色々コメディを見ているシリーズ。
ざっくりいうと、
B級の企画をA級の予算でやるとこうなるよ、
という失敗の見本例。
そもそも三木聡って「亀は意外と速く泳ぐ」の人だ。
「時効警察」の人でもある。
僕はコンセプトを聞いたときに、
大怪獣は一切出ないで、
怪獣の逆側の人たちだけで全部を終わらせるものだと思っていた。
そういう予算の企画だと思う。
なんでこんなに金かけて、滑りまくったのか。
しばらくネタバレなしで続ける。
何が問題かというと、
「事象が進行しているが、ドラマが一切ない」ことにある。
これは「シンゴジラ」でもそうであった。
基本は災害が新しくなって、
人々が右往左往しているだけなのだ。
ドラマが一切ないというのは大げさで、多少はあるのだが、
映画にするほどでもない陳腐なドラマでしかなかった。
いや、ドラマというほど事態は動いていなかったな。
各省庁がいがみあってるとか、
リークとか、
男女のもつれ程度だよな。
何も人間ドラマとして面白くないし、
事態の変転がないので、
ターニングポイントすらなかった。
ずっと平板な2時間。とてもつまらなかった。
なぜかというと、
「金をかけたスペクタクルを、
人々は楽しみに見る」という誤解があるからでは?
と思ったのね。
ダムの爆破とか、焼肉の煙作戦とか。
311以来、津波がフィクション内で描かれることはもうないだろう。
ほんとのスペクタクルはフィクションより見る価値があると、
人々が知ってしまった。
同じ方向の「スペクタクル」では、
もうフィクションでは勝負できないと思う。
そのズレを考えていない、
予算をこれだけ組んだやつに問題がある。
そして何より落ちのひどさよ。
ネタバレします。
どうせ彼がウルトラマンになったという落ちなんでしょ?
というのは、
回想シーンで読めてしまう。
これが読めない特撮ファンはいまい。
問題は、
それをどう裏切ってくれるかでしかない。
にもかかわらず、ストレートかよ。
そして、
そのウルトラマンの姿を一切見せない、
大怪獣を見せない企画の意趣返しかよ、
なんて思ってしまった。
一体何がしたかったのだろう?
コメディにしては、
小ネタしかなかった。
つまり、セリフの端々で変な人、
と言わせるだけの、1分しか続かない笑いだ。
コメディ映画というのは、せめて30分は持つ、
長期の笑いをやるものであり、
2時間かけて大きな笑いをつくるものである。
つまり、これは映画になっていないのだ。
3分小ネタドラマレベル。
2時間かけて積み上げてきたネタが、
最後に爆発して、なるほど、という落ちになるものだ。
爆発はしたかもしれないが、
なるほど、という落ちにはなっていない。
彼がウルトラマンになったからどうだというのだ。
この映画のテーマはなんだったんだよ。
何が問題で、何が解決したのか、
それで何を語れているというのだ。
デウスエクスマキナって、
「ストーリーとして負けです」と言っているのと同じだぜ?
最初僕はほかの人が脚本を書いてて、
三木聡は無理やり押し付けられたのかと思っていた。
だけどスタッフリストを確認
(あまりにもつまらないので、途中で一時停止して、
ウィキを見たくらいだ)して、
本人脚本だと知る。
企画は三木らしい。
しかし脚本段階で、
大きなねじれがあったとしか思えない。
こんなA級の見た目をする理由がない。
東映がシンゴジラに負けないものをつくるぞ、
などと意気込んで、間違えてしまったとしか思えない。
たとえば、「ポセイドン・アドベンチャー」は、
沈んだ豪華客船は、
船首の部分しかオープンセットをつくっていない。
あとはすべて美術でつくったスタジオ撮影だ。
そんな感じで、
たとえば角だけつくって、あとは一切見せないような、
ゆるコメディを期待してたのだが。
なんでこんなにまじめに作ってしまったのだ。
首相官邸と現場の二つしか場所のないコメディで十分だったのではないか。
野球シーンが一切なくて、
観客席だけでドラマが進行する、
「アルプススタンドのはしのほう」を、
僕は絶賛している。
こんな感じでなぜつくれなかったのか?
もしあなたが、
「大怪獣の死体をどうにか始末するコメディ」
という企画を立てたら、
どのような2時間をつくるだろうか?
とても練習になると思うので、
演習と思ってやってみるといいのではないだろうか。
興味深い人間ドラマはひとつもなかった。
雰囲気だけの2時間は、デビルマンなみにつらかったねえ。
おもしろさをスタッフ全員がはき違えている。
金のかかった勘違いの見本市である。
2026年02月07日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック

