2026年01月21日

【薙刀式】大西配列はDvorakの継承である

なんか急に「新配列のスタンダード=大西配列」
の記事が跳ねてるので、何かと思ったらご本人にツイートされていた模様。
さすがインフルエンサー、俺の5倍の影響力を叩き出す。
(現時点なのでもっと増えるかも)

薙刀式と大西配列のユーザー差もそんくらいあるのかねえ。
カナとローマ字のとっつきやすさを考えると、
もっと開いてるだろうなー。


ということで、
大西配列を少し深掘りしてみよう。
日英共用配列としてだ。
Dvorakの継承である、という枠組みで考えたい。


「左手母音、右手子音の左右分離」だから、
という単純な話ではない。

もう少し英語の構造に踏み入って、
「英語には子音の連続パターンがたくさんあり、
それを取るには利き手の右手が適しているから」
というDvorak配列の思想こそ、
Dvorakが母音を左手に置いた理由だと僕は考える。

大西配列は、日英共用として、
英語部分にそれを適用している。


日本語ローマ字で母音は連続することはあっても
(三大頻出は、ou、ai、ei)、
子音が連続することは、
拗音(ky、gy、sy、zy……)と外来音と、
「ん」から続く子音のときだけだ。

拗音全体では3%程度の出現率で、
外来音はそれ以下。
「ん」からの子音はあとで統計で見るようにそれほど多くない。

Dvorakの「子音連続は右手にやらせろ」は、
ローマ字においてはあまり効果をなしていない。

(子音の方が数が多いから器用な右手にやらせろ、
までは継承しているといえる)


一方英語は、子音の連続パターンがとても多い。

少し考えただけで、
st、str、th、ng、wh、tr、ns、nt、dy、pl、ly、
sw、ch、sch、tch、gh、kn、ck
などなど、様々なものを思い出す。
このパターンは日本語にはない。

もしこれを左手子音に当てたとしたら、
かなり左手が複雑な動きをしなければならないので、
難易度は左右混在型よりもあがりそうだ。


統計を見てみよう。

大西さんのローマ字2gram調査によれば、
トップ100のうち子音連続は、
nn、tt、sh、ns、nd
の高々5パターンのみ。
あー、nnが意外とある。
「ん」からの子音は少なめだね。

英語の調査はなかったので、
https://gist.github.com/lydell/c439049abac2c9226e53
から引っ張ってくると、
th nd st nt ng ch ll
ns pr ct tr ly nc ss
rs wh rt ts sh
と19パターンに爆増する。
100のうち5と、100のうち19のちがいだ。

このパートを器用な右手で連続して打とう、
というのがDvorakの基本的な考えだと僕は思うんだよね。


大西さん的には、
英語配列と日本語配列が別々の感覚はあまりなくて、
共通する子音+母音の流れの中に、
英語用の追加パーツがあるような感覚らしいのだが、
それがまさに上のやつ、
ということだ。


30キー×30キーの総当たり900パターンのキーの運指速度を計測した、
僕の900連接調査によれば、
左手→右手のほうが、右手→左手よりも有意に速い。
しかしそれ以上に速いのは、
右手の打ちやすい2連であることがわかっている。
http://oookaworks.seesaa.net/article/490739021.html

英語的にはこの右手部に子音を当てた方が合理的で、
日本語的には、左手→右手に子音→母音としたほうが合理的。

大西配列はハイブリッドで、
子音連続をケアしつつ、
子音部はローマ字が打ちやすいように清濁を整理してある、
という考え方だ。



ぶっちゃけ、大西配列を初めて見たとき、
僕の反応は薄かったと思う。
あー、まあM式とかSKY系の整理した系で、
Dvorak的に左母音なのねー、
という、ローマ字としての理解だった。

日英共用配列として認識してなかったんだね。
ローマ字よりカナのほうがええやろ、
と当時は思ってたし、今でも思ってるので。
使いやすいカナ配列さえあれば、
そっちのほうがええやろと(それが薙刀式だ)。

日本語としては特化版ではないが、
日英共用ならば、
子音連続をも取りやすいように設計されている、
という視点はあまり持ってなかった、正直。

で、今見てみよう。子音部は以下。

QL・・・ FWRYP
・・・・・ KTNSH
ZXCV・ GDMJB

さっきの19パターンをチェックする。
th nd st nt ng ch ll
ns pr ct tr ly nc ss
rs wh rt ts sh
おー、すべて打ちやすい連接にあててある。さすが。

大西配列は「英語は打ちにくくない」と、
最大の最適化をしてないような書き方をしているけれど、
llがちょっとしんどい以外はよさげな気がするけどなー。

そういう意味では、
日英共用として性能がきちんとあり、
つまりqwertyより格段に使いやすく
(若干の文句は何でも出るだろう)、
なおかつ初心者の入りやすさ
(ZXCVQも含む。MacではCommand+Qがウィンドウを閉じるだけど、
Winはctrl+Wなのがキモイ)を考慮すれば、
抜群なのではないか。



というわけで、
現在ある新配列の、日英共用ジャンルで、
スタンダードの地位を確立していると評価するわけだ。
(新配列ユーザー自体が数を成していないため、
スタンダード?って感じもあるけど)

特にプログラミングもするエンジニアたちの間で、
Eucalynか大西か、くらいには広まりつつあるのではないかなー。
(ゆかりさんが今はqwertyに戻ったのが、
Eucalynの情報が更新されない理由なのが痛い)

あとは翻訳者とか、日英を行き来する人などに、
広まるといいのかもしれない。


僕は日英は100対1くらいなので、
日本語特化にしか興味がないが、
ここは薙刀式のテリトリーということで、
大西配列と住み分けられてるのではないかと考えている。

なので、
新配列ってどんな感じ?を試すのに、
今のスタンダードは大西配列、
というのに賛成だな。

ローマ字じゃ不満だ、カナをやりたい、
という人には薙刀式はどうですか、月もありますよ、
ぐらいでいいと思うね。



少し難しい話をすると、
日本語は開音節言語(音節は母音で終わる)で、
英語は閉音節言語(音節は母音または子音で終わる)だ。

世界の言語は必ずこの2つになるが、
開音節言語は左子音右母音がよくて、
閉音節言語は左母音右子音がよさそうだ。

前者の例は、日本語、イタリア、スペイン、フランス、フィジー各語。
後者の例は、英語、ドイツ、ロシア、中国、韓国、ヒンディー、アラビア各語。

日伊共用配列とかは、右母音になるかもね。
韓国語の2ボル式は、閉音節なのに右母音だそう。
左手忙しくないのかしら。
子音連続することはあんまないのかなー。

このへん、各国語の入力法と言語詳しい人いたら、
おしえてください。資料がねえんだ。



大西配列はDvorakの思想を明示的に継いだわけではないが、
車輪の再発明をDvorakの真似をすることで結果的に継いだのかもしれない。
(たしか左母音の理由はDvorakがそうだったから、
ぐらいで詳しい理由がなかったはず)

というわけで、
日英共用目的、
またはqwertyを置き換えて最適化するイメージなら大西配列、
ディープに日本語特化なら薙刀式か月配列。

さらに深くて高効率な配列もあるが、
それは各自調べて。
posted by おおおかとしひこ at 14:40| Comment(4) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
韓国語は母音を連続に入力が必要な場合もありますが子音連続の方が多いと思います。(グァ《gwa》みたいな二つの母音の組み合わせが存在)

特殊な例ですが「大丈夫」を韓国語にすると「gwaenchana/ケンチャナ」です。後ろに発音には影響しない子音が付くこともあります。
その構造はケン【子音+母音+母音+子音】、チャn【子音+母音+子音+子音】、ア【子音+母音】
Posted by ちえり at 2026年01月22日 09:11
>ちえりさん

へー、ありがとうございます。
それを左手子音で打つの、結構むずかしくないのかしら。
アルペジオになっていると使いやすいんだろうなあ。

あるいは、ネットスラングで打ちにくい言葉が変化していく、
ということはありそうだなと思っています。
めんどくさい子音を省略する技法とかありそう。
Posted by おおおかとしひこ at 2026年01月22日 09:31
ネット上では子音だけ使うことがあります。
感謝の場合はksみたいな感じ
もしくは正確に書かず幼児語みたいに崩して書く場合もあります。
それでも左手の使用頻度が高いのは変わりませんね。
韓国のPC利用者は小学生の頃からネトゲをすることが多いので左手が鍛えられているのかも知れません。
Posted by ちえり at 2026年01月22日 12:38
>ちえりさん

ちなみに韓国人の左利きの割合は世界平均11%と変わらないそうです。
マウスも使うからかしら。
Posted by おおおかとしひこ at 2026年01月22日 12:42
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