昔(80年代ごろ?)は90分の映画2本立て興行とか普通だったのだが、
いつの間にか120分が基本になってしまったなー。
今でも90分映画はシナリオの練習になると思う。
難関の中盤をそこまで厚くする必要がないからで、
これを何本か書いてみると、
逆に中盤とは何かが理解できるようになると思う。
90分は、序破急構造で書くとよい。
30分序盤、30分中盤、30分クライマックスのつもりだ。
10分くらいは前後してもよいかもね。
序破急の役割だが、
序……ものごとの設定や前置きや事件の発生、
それに絡む人々
破……最初の世界が壊れていくような非日常の世界
急……それらが急転して、何かが決定する
のように考えるとよいだろう。
もともとは世阿弥の理論で、能の考え方だ。
三幕構成理論によれば、
各幕の切れ際に決定的なイベントを起こして、
元に戻れないポイント(ポイントオブノーリターン)
になり、
そのときに前に進まなければならないとわかってて、
しかも能動的に進むことを決定して、
かつ、終了条件の明示(センタークエスチョン)があると、
望ましいとされる。
序破急でもあったほうがいいと思う。
なくてもだらっと見れるかもしれないが、
あったほうが切りがよく、
見ている側も気持ちを切り替えながら見れると思う。
さて、本題の、中盤の話をする。
90分の中盤は120分の中盤に比べて薄くなる。
だから書くのが楽になることを体験しておこう。
しかし、だからこそ、
「話が薄くなる」ということを理解しておくとよい。
ということは、
序盤で振るべき前振りも120分にくらべて薄くなるし、
終盤で結論づけられる内容も同様に薄くなる、
ということだ。
前提と結論が、全体に薄くなるわけ。
同じ30分を使っていても、だと思う。
それは、展開する論が短いため、
はしょるとか、規模を小さくせざるを得ないからだと思う。
中盤に展開することが少なくなるから、
相対的に前振りする内容も少なめに、薄目になるし、
それらから導き出される、
世界への影響やテーマ性や人生への影響も、
薄くなる、ということだ。
つまり、長編と短編の関係になるわけ。
もちろん、短編だから価値がないわけではなく、
短編なりの価値があって、
それは、長編のようにだらだらとやらずに、
スパっと切れ味が鋭いことをやれば、
むしろ長編よりもおもしろくて価値がある、
ことがあるわけだ。
そのような、切れ味よいものが短編の価値だよね。
逆に、長編は短編に比べると鈍重になり、
結論が出るまで時間がかかり、
複雑怪奇なものになりがちで、
すっきりするエンディングまでたどり着くには、
かなりの技量が必要で、
しかもあらゆるコントロールを利かせないと、
思ったより膨らんだり縮んだりするので、
全体のバランスをとるのが非常に難しいことがわかる。
CMでは必ず15秒と30秒をつくるんだけど、
よく考えてみると倍の尺があるのに、
同じ内容にしなければならないのがすごくもどかしい。
前提と結論は同じなのに、中盤だけ長くしなければならないのよね。
そのときに、いろいろあって、の中盤を長くできないほどの、
薄いテーマのCMはとてもよくあることで、
じゃあそれを30にふさわしく長くすると、
今度は15じゃ収まりきらない深さになってしまうことがあり、
どっちつかずになることがとてもよくある。
(オンエアは15がメインなので)
ということで、
長編と短編を両方かき分けたうえで、
それぞれの特徴を理解したうえで、
120分を理解するために、
90分の企画をする、という手はあるよ。
中盤を薄くして、
前振りと結論の関係を切れよくしていくのは、
長編からするとなかなかに難しい。
だから、いったんそれをやってみることで、
逆に「長編でやるべきこと」を考えることができるようになるよ。
理想の映画は100〜110、なんてことを巷ではよく言われるよね。
ちょうどいい量で、腹八分目の量になっている、
という感覚だと思う。
120は長すぎて、90だと物足りないのかもしれない。
120分の集中力はしんどいから、
少し減っているのが理想なのかもしれないね。
そういうことを経験していくと、
中盤で「いくつのプロットラインを絡ませていくか」
「重ね合わせていくか」という計算が立つようになる。
このプロットラインの本数では、
60分の複雑さに耐えられないだろうとか、
これは多すぎるとかだ。
これも感覚的なものなので、
具体的な本数がいくつかは例示できない。
あなたがさばける本数、だからね。
障害は4あったほうがいい、というのはシド・フィールドの予言だが、
これも結局書き手の技量で3にも6にもなると思う。
同様に、プロットラインは4でも8でもあり得ると思うので、
「あなたがさばける複雑さはいくつか」を、
知っておくといいと思う。
そのために、
より簡単な中盤であるところの、
90分ものを試しに書いてみるのは、
とても勉強になる。
もしあなたが中盤が苦手ならば
(そしてそれはほとんどの書き手が苦手としている)、
やってみるのも悪くないよ。
普段の分量を100としたら、
75くらいのものをつくってみるといいんだ。
50だと短すぎて勉強にならないので、
75%のものをつくるにはどうしたらいいか、
どれくらい複雑さを省くのか、
を考えていくとよいだろう。
2026年01月14日
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