2025年12月09日

【薙刀式】カナ配列の原理的な入門

Twitterから。これはカナ系新配列の原理を理解するのに、格好の話題だ。
(改行はこちらで適宜やりました)

> 配列を変えることに割と反対だったんだけど、日本語入力はQWERTY配列とかいうそもそも論理的な配列じゃない配列を覚えた上でもう1個論理的じゃない配列を覚えることになるから大変なだけで、
> QWERTY配列+論理的な配列なら覚えられるんじゃないか。

> 問題は日本語入力は入力を1/2とかにする代わりに
> 50キーくらいないと打てないから、それをどう解決するかになるけど。
> Shiftで日本語入力のレイヤーを作ればって感じなのか?でも濁点とかがつくのをどう扱うんだ?

カナ配列の世界へようこそ。
疑問に答える形で、カナ配列の全貌を把握しよう。

それはそもそも「カナの仕様ってどうなってんだっけ?」の確認でもある。


シフトなどでレイヤーに積むところは、
予想通りイエス。
(例外はあります。50キーよりもキー数を増やす剛腕解決もあるが、
99%はレイヤーに積む)

そのあといろいろなやり方があるよ、という話だね。
まず濁音だけでも色々ある。



【濁音】

「゛」をあとづけ……JISカナ、新JIS、月配列系

2打で濁音化するやり方。
IMEがカナモードになっている場合、
入力時に清音+゛の2打で、
内部的にBSして濁音に置換してくれる。
(月配列はそれを利用せずに、
ローマ字の定義ファイルだけで実現)

2打になるので面倒になるが、
清音+゛という分かりやすいやり方なので、
誰もが納得いきやすい。
ただ、シフト面の濁音が、
シフトと濁音化の3打かかることになるデメリットもある。
分かりやすさ、実装面で簡単、
手間の面で困難。


濁音同時シフト……親指シフト、下駄配列、薙刀式

特定のキーと同時押しすることで、濁音とするやり方。
同時押しなので2打よりもスピーディ。
清音と濁音が同じ位置になってて分かりやすい。

親指シフトは打つ手と逆の親指シフトキーとの同時打鍵で濁音化。
下駄配列はSLキーと逆手薬指で濁音化、
薙刀式はFJキーと逆手人差し指で濁音化。


濁音別置……飛鳥配列、新下駄配列

清音と濁音は別々の性質を持つのだから、
「濁音は清音の付属品」扱いせずに、
別々の独立カナとして扱えばいいんじゃね?
つまり、50カナじゃなくて、70カナを、
配列し直せばいいんだよ、
という剛腕型。

30キーに収めるには、2レイヤーの60では足りないので、
3レイヤーの90を前提とする。
理論上合理。これを覚えて使いこなせるかは人による。

ちなみに、濁音カナでよく使われるのは、
で、が、だ、じ、ど、ば、あたり。
これらはその辺のマイナーカナよりも全然使われるので、
優先的に単打面に配置するべき。



【半濁音】


濁音がうまく配置できたとしても、半濁音も日本語にはある。
これをどう扱うかも、カナ系新配列の腕の見せ所だ。

なお、半濁音の性質としては、
濁音よりはるかにトータル出現率がすくなく、
日本語よりも外来音(カタカナ語)でよく使われること。

「゜」を後付け……JISカナ、新JIS、月配列

「゛」後付けと同じ考え方。
ある意味割り切っている。
手間はかかるが、多くを考えなくてよいので、
いっそ清々しい。
だが手間かかるよなー、
という思いが、以下のバリエーションを産む。


半濁音シフト……親指シフト(旧OASYS版)、薙刀式

何かと同時押しすると、清音が半濁音化するやりかた。
親指シフトの場合は左右の親指シフトキーではなく、
小指にある通常シフトキーで半濁音化した。
薙刀式はVMと逆手人差し指の同時押し。

基本操作とは別のシフトキーを使うパターン。
操作系が一つ増えるが、清音を半濁音化する、
という点では分かりやすい。
たとえば、
「いっぽん」「にほん」「さんぼん」の、
ほ、ぼ、ぽの関係が同じになるので分かりやすくなる。


まったく別の位置に半濁音を置く
 ……飛鳥配列、新下駄配列、下駄配列、親指シフト

濁音別置と同様、これもまた別のカナである、として、
清音とは無関係の位置に半濁音を置くパターン。
まあマイナーで5カナだしええやろ、
というパターン。

欠点は分かりにくくなること。
そしてめったに出ないため、覚えるまでに時間がかかることだね。
一端マスターしたあとも、無関係位置を思い出すのに困難を覚えるだろう。



さて、濁音と半濁音は同様でいて、扱いに温度差がある。

配列によって、等価に扱っているものと、
半濁音は例外としよう、となっているものに分かれる。
(飛鳥と新下駄は、全部別々に扱おうという、
ストロングスタイルである。
70が75に増えてもかまわん、という考え方)


さて。これで日本語のカナは全部かな?
実はまだまだ種類があるんだよね。

ぁぃぅぇぉゃゅょの小書きである。

このうち、拗音(しょ、ぎゃなど)を構成するゃゅょと、
外来音(ティ、フェなど)を構成するぁぃぅぇぉでは、
出現率が1桁くらいは違うので、
別ものとして扱う配列が多い。


清音の別シフト面として扱う……JISカナ

シフトキーを追加して別面として扱う。
記憶しやすいのがメリット。
別にシフトキーを覚える必要があるのがデメリット。
また、拗音というのは、ょをひとつ打てばいいというものではなく、
しょう、ぎょく、など、前後の3音で一つのブロックを形成するため、
手間が増えることが大きなデメリットとなる。


ゃゅょは使いやすい位置に、ぁぃぅぇぉは覚えやすい位置に
 ……新JIS、月配列、飛鳥配列

拗音は多く出るから、
これ用のゃゅょは優遇していい位置に置こう。
外来音はそれほど出ないから、
覚えやすい位置に置こう、
という方針は一種の合理だ。
 
ただ、とはいえぁぃぅぇぉの出現率が低すぎるので、
たいてい不遇な位置に置かれていることが多いね。


まとめてマイナーな位置に置くが、
拗音専用面をつくることで使いやすく
 ……下駄配列、新下駄配列、シン蜂蜜小梅配列

拗音というのは規則性が高い。
い、き、し、ち、に、ひ、み、りからしかつながらず、
しかも清音、濁音、半濁音になるのでバリエーションが多く、
マトリックス的で、
う、く、つ、ん、などにしかつながらない。
ので、
専用拗音面をつくったほうが早くね?と考える。
もちろん記憶負荷は上がるが、
これも合理。


拗音同時押し、外来音同時押し……薙刀式

薙刀式の解決は唯一の剛腕で、
「し」と「よ」を同時押ししたら「しょ」になる、
「し」と「よ」と濁音同時押しの3キー同時押ししたら「じょ」になる、
という拗音同時押しを導入したこと。
これによって、
イ段カナとやゆよ、濁音、半濁音の、同時押し組み合わせをすれば、
それだけで拗音がすべて入力できるようになった。

外来音に関しては、
第一音と第二音と、FJ(濁音)、VM(清音の場合)
の3キー同時押しで定めている。
例 ディ=て+い+゛
  ティ=て+い+゜
清音は非直観的だが、慣れれば使いやすい。

薙刀式のこのアイデアは秀逸だが、
FJVMの人差し指と同時押ししやすいところに、
あいうえおやゆよの位置が制限されること、
3キー同時が苦手な人がいること、
すべてのキーボードが3キー同時押しをサポートしていないこと、
などはデメリットとなる。
一方、
配字さえうまく行けば、
「全部を覚えなくても、清音の位置さえ覚えておけば、
その場で合成できる」という、
とても大きなメリットがあり、
この方法は、薙刀式の大きな、そして唯一の特徴となっている。



さて。
日本語は50音、とか簡単に考えていると、
ものすごい沼が待っていることがわかったかと思う。

清音46(実は50じゃないです)
記号(、。っー)4
濁音21(ヴを含む)
半濁音5
小書き9(ゎを含む)
で、85カナを考えないといけないのだ……!

逆に、
「これは難しすぎるだろ、ドン引きされるぞ」
と気づいた大人たちが、
小学生をだますために、
「50音」という簡単に見えるものにしたんだよなー。たぶん。

なお拗音を全部数えると36。
外来音は数え方によるが、
薙刀式で採用しているものは36。
「スィ」とかもあるので、定義によってはもっと増える。
というか、外来音は調べると無限にあり、
数え方によっては99という。
一応36基準にすると、
さっきの85と足して、
157カナをどう処理するか、
というのがカナ配列がやっていることだ。


安易に手を出すべき沼じゃないことは、
良く分かったかと思う。笑……


これを、50キーではなくて、
30キーのブラインドタッチ可能な配列で、
どう実現しているかは、
僕の他の記事でも参考にしてくれたまえ。

直近ではATC2025に出場した全配列について、
その配列図と合理性を解説している。
http://oookaworks.seesaa.net/article/518721674.html#gsc.tab=0


それでもカナ配列をやるか?
は、それでも日本語をやるか?
と僕は同じだと思っている。

母国語を、母国語単位文字で扱えるほうが、
頭の中が扱いやすいじゃんね。イエスに決まってる。

日本語が複雑なのが悪いんじゃないよ。
キーボードが糞単純すぎて、日本語についてこないのが悪いんだ。
だから僕らは、キーボードを改良している。


(なおここまで単位文字をカナとして扱ってきましたが、
ほんとうは漢字も含むよね。
だから漢直であるべきなのだ。
しかし常用漢字だけで2136字。桁が変わる……)
posted by おおおかとしひこ at 19:06| Comment(2) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
かなを足したら95ではなく85のような気がしたのですが、漢検3級なので私の算数が間違えていますでしょうか?
Posted by 漢検3級 at 2025年12月12日 18:13
>漢検3級さん

あ、ほんとだ。直しておきます。
計算ミスではなくミスタイプが原因の模様。
ロウスタッガードで打つとこういう数字段のミスがありますね……
Posted by おおおかとしひこ at 2025年12月13日 10:48
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