2025年09月27日

映画がだるいのは、4番目の人格になっているから説

最近映画館まで行くのがだるい。
じゃあ配信ならいいのか、というとそれもだるい。

2時間集中するのがだるいのかと思うと、
別にショートドラマでもだるい。
他人の話に興味がないのかといわれると、
ツイッターの他人の話はよく見聞きする。

何がしんどいんだろう?と思うと、
「感情移入をするために、自分を空にすること」
がしんどいんじゃないか、って最近思い始めた。


どういうことかというと、
ストーリーを見るには感情移入する必要がある。

それはつまり、
「別の人格になること」だ。
自分という殻を脱ぎ捨てて、
主人公という別の人生をいっとき送る、
というのがストーリーを見ることである。

それが、今1個しか人格がなくて、
2個目をインストールすればいい、
みたいな、
高校生のような頃だと簡単だったと思う。

だけど情報化社会になり、
ネットでの人格(オンライン会議の人格も含む)と、
本来の人格がだいぶ乖離してきて、
「いつも2個以上の人格を使い分けているなー」
と最近思うようになってきた。

かつては公私、ぐらいの2個人格でよかった。
だから3個目の映画の架空人格を入れることが、
映画を見ることくらいだった。

だけどオンラインが中心になってくると、
公、私、ネット向けの自分、と、
少なくとも3つくらい人格があるんじゃないか、
ってことだ。

だから、4つ目の映画人格を自分にインストールする余裕が、
ないんじゃないか、って思い始めている。


これは僕だけの傾向ではなくて、
ネット社会で複数のクラスタに所属している人は、
みな感じていることなんじゃないかなあ、って思う。
ネット人格を複数使い分けてたら、
5も6も7も人格があり、
フィクションを自分に入れる余裕がないのでは?と。

なぜフィクションの力が落ちたのか?
にはいろいろな答えがありそうだが、
ネット上に色んな人格が出来過ぎて、
一個の人格を自分の中につくりあげられるスペースが減ってきたから、
というのがあると思ったわけ。



昔の映画は人生の解像度も低く、
漫画みたいな人格でよかった面もある。
だけど、
HDやネットの普及で4Kとか言い出してから、
現実の解像度が上がりすぎて、
「1個の人格の解像度」も上がったんじゃないか、
って思う。

つまり、
感情移入先の解像度が上がりすぎて、
こっちの負荷がより大きくなっているんじゃないか、
というのが僕の考えなわけ。

たとえば西部劇の「シェーン」なんて、
かなりゆるゆるな隙間だらけだ。
「ターミネーター」だって、
ガバガバな感じだ。だから想像の隙間がある。
だけど「国宝」は、
ギチギチに設定が詰められてる感じがする。
(だから吉沢亮のキャラクターは空虚でバランスを取ったのかもしれない)


別のリアルをリアルに構築すればするほど、
そこに没入して構築するのに手間がかかる。
8ビットくらいの現実なら、
簡単に出来るのに。
だから8番出口くらいの解像度が手軽だったんだと思う。

ゲームも解像度があがり、
気軽に本数がつくられなくなったと思う。
映画もドラマも、そうなっているんじゃないかなあ、って思ったんだよね。

逆に、
作者の人生の解像度の低いもの、ラノベや、
素人小説とかは、
量産されるようになったんじゃないかしら。
プロじゃないから、そこまで解像度があがってなくても許される、的な。

だから、
適当な主人公、適当な世界観の、
適当なゆるい話が見たい、
という欲望があるような気がする。
感情移入はネット人格使い分け時代にはしんどいのだ。
だからゆるい日常系が見たいんじゃないか。

自分をそこに投影して、その人生を生きるよりも、
他者としての生き物(かわいい女の子)を見て、
それらがキャッキャしているだけを眺めていたいんじゃないか。



映画がしんどくなるとは思わなかった。
そういえば、
大人になってゲームがつまらなくなり、
アニメも見なくなり、小説も読まなくなる、
などの話はよく聞く。
大人になって体力が落ちたからだ、とか、
忙しくてそれにかまけている時間が取れない、とか、
もっともらしい理由で説明されるけれど、
事態はもっと深刻で、
「自分にそんな解像度の高い別人格をインストールするのがめんどくさいから」
なんじゃないか、
って思ったわけです。

とくに大人になると、いろんな知り合いができて、
色々使い分けなきゃいけなくなる人格が増える。

真実のところは分からない。
あくまで説だ。
posted by おおおかとしひこ at 09:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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