2026年01月11日

アメリカは死なない(「ズートピア2」評)

なんだかんだいってディズニーすげえわ。
アメリカ映画の底力を堪能した。

トランプが不穏な事をやってるし、
トランプのあとの世界秩序とかどうなってるのか不明だけど、
この映画を作る力があることに、
まだまだ尊敬できる。

多様性。21世紀の大きな人類のテーマだ。
それを描く為にズートピアという架空の街をつくったのは、
とても賢い。
どうやっても「違い」でドラマやギャグをつくれるからだ。

中でも今回の秀逸なのは、たった2シーンに絞られる。
以下ネタバレ。


なぜか崖をロープで登らされてからの、
決定的な亀裂、differentだ。

これがこの映画の、
ひいては世界のテーマを背負っている。

陰謀をあかしたい。
世界を救うのに命をかける必要なんかない。
どちらの気持ちもよくわかる。
そのdifferentの、
決定的決裂の場面よ。

人間には不可能な芝居だった。
目が忙しく動いて、
相手の表情を全部見てるんだよ。
この芝居、人間の役者はテイク1はできるんだけど、
テイク2以降できないんだよね。

「はじめて、その人の表情をまざまざと最大限確認する」
は、目の大きな動物CGならではなんだけど、
実はそこは人間の大切な芝居なんだよなあ。

そして雪庇から落ちたのを助けた後の告白も、
この映画を象徴するいいシーンだ。
ここでもウサギの目の芝居が抜群だ。

このウサギ、たぶん射手座だよな。
昔好きだった射手座の女の子にすごく似てる。
明るくてエネルギッシュで、無鉄砲で、
でも必死で自分の弱いところをコンプレックスに思ってて。
その魅力が爆発していて大変良かった。

お互いの弱みを見せるパートは、
硬い絆への前菜である。
ちょうどよく言葉が選ばれていたね。


もうこの2シーンだけでおなかいっぱいなので、
数々のご都合主義は全部受け入れるさ。
なんで毎回パレードとかパーティなんだよ、
群衆をかき分けて突進したいんだろ?って感じ。

あと、あの歌姫の歌が良くてねえ。
まさに「主題歌」になってるのがとてもよい。
ラストは2回目かよーと思いながら、
「ズー!ウー!ウー!」って心の中で歌ってしまうよね。
タイトルがきちんとサビに入ってる歌はとても難しい。
それをやってのけた音楽班に拍手。

我々は異なる。
だがそれがいい。
そこまでもっていくには、大変な苦労が見て取れる。
1から2までにかかった時間を見れば、
シナリオが大事業だったことがわかる。
でも、たった2シーンでやってのけたのがすばらしい。

でもなんか色々バラバラだったのは、
ストーリーチームがあったんだろうかね。
エンドロールで確認し忘れたけど、
最近のアニメーションはそういう傾向が強いので、
たぶん複数人だろうな。
もちろん、重要なシーンはひとりで書いてる感覚で、
そこがよかったんだけどね。
posted by おおおかとしひこ at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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