2025年10月19日

派手な絵があるほうがいいか、ないほうがいいか

難しい問題だ。ショウとしてはあったほうがいい。
しかし、派手な絵の為にストーリーが歪んで成立しなくなるなら意味がない。


派手な絵は、イコンになる絵と言い換えてもよい。
そのストーリーといえばその絵、と、その絵に象徴されるようになるのが理想だ。
そして、その絵は面白そうに見えるとよりよくなる。
中身の面白さをそれが暗示しているようになるべきだろう。

低予算だと、それが難しい。
派手な絵作りをしている予算的な余裕がないから、
人情ものとか、半径2メートルの物語になりがちだ。
そうするとごく普通のそのへんに転がっている風景を撮ることになるから、
イコンがなく、そのストーリーのアイデンティティにはならないわけ。
だから、なんかよくある絵の話、という風に記憶されて、
こうこうこういう展開があった話、という風には記憶されないと思うんだよな。

近年自主映画からヒットにつながった、
「カメラを止めるな!」も「侍タイムトリッパー」も、
ゾンビ映画を撮るチーム、侍が時代劇の切られ役になる、
というイコンがあったから、
ヒットにつながっているような気がする。

どういう映画?という質問に対して、
絵で答えられるから、
話が早く、口コミで伝わりやすいわけ。
こういうコンセプトの映画だよと。

弱点は、それ以上深い話にならないことだよね。
「カメラを止めるな!」は映画製作の話だけど、
何故映画を作りたいのか、という動機が甘く、
やっていることは文化祭レベルの映画製作で、
それが命をかけてやるほどの素晴らしい映画か、
ということに疑問がわく。
つまり、ワンカットが面白い、という仕掛けだけで終わっている。

「侍タイムトリッパー」は、
時代劇の切られ役になったとしても、
その先因縁の相手と切り合いをすることと、
演技ということが、どう関係してくるのか、
描き切ったとは言えない。
演技とは「ふりをすること」で、
本気とは「ふりをしないこと」だから、
その結着がついたようには見えなかった。
そして同じくだけど、必死でつくっているその映画そのものが、
すばらしいものをつくっているようには見えなかった。

だけど、そのイコンが新しく、
面白そうに見えたから、
ヒットしたんだと思うよ。
メジャーからでて来ないイコンともいえるしね。


あなたの物語は、
どういうイコンを持っているのだろうか?
派手な絵だろうか?
派手なほうが目立ち、人づてに伝わりやすい。
だから、
「男と女が抱き合っている」なんて地味な絵面よりも、
もっと見たことのない、全然違う目立つ絵に辿り着いたほうが、
おもしろい映画になる可能性がある。

アイデアを思いついたら、
どういう絵になるかを考えるのもよいことだ。
動機や目的や展開や結末を考えることはもちろんだけど、
それが地味な絵で象徴されるならば、
あまり映画として成功する見込みはないと思う。

それよりも、
聞いたことのない派手な絵で、
成立しているストーリーのほうが、
早く映画化されやすいと思うよ。
なぜなら、派手な絵のほうが、
プロデューサーたちに伝わりやすく、
覚えられやすいからだ。
「ああ、男女が抱き合っている映画ね」というよりも、
「ゾンビ映画をつくるやつらの話ね」のほうが、
強い絵だからね。


簡単なことだ。
人は絵で会話している。
意味で会話するよりも以前に。
posted by おおおかとしひこ at 09:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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