2025年11月14日

自分が変化するのではなく、自分を変化させるのである

変化は、必ず物語には必要だ。
何も成長してないのなら、その物語からは教訓を得られなかったわけで、
たいした話じゃなかった、と自ら認めているようなものだ。

で、変化は外から変化させられるものではない、
ということだ。


自分が変わることを想像しよう。
環境によって、あるいは親によって、
洗脳させられた人がどれくらいいるか分からないが、
そういうものを除き、
人が変わるときは、
強制的に外から変化させられるものでない、
ということだ。
(いや、そもそも洗脳による変化は悪であり、
それは倒すべき対象ですらあるので、
物語で強制的洗脳のことを変化とは呼ばない)

大きな悲しみを受けたり、
大きなつらいことを受けたりすると、
人は変わってしまうことがある。
それは、「そうでもしないと自分を守れなかったから」であることが多い。
だから、自分を守る代わりに、
他人に対しては冷たい人になったり、
よくない人に見えることが多いと思う。

それは主人公の経験する最終的な変化ではない。

物語というのはハッピーエンドが理想であり、
「主人公が良い方向に変わった」が、
ハッピーエンドだからだ。

じゃあ、良い方向とはどっちだろう。
そして、洗脳によって「良い」になるのは、
たいてい新興宗教だから、
そういう変わり方ではないだろう。

だから、
主人公の変化は、
他人によって変えられるものでなくて、
自ら変わろうと思って変わるものである。


つまり、「変わる」のではなく、
「変える」が正しいと思う。

自分を変えようと思うときはどういうときだろう?
自堕落な生活をやめて、正しい生活に戻る時だろうか?
じめじめした性格をやめて、男らしく彼女に告白することだろうか?
「自分の弱点を認めて、これは変えるべきことだ、変わろう」
と思うときではないだろうか?

変わらなきゃいけなくても、
変わらない人はたくさんいる。
なるべくそんなめんどくさいことはしたくないからだ。
だから世間からデブはいなくならない。
誰もがダイエット生活なんてしたくないからだ。
だけど、馬鹿じゃないから、
それをしなければいけない、
弱点を克服したほうがいいに決まっている、
ということくらいは誰でもわかっているものだ。

あとはきっかけだよな。

物語とは、自分を変えるきっかけがやって来ることでもある。
内向的な性格の男子には、素敵な女子がやって来るものである。
冒険をしたことのない人には、恐怖を克服するような大冒険がやって来る。
責任から逃げていた人には、責任の重い仕事が降ってくる。

その時に、逃げられるものなら逃げられる、
という状況をいったん置いておくことは大事だね。
「いや、もう逃げない、自分で自分を変えなくては、
この先、生きていけない」
となるべきだということだ。
その主人公の決心が、第一ターニングポイント、
ないしどこかで必要だと思う。
自分から変えないと、変わらない、
ということを身をもって描くべきだということだ。

人間、そんな簡単に変わらない。
本質というのは似たようなもので、
三つ子の魂百までなのだ。
だけど、
もし今弱点を克服して、変わるチャンスだとしたら、
人はむしろ喜んで苦しみを背負うのではないだろうか。

そうした内的無意識が描けていると、
「変わる」という事象には、
「自らを変える」という自動詞になると思うんだよね。

本気で自分を変えるのは苦しい。
人生で一番つらいと思う。
これに向き合うくらいなら、
死んだほうがましとか、
死んだように生きているほうが楽とか、
そういうクラスでしんどい。
でも、
それを今変えようと思ったんだ、
となるまでを描くのが、物語だと思うんだよね。

物語とは人生の本質である。
本質的な所まで下りて行かないのは、
児戯だと思うなあ。

かっこをつけた変化なんて出来ないよ。
いつもぼろぼろと涙を流して、
鼻水流して、
こわくてぶるぶる震えて、
足もがくがくしてて、
それでもエイヤと飛びこまないと、
自分なんて変わらないんだ。
ともすれば、今までの惰性に戻ろうとする力を、
自分の意志で断らないといけないんだ。
そんな追い込みを見ると、
そしてその成功を見ると、
人は影響を受ける。
勇気づけられる。

それが、物語の力のひとつだと思う。
「ようし、俺もがんばろう。
こんなところでグダグダやっている場合ではないや」と思ってくれれば、
物語のいちばん大事な役目は、
果たせたのではないかと思うなあ。


主人公は勝手に変化するのではない。
自分を変える。
変身は自分の意志と勇気と、
チャンスがかみ合ったときだ。
posted by おおおかとしひこ at 08:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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