2025年08月06日

【薙刀式】身体的抵抗

新配列を見た多くの人たちの気持ち。
> うーん、もうQWERTYを身体が覚えてるから今更配列変えるほうが効率下がりそう

気持ちというよりも、身体的抵抗だと思う。
自転車をやめて、それより効率の良い手で漕ぐ車があります!
といわれても、自転車の身体的感覚で行けてるしなー、
と思う感じだろう。


ただひとつだけ違いがある。
自転車は効率が良くできているが、
qwertyは効率良くはできていないところだ。


qwertyはジャムらせないようにわざと打ちにくくした、
というのはデマだ。
Dvorak配列を普及させようとしたDvorak博士が同じことを言ってたのは確実で、
彼がデマ元かは不明だが、
彼と前後してこのデマが広まったことはたしかである。

仮に打ちにくくしたとしても、
我々日本人には関係がない。
英語とローマ字の文字の繋がりの構造が全然違うからだ。

ローマ字は子音-母音-子音-母音……
と交互に連続する構造(例外はア行、拗音)だが、
英語は、
(子音×n-母音-子音×m)×2〜3-スペース-……
という構造をしている。

もし英語が打ちにくい構造だったとしても、
ローマ字が打ちにくい構造である保証はない。

だがら、qwerty英語とローマ字の打ちにくさには、
相関がないと考えるのが頭のいい人の判断だ。


で、改めて考えると、
qwertyローマ字は打ちにくく、
運指効率が悪い。

そもそも1音1カナが前提のものに、
平均1.7打かかるのが効率が悪い。

フリックは1スライドまでを1打と数えれば、
ほとんどのカナを1打で出せることに比べて、
あまり効率のいい方法とは思えない。


また、qwertyローマ字には、
運指法としてかなりめちゃくちゃな点がある。

・日本語でもっとも使う12%出現の母音A
 (なお英語ではAの頻度は3位で、1位はE)が、
 最弱の左小指担当

・遵守すべきホームポジション、ポッチまでついてるFJが、
 出現率1%未満のほぼ使わない文字。
 なぜ頻度1,2のAとTを持ってこないのか?

・N、NN、NNNを使い分けなければ、
 「ん」とア行とナ行とニャ行を分離できない欠陥
 ちなみに頻度カナトップ3は、い、う、んであり、
 既に混ざる危険

・全体では0.3%の出現度だが、
 カタカナ語の中ではダントツ1位の「ー」が、
 とんでもない場所にあり、しかも小指担当。
 スーパーヒーローとかコーヒーメーカーとか地獄

・促音が子音2連打。
 高速な運指法とは、必ず異なる指で打っていくものだ。
 ためしにJKとJJ、どちらが速いかを競うと良い。
 KKは確実に遅いだろう。
 促音のたびに同キー2連打の遅い方法を強いられる。

・片手アルペジオ運指(隣の指でタランと高速に打てる組み合わせ)
 を、活用していない。
 たとえば右手では、JK、JI、JO、JP、MK、MI、MO、MP
 HK、HI、HO、HP、KL、J;、K;、L;、UI、UO、YI、YO、YP、
 などは高速に打てるアルペジオの代表だ。
 逆順もあろう。
 使ってない組み合わせも多いし、使うにしてもマイナー音ばかりだ。
 ここにメジャー音を持ってくるべき。
 左手についても同様。
 ここにこぼれたものを左右交互に割り振るべき。


・結果、打ちにくい片手連続配置がよくある。
 されて、られた、だった、られていた、など、
 日本語でよく使うフレーズがしんどいものが多数ある。
 ここで手が遅れるため、思考が遅れてしまう。




qwertyローマ字は遅い。
無理な運指を強要されるからだ。

もしこれを速く打てる人がいたとしたら、
かなり指の動きに無理をさせている人だ。
RTCという日本一のタイパーを決める大会を見たまえ。
この指さばきを不自然と思わない人はいない。
曲芸師で指が歪んでないと無理。
とても「自然言語を自然に操る」ようには見えない。

一方自然言語とは、崩し字でわかるように、
自然な手の動きで書けるようにつくられたものだ。
キーボードが不自然なままなのだ。


qwertyローマ字はつかれる。
無茶な運指だからだ。

短期的には素早く書けても、
長期的には身体に無理をかけて、
いずれ壊す。
作家に腱鞘炎が多いのはこのせいである。

キーボード配列とは「指の動かし方」のことである。
この動かし方に無理があり、
変な順番だったり、
長距離を動かさせられたり、
ストップアンドゴーの変則的な動きを強いられたりすれば、
滑らかな動かし方に比べて、
疲弊するに決まっている。

ピアノには難曲と易曲がある。
qwertyは初めから難曲なのだよ。
文字の並び方さえ変えれば、同じ文でも易曲になる。



まあ、どれだけ批判されたとしても、
自転車が快適ならば、
自転車の無意識を変えたくないという気持ちはよくわかる。

だけどそれは、
自転車という最適化されたものではなくて、
ある時代に進化途中に固定されたものを、
最適化しようとして数文字動かしたら、
大変な不快を表明されて、
動かしようもなくここまで来た、
妥協の産物であるという100年の歴史は、
知っておくと良い。

誰もが覆そうとした。
大きく変えて最適化したり、
幾つかのキーを動かすだけの妥協案で改善したり。
だがそのたびに、
「もう一度覚え直すのはいやだ」
という反発にあい、
努力を強いるものとして忌避されてきたのだ。


もちろん、新配列をマスターするのには、
一定の努力が必要だ。
だがそれを越えれば、
「別のもっと最適化された自転車」が、
待っていることだけは伝えたい。

嘘だと思うなら、以下を見れば良い。
https://youtu.be/PpcL9fqZ5eg
もっと見たかったら「薙刀式」でYouTube検索すれば良い。
「薙刀少女のアイデンティティー」というタイトルで、
もう40本も動画をあげている。
内容は日常の話だったり配列の話を、
事前原稿なしでアドリブで書いているだけの動画だ。

あなたがここまで滑らかに文章を書けるか、
この文をリアルタイムで写せるか、
をやってみるとよい。
追いつけなければ薙刀式の勝ちだ。

大体10分くらいの動画が多い。
でも実際の執筆は30分や1時間はザラだ。
その差を実感されたい。



努力しなければデブになる。
新配列はダイエットに似ている。
でもたぶんダイエットの方がたいへん。
僕はまだ小太りだからね。w

キー配列に関して言えば、
日本人の99.9%くらいが、
不自由な自転車のデブで、
身体的抵抗を無意識に感じていて、
「いやーまあこれで困ってないし」と、
現状肯定をすることで怠惰をむさぼっている。

もちろん、楽に、速く書きたく「ない」ならかまわん。

だけど、
数週間努力するだけで、
こうなれるメソッドがあり、
しかも無料なんだから、
やりたい人はやればいいと思う。


薙刀式以外にも、
新配列は多数提案されている。
メジャーなやつで100、
マイナーなやつまで入れれば1000。
新配列、Alternative Typing Contestでググればいいよ。


効率が下がるわけがない。
上がる一方だ。
ただ、マスター期間
(配列によるが、数週間から半年)は、
当然のことながら効率が下がる。

あなたの人生のうち、どれだけ下がってもいいかで、
その後の効率を上げる計算をすればよい。

あなたはあと何年も生きるんだろ?
何十年も生きそうな人はどうする?
その長期的なキーボードとのつきあいを、
どうしたいかだね。
いっときの身体的抵抗のスケール感でものを見るのかね?
posted by おおおかとしひこ at 11:53| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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