2026年02月16日

この2枚の写真の違い

次の2枚の写真は同じものを撮影しているのに、
全然違って見える。
それを言語化するエクササイズ。
IMG_6559.jpeg


何が違う? 色々なファクターをあげなさい。

そして、最も本質的な違いを一つに絞るなら何?
シンキングタイム。


答え: 目線の高さ。

父と息子が少しヒントになったかもしれない。
実はどちらも「自分から見た世界」を写真に撮っているだけで、
表現意図は案外ないと思う。

大人は大体170cm高のカメラで撮っている。
子供は100cm高のカメラで撮っている。
その差だ。

もしあなたが左のような写真しか撮れないのなら、
子供の目線にしゃがんでみるといい。
あるいは、赤ちゃんの目線にしゃがんでみるといい。
見えてる世界が変わる。
また、ハイヒールを履いたり、高下駄を履いたり、
あるいは脚立の上に乗ってみるとよい。
これまた見ている世界が変わる。

被写体の見え方だけではなく、
背景との関係も変わってくる。

あなたが子どもの目線に立って、
見えるものはなにか?
剣と空だけだろう。
だからあなたはもっと剣に近づきたくなる。
ギリギリまで近づいて、
剣が全部見えてるところでシャッターを切るだろう。

そこから大人の目線に戻ると良い。
剣が全部入らなくなるので、
下がってしまうことになる。
そうすると元の写真になる。



私たちには動物的本能がある。
自分より大きなものには恐れを抱き、
自分より小さなものには余裕があり、
自分と同じ大きさのものには親しみがわく。

これが、カメラで撮られた絵にも同じ事が起こる。

ゴジラを撮る事を考えよう。
決してゴジラの顔を目線の高さで撮ってはいけない。
必ず遥か下から見上げた角度で撮るのだ。
そうすることで、畏怖すべき怪物、神としてのゴジラになる。
もしゴジラの顔を水平から見る事ができるとしたら、
ゴジラと同じ身長をもつウルトラマンだけであろう。
他の同等の怪獣でもよい。

もしゴジラの顔を上から見る事ができるとしたら、
それはゴジラより大きな、
より巨大な生物だけであろう。
それはゴジラより強く、
自分からはゴジラが弱く見えている。

身長の低い人を撮影する事を考えよう。
池乃めだかは吉本芸人のベテランだが、
身長は149cmと小さい事を売りにしているおじさんだ。
多くの人から見て、
池乃めだかは自分より下だから、
彼の目線より上から見下ろすように見える。
従って、彼の身長は低く撮影されるかもしれない。

彼と水平の目線になるには、
少ししゃがむ必要がある。
そうすると彼と同等の大きさになり、
彼の喜びや悲しみを共有できるだろう。

彼より低いところから撮ると、
これまで小さかった池乃めだかが、
偉大に見える写真が撮れる。
もちろん彼は偉大なる芸人で、
沢山の笑いを届けてくれた。
その彼を尊敬する目線になるはずだ。


つまり、
目線の高さはそのまま、

見上げる=尊敬する、畏怖する、恐怖する
水平=同等
見下ろす=見下す、バカにする、舐める

という関係性になる。

大人の写真が、
なんだかしょぼい剣に見えるのは、
剣と同じ高さにカメラがあるからだ。
剣と同じ高さ、つまりこの剣はつくりものであることや、
その粗までわかってしまう。

子どもの写真が、
なんだかかっこいい剣に見えるのは、
剣より低い位置にカメラがあるからだ。
剣を自分より強いもの、偉大なものとして、
捉えられるわけ。
もちろんダイナミックな雲が、
偶然味方していることも効果的だ。
まるで伝説のように見える。

つまり、伝説とは、我々が見上げて、
畏怖するべきものであるということだ。



私たちが脚本を書く時に、
カメラの高さまで指定しない。
だが、人間関係の上下は書ける。

あるいは、社会的な立場の上下と、
人間としての器の大きさの上下を、
違えて書くことができる。

弱気でへっぽこな上司と、
男気があり余裕のある部下を描くこともできる。

そうすると、カメラは、
最初は上司を下から撮り、部下を上から撮るが、
上司のへっぽこぶりや、部下の男気ぶりが溢れるにつれて、
上司を上から撮り、部下を下から撮るようになるだろう。
カメラの高さの変化で、
その人と観客の上下関係を変える事ができるからだ。

つまり、
私たちは尊敬するものには、
ははーっと土下座して、
自分から目線を下げたくなる。
憧れの目線は下から上を向く。

同様に、
私たちは見下すものには、
背伸びしたり台の上に乗って、
対象を見下す位置に立とうとする。
マウントを取ろうとするときもそうだ。
階段があって、
マウントを取ろうとする2人が、
セリフを言うたびに上の段に行くとおもしろいよね。
そういうコントすら書くことができる。


私たちは自分の身長でしかものを見てないので、
案外異なる高さから見た世界の見え方を知らない。

人間や動物には上下関係があり、
それらは逆転することもある。
それらを考える時に、役に立つ方法論だ。


机の上に、電気スタンドなど長いものを立てて、
スマホで実験してみたまえ。
posted by おおおかとしひこ at 06:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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