早稲田松竹に「惑星ソラリス」を見に行って、
カルトSF特集で併映されてたこれを見た。
アランレネだからフランス映画のシャレた画風で、
タイムリープものって、って興味を持つ。
が、しかし。
ものすごいすべりっぷり。
これは映画監督を目指す者は全員見ておくべき、
最高の失敗作の一本だ。
ネタバレしといた方がむしろ覚悟できると思うので、
親切のためにネタバレしながら議論する。
とある男が自殺未遂をする。
病院に現れた謎の男に研究室に誘われ、
生きる目的もないのでつきあう。
そこはタイムリープ研究所。
1分だけ過去に戻る実験をマウスで成功させたが、
人体実験の第1号になってくれと。
巨大なヘンテコタイムマシンに乗せられ、
1年前に1分だけ行くといわれる。
だがその時とは、
唯一バカンスに出かけていたあの夏。
最愛のカトリーヌと過ごした夏。
以下、なぜかタイムマシンがうまくいかないのか、
執着が強いのか、
タイムリープを無限に繰り返す。
しかも1分ぐらいのぶち切れ尺で、
時系列も場所もランダム。
出会ってから別の女と付き合い、
彼女の死後や、
「カトリーヌを殺した」と告白する場面など、
ものすごくランダムに100?200?シーンぐらい飛ぶ。
細切れ、断片。
彼女と過ごした幸せな時間、
彼女と喧嘩した時間、
彼女がいない時間、
仕事の時間、
別の女と過ごす時間。
因果関係はない。情報の整理もない。
ただ他人の夢をランダムに100?200?回見させられる感じ。
正直何回か気絶したと思う。
因果関係のない、オシャレフランスラブストーリーの断片を、
ランダムにひたすら見続けさせられる大苦痛。
正気か。
ストーリーはない。
ストーリーのない90分が、
どれだけ苦痛か体験するのにちょうどいいぞ!
意図はわかる。
記憶というのは断片的で曖昧であると。
愛の記憶なんてのも、断片的な夢のようであると。
何度かちょいちょい繰り返されるシーンがある。
バカンスの島、路面電車を待っている冬。
彼女が微笑んで暖炉の脇のベッドで寝ているところ。
猫。
途中なぜか島でハツカネズミを発見するんだけど、
「タイムリープしてきたお前か」と、
実験室のものだったと気づくのが、
唯一意味があるシーンで、
ほかは全部意味無しシーンなのがすごすぎる。
90分、意味のないカットを延々見させられるんだぜ?
「コヤニスカッティ」かこれか、って感じ。
そして最後は結局自殺のシーンになってバッドエンド。
え?死ぬべき運命の彼女を、救いにもいかないんだ。
運命は変わらない、
記憶や愛は断片的で、意味などないのだ、
は、まあわかるよ。
ランダムタイムリープが、複数の世界線にまたいでる可能性もあるし。
何回タイムリープしても彼女を救えない、
というほど目的の矢がある話でもないので、
まじで他人の夢に付き合ってるだけのバッドエンド映画。
意味を解体する、
という目的で作られたとしか思えない、
1968年の実験作品。
今こんな企画出したら秒で没だけど、
こんなのつくったらどうなるんだろう?
という妄想だけで話が進んだのかなー。
オシャレタイムリープもの、
ナンセンスものを考えるならば、
一度見ておくべき映画。
ここより下はない。
そして、意味や目的のないタイムリープは、
ほんとにつまらないことを知ろう。
映画はストーリーでなんぼですね。
2025年07月05日
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