2025年11月15日

こちらの方が演劇的でおもしろい(「ドロステのはてて僕ら」評)

タイムループシリーズ。
こっちのほうが「リバー、流れないでよ」より前の作品。
えー、全然こっちのほうが面白いじゃん。

ドラえもんのあの話だよなー、
と思ってたら最後にちょろっと触ってて草。
こっちのほうがワンカットムービーにふさわしい内容だ。

迷宮のような空間で移動しまくるワンカットカメラ、
2分のタイムリープ、伏線と解消など、
こちらの方が完成度が高く、よい出来。

これを見ちゃうと「リバー、流れないでよ」は同工異曲。
トリウッド×ヨーロッパ企画×タイムループもの、
3部作になるのだとしたら楽しみ。

ではネタバレありで以下を。


ドロステとは、
劇中で引用されたヨーロッパのお菓子の缶のこと。
これにちなんでドロステ効果と呼ばれるが、
自己言及のループのことだね。

2分おきのタイムテレビというのが実に秀逸なアイデアで、
「さっきやった事を今もう一回やりなおす」
がおもしろいグルーヴを生んでいた。

隣の美女を誘うのに「OKでーす!」
からの失敗を伏線にしておき、
シンバルも伏線になっているという秀逸さ。

だからこそ最後のコーヒー飲みませんか?が、
きいている。
よかったね、みんなも気絶してるし。

「未来が嫌い」という一点張りで、
共通点の見つかった二人は、
今後どうなるかちょっといい感じで終わるのが粋だね。


藤子不二雄のSF短編集を引用してたけど、
むしろこれは、
「2時間後のドラえもんと4時間後のドラえもんと……を、
宿題に付き合わせる話」の変形だね。
僕はドラえもんで実はこの話が一番好きなんだよね。

なのでなるほどおもしろいなーとずっと感心していた。

よくこのアイデアからここまでつくりこんだなと。


演劇的なワンカットが効いている。

前記事で議論したように、
これは映画ではない。
事件を結晶化して、これはこのような意味がある、
というものではなく、
単なる「おもしろ事件」にすぎないのだ。

だから上映時間も短いんだな。
そして「リバー」でも出てきたキャストがまたいて、
ああ、劇団の運営なんだなーこれ、
という生の感じがとてもつたわる。

3部作あるよね、と僕が期待するのもそういうことだ。

まあ意味はいいや、
おもしろ事件を、
いつものメンバーで楽しませてくれや、
というのが観客の要求になってくる。


つまり、
演劇は、
物語を使ったバラエティなのかもしれない。

バラエティは物語ではなくて、
なんらかの遊びを、
いつものメンバーがキャッキャやって遊ぶものだが、
演劇とは、
ライブ的に、
いつものメンバーがキャッキャ物語を演じてあそぶものなのかもしれない。

だから、
物語に価値があるというよりも、
その物語を生きているみんなに価値がある的な。



なるほどね、舞台の魅力を、
この映画を通じて知るとはね。

タニマチが現れるのもわかるわ。


さて、
ではヨーロッパ企画のタニマチになるかでいうと、
3部作までだろう。

映画的なものには足りてないからだ。
3部作のDVD-BOX(今時あるの?)があったら、
家に置いといてもいいけどね。


さて、次はどういうタイムループをやってくれるんだ?
ネタ切れかもしれないけどね。


つまり、
演劇の脚本って、
消費されがちだと僕は思う。

永遠に残る事を前提としてないんだなー。
やりすてといえば口が悪いか。
一回性の人生というべきか。

綿密に組んだパズルがほどけて、
知恵の輪のような楽しさがあった。
だけど解けた知恵の輪を、
もう一回やることはないだろう。

映画はまた見る。
同じものなのに、
同じところで笑って、
同じところで泣くと思う。

その違いが、映画と演劇の差だろう。


僕は映画を作りたいんだな、
とこの演劇的なものを見て思ったな。
posted by おおおかとしひこ at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック