カナは30キーに足りない。だからレイヤー化する。
レイヤーは今のところ他の指と同時押ししたり、
前置後置するくらいしかやり方がない。
ほかはあるのか?
は自作キーボードでも時々話題になるが、
結局元に戻ってくる。
その技術的な話。
田中さん:
> かな配列のキー不足問題って、二次元だから解決が難しく、そのためにレイヤー使って仮想三次元にする必要があるわけだけど。キースイッチを軽押しと重押しの二段階にして、物理的に三次元化するのは、どうなんだろう。やっぱ難しいか。できるけどスイッチが高くなるやつですよね、多分...
ずいぶん新配列と自作キーボードにハマっているようで、
佳き哉。
で、こういう初心者ですが質問はとてもたのしい。
そりゃそう思うよね、
でもね、という話で、
現状が短くまとまるからだ。
なぜ、
「多段階押しキースイッチ」が、
実用化されていないか?
ざっくりいうと、
「技術的に可能だが、
実用的に人間が扱えない」が正解ではないかな。
だってタイピングは、仮に秒4打の世界だからだ。
秒4回を、フォルテピアノを打ち分けながら、
ずっと弾き続けるのは難しいんじゃないかしら。
ゲームの歴史でいうと、
「ストリートファイター」(スト2はその続編)で、
初めて「ボタンの強弱の押し方で、
技の強弱を認識するスイッチ」が導入された。
思いっきりバンと打てば強パンチ、
弱めに押せばジャブが出る。
これ、大雑把なゲーム時では有効なんだけど、
細かい操作をしようと思うと全然うまく押せないんだよね。
のちのスト2のような細かい駆け引きには向かないと思う。
だからスト2では弱中強ボタンに役割をわけたんだよな。
ほかにも「ベラボーマン」でもアナログスイッチが搭載されたけど、
これも咄嗟の時に結構ミスしたことを覚えてる。
このあと出たシューティングゲーム、
タイトルは忘れたけど、
アナログスイッチをやめて、
「ボタンを長押ししている時間で弾の威力が決まる」
という「フォース」というシステムでアナログを表現してて、
ギリこれなら扱えたね。
「ボタンという形状が、1と0の入力しか受け付けてなくて、
半押しに向いてない」または、
「そもそも我々が1と0で考えている」
「半押しをコントロールするのは1秒程度かかる」
と考えるのが良さそうだ。
以後、ゲーセンゲームでこうしたアナログボタンが搭載された例は聞かない。
アナログスティック(ポインタ)や、
スロットル(一定量出す量を変える)になるのはある。
時代を現代に移す。
自作キーボードはすべてMXスイッチの技術的継承だ。
基本オンとオフ(金属接点が接触するかしないか)で作られていて、
ファームウェアは電気が通るか通らないかをマトリックス検知している。
なのでこの仕組みを使う限り0.5はない。
これを覆すのは全く違う原理で、
静電容量方式だ。
スイッチの押し込みの深さを、
静電誘導による電界磁界の変化で読み取る仕組みで、
リアルフォースやHHKBに搭載され、
自作静電容量スイッチもある。
そして現在ではそれをユニット化した、
マグネットスイッチ(ホール素子を利用)が、
ラピッドトリガーという愛称とともに、
ゲーム用キーボードで流行っている。
交換可能なので、スイッチ1個は100〜200円くらい。
だけどマグネットスイッチの自作キーボードは存在しない。
なんでかというと、
静電誘導、すなわちリアルタイム距離と磁界変化の読み取りをして、
それを数値として返すようなファームウェアを、
実用速度、精度で動かすのが大変難しいから。
おそらく自作静電容量スイッチのファームウェアを使えば、
移植可能なんじゃないかと思ってるけど、
挑戦者はまだ現れていないようだね。
仮にこの実装がうまくいったとしよう。
だとして、
秒4〜10打程度の高速打鍵において、
「人間が気軽に扱えるか?」
という問題が次に出ると思う。
スト2程度の細かい駆け引きをやるのには、
アナログボタンは向いてなかった。
秒2のペースで、弱と強を打ち分けるくらいならできそうだけど、
秒5でいけるかなあ。
想像するだに無理っぽいんだよな。
あと、仮にそれが技能としてできたとして、
運用上の我々の意識って、
平面じゃなくて3次元になるので、
縫い物をするような立体の線を想像しなければならないので、
脳負荷が上がらない?って想像した。
2レイヤーならまだいいけど、
3レイヤーのカナ配列とかそれ以上も普通にあるし。
というわけで、
技術やコスト的には不可能ではないが、
運用的に難しいのでは?
というのが僕の予想。
しかも実現するのに結構な技術力がいる。
マッドサイエンティスト的興味で作る人はいるかもだけど、
「まだいない」ってことかな。
似たような考え方で、
「フットペダルをレイヤー遷移に使えない?」
っていうアイデアもあると思う。
しかし結局、セナ足みたいに、
秒n打でフットペダル正確に踏めるのかよ、
って問題になると思う。
実はタイピングの速度って想像よりずっと速くて、
それについていけるのは、
我々の肉体では指が一番楽っぽいんだよな。
あと疲労もあるし。
のどやまばたきとかもあるかもしれないけど、
結局疲れずに長文を打てるのが一番良さそうだし。
あとは、
僕が3Dキーボードを一時期設計してたけどやめたのは、
「幾何学的平面、つまり格子配列を打つのが、
一番考えなくて良くない?」
ってことだね。
楽譜が決まってる楽器や、ある文をコピーする用途ならば、
内容を演奏や打鍵組み立てに集中できるから、
3次元的な軌跡もありえるけれど、
僕らは内容を考えなければならないので、
そっちに集中したいので、
道具はなるべくシンプルにしたいのよね。
結果、親指同時押しとか、
とっても単純な平面ものに帰着するのだと考えられる。
もちろん、可能性は0ではない。
先日クラウドファンディングされてたけど、
キーを分割して、奥半分と手前半分で、
アクチュエーションポイントが2種類あるスイッチの、
キーボードが作られようとしているが、
自キ界隈では、
「原理はわかるが何に使うのか?」が、
ピンと来ない感じだったね。
Home raw MODには使えるかもしれないが、
まあそれくらいのスピード感なんじゃないかなあ。
秒4打以上でミスなく安定、
疲労しない、
内容に集中できるシンプルさ、
平面性、
あたりが、
レイヤー遷移の必要条件じゃないかしらね。
違う可能性はおもしろそうだから、
「では実装して、できるようになってみてください」を、
みんな言うと思うw
2026年01月17日
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私自身、かなり同時押しに慣れてきましたし、これが現状のベストという判断も、確かに納得だなと。
上下じゃなくて前後なら打ち分けられる?
とか考えますが、それもどうなんでしょうね。
あとあれかー。保守性ね。
複雑な機構ほど壊れやすいですよね。
「どうしてもそれでなければならない」
以外は普通のスイッチでなんとかならないの?
ってなりそう。