2025年11月28日

影を描けば光が定まる

悪役を決めれば、主役のテーマが決まる。
どれだけひどい落ち込みをするかで、
盛り上がりの極大点が決まる。
だれがどれだけひどいかが、世界を決める。


世界というのは、影から光までのグラデーションの間にある。
物語というのは、もっともひどい影から、
もっとも明るい光の栄光を描くことである。

テーマ、頂点が決まったら、
谷底も決めておくのである。
これをどれだけひどくしたかで、
その落差が決まるからだ。

もしテーマがごく普通のことを描くなら、
谷底をより深くするとよい。
あんなひどいことがあったあとには、
こんな普通の幸せこそが幸せなのだ、
と描けるからだ。

テーマが崇高ならば、
悪はひどくするべきだ。
その根源的な二元論を、我々は楽しみたいからだ。

絵も音も同じだ。
白と黒の間に絵がある。
極大音と極小音の間に音楽がある。
テーマとアンチテーゼの間に物語がある。
その、高低の差こそが、
ジェットコースターの落差になるわけだ。

あなたの物語がピリッとしないとき、
影が薄いんじゃないか、って考えるのは、
ありかもしれない。
影が濃くなれば、
光が同じでも、明るくなったように見えるよ。
コントラストが効いているほうが、
よりよい世界に見えるよ。

悪という他者じゃなくても、
主人公の心の中でもよい。
影を落とした過去があったり、
人に見せられない部分があってもよい。
光を見せたければ、その暗い部分も描くとよい。
そして、そのことに対して、どのように自分は考えているのかも描くと、
テーマがよりはっきりしてくるだろう。

ただ、AはAである、
ということに落ちても、ぼんやりしている。
AはA-と対比して、
はじめて立体的になる。
人間の認識機構がそうなっているんじゃないか。
posted by おおおかとしひこ at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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