2025年11月22日

うまいこと言う、の繰り返し

表現というのはそういうものだ。


ストーリーがある。
それを進行するリアルなセリフがある。
リアルかもしれないが、
それは「ふつう」かもしれない。

時々気の効いた言い方する人いるよね?
うまいこと言うね、みたいな。

その瞬間、知性や冗談や言葉の面白さなどの、
ストーリー進行以上の、
人間の面白みを感じることができる。

これで単なるストーリー進行だけでない、
深みやコクが出るよね。


名セリフがそうだ。
名セリフにならなくても、
ちょっとした粋な言い方や冗談でもいい。

そんなのがないのは素うどんにすぎない。
リアルかもしれないが、彩りがない。

つまり、
シナリオというのは、
ストーリー進行だけをやってれば100%OKなのではない。
うまいこと言うなあ、を次々に連続して見せる芸だともいえる。

つまり、そういうふうに狙って書いてる?
ってことなんだ。


「思ったことをそのまま言う」
だけでは人生は進まないよね?
言い方を工夫するだけで、
人の気持ちが動いたりするわけだから、
言い方に気をつけて当然だ。

逆に、「オイ言い方に気をつけねえとただじゃおかねえぞ」
の脅しに対して、
次の面白い言い方が期待されるわけだよね?


漫画「コブラ」にはいくつもの名言がある。
単にストーリー進行だけしようとしてたら、
あんな豊かなセリフは出てこない。

ストーリーは基本アメリカアクション映画のような、
ピンチピンチまたピンチを、
最強のヒーローコブラが切り抜けるのであるが、
コブラは焦っていない。
余裕で名言をかます。
ほんとはビビりまくってるのかもしれないが、
余裕の冗談をかます感じが、
俺もああいう男になりたいと思わせる力がある。
それがコブラのコクの部分だ。

いくつか引用しよう。

「腹を立てるとなにをするんだ? うさぎとワルツでも踊るのか」

 「だ、だれだっ お前はっ!!」
「あててみろ ハワイへご招待するぜ」

「手を頭に乗せな、乗せないと乗せる頭が無くなるぜ」

「無駄だ、もうお前を守る騎士(ナイト)はいない」
「いるさっ ここにひとりな!!」

いきなり銃撃戦をはじめたあと、
「ノックをするべきだったかな」
「いいさ オレときさまの仲だ」

「し……信じられない この世にスチールを引きちぎれる男がいるとは……知らなかった」
「だろうな 特にPRはしてないからな」

「懺悔・・・? やめとこう すべてを告白するには一週間はかかるだろうからな」

「神か……最初に罪を考え出したつまらん男さ」

「オレたちがここで死ぬのは運命だ 不運ってやつさ じたばたしてもはじまらないぜ」
「そうかな 不運なめぐりあわせにしがみついてること自体不運なのさ
運てものは力ずくで自分のほうにむかせるものさ」
「待てよコブラ その運てえものに負けた時はどうするんだ」
「(ウインクして)笑ってごまかすさあ!」


これを「キャラの魅力」というところに閉じ込めるべきではない。

どこかで必ずうまいこと言おう、
と目論んでいない限り、
「ストーリー進行に対して余計だから削ぎ落す」
をやっている限り、
出てこない豊かさだと思う。

もちろんこれは、
モデルとされたジャン・ポール・ベルモンドと、
吹替の山田康雄(ルパンの声優で有名だ)が、
つくりあげたキャラクターがいいそうなことだけど、
それにしても、
ここで決めてやろう、という意志がないと決められない。

そもそもコブラは、
こうした決めゼリフを言うためだけにシチュエーションをつくってる、
というケもなくもないが、
まあ結果おもしろければいいのだ。



我々は完全にリアルが見たいんだっけ?
こうした豊かなものを見たいんだっけ?

もしこのシーンを、
もっとうまいこと言う感じにできたら?
を考えることは、
「そもそも我々は何が見たいんだっけ?」
を考えることである。
posted by おおおかとしひこ at 05:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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