2025年07月06日

ほな、このお話の意味とは(「惑星ソラリス」評2)

ちまたでは難解といわれるソラリス。
僕はちっともそうは思わなかった。
「間がたるいだけ」で、
やってることは90分映画に収まるレベル。

セリフがわかりにくいだけで、
セリフは嘘をついてて、
行動だけが真実と考えれば、
たいしたことをしていない。


みんな第1部で寝ちゃったんじゃね?
景色はきれいに撮れてるけど、
やってることは、
「ソラリスはおかしな星である」
という前情報でびびらせてるだけやで。

ソラリスについてからこの映画のようやくはじまり。

幽霊かと思わせる謎の女のホラー展開のあと、
死んだ妻が物理出現してからが本番。

「ソラリスは不思議な海をもっていて、
人の思念の底にあるものを具現化してしまう。
ただし完コピではなく、
どうやら中性子の集まりらしい」
という一つの嘘を認めれば、
これ以降の展開は、
「その偽の妻は人間なのか?
そうじゃないのか?」
というストーリーにすぎない。

で、
偽物かもしれないが、
私には本物であるからあなたを愛します、
という主人公と、
偽物として苦しむ妻の自殺があり、
ソラリスを破壊するべきという同僚研究者がいて、
ついに放射線を浴びて破壊して、
妻は二度と出現しなくなり、
主人公は故郷を出現させてそこで暮らす
(地球には帰らずに)、
というだけでしょ。

たったこれだけの、
どこが難解なのだろう?
ただのバッドエンドやん。


解釈を難しくしてるのは、
「やたら長い間」と、
「やたら長い回想」だ。
冒頭の白黒ビデオ(ソラリスがどんなところかの、
飛行士の報告)、やたら長かったでしょ。
あんなの5分や3分で終わるよな?

つまり、
タルコフスキーは編集が下手なんだよ。

的確な情報量を、
的確な尺で伝えることが、
できてない作家なんだ。


みんなこの下手な編集を前に、
この時間はきっと何かを伝えてるのだ、
などと考えてしまって、
ううむ、難解だ、などとなるだけなのだ。

ストーリーだけ見たら知れてる。
それを伝えるのが下手なだけさ。
コストと伝送量のバランスが取れてないだけやんけ。


で、
「このストーリーはわかった、
で、何が言いたいの?」だと思うんよな。

偽の妻を愛します、死にます、
偽の故郷で暮らします、
の、なにがおもろいの?ってところだ。

私はソラリスに取り込まれて幸福です、
オチじゃん。
つまりこれって人類補完計画の成功ってオチよ。
涅槃に到達しました、
にすぎないわけ。

これを3時間かける意味が僕にはわからない。


惑星ソラリスがなぜ褒められたのか、
全然分からんのよ。
たぶん、理解できなかった人たちが、
勝手に持ち上げてるのでは?
とすら思う。


同時代のSF「2001年宇宙の旅」と比較されたのだそうだ。
2001年もわかりにくい。
猿が人類に進化して、
AIが進化して人類に反乱を起こしてそれを止めるんだけど、
その人類自体は「次の人類」=スターチャイルドに、
進化する、
という話だ。

進化をうながす媒体=モノリスは、
誰が作ったのか、なんのためにあるのかは不明だが、
それ以外は極全うな進化の記録に過ぎない。

これを「難しい」という当時の人類は、
まだSF慣れしてなかったんじゃないか?

ていうか、両方ともたるすぎる。
60分くらいで話せる話でしょ。



で、この話、
何が言いたかったんや?
原作者はこれを見て激怒したという。
小説は未読だが、
ソラリスは人類の新しい神となり、
次の進化を促したのでは、
とストーリーを予測できる。

だが小さな脳内理想郷に収まり、
幻想を見て生きていく映画版の結末は、
マトリックスに繋がれて夢を見続ける、
人類そのものではないか。

というわけで、
なんでこれがいいの?って話を聞きたいのだが、
「芸術」というよくわからないもので思考停止してる文章ばかりだ。

それって絵の話よね?
ストーリーの話を誰もしてないのよな。
posted by おおおかとしひこ at 12:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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