを考えているとは思います。とはいえ、どちらかというと "T" をホームポジションに置いて、"J" を脇に追いやるとかの議論が多かったように記憶しています。
Posted by Akira K. at 2025年07月15日 03:24
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