物語というのは、テーマに尽きるのです。
尽きるというのは、見る人にとってではなく、
作者にとってです。
全てのディテールが、何らかの形でテーマに関わっているのが理想です。
何故これはこうなのか?を聞かれて、
テーマがこうなので、こうなのです、
と答えられるまで、全てを洗練させたものが、
最も美しい物語と言えます。
あくまでそれは理想のイデアだと思うので、
現実的には、大事なところが全てテーマと関連していて、
それが一本の因果の糸になっていることがその代わりとなります。
さて。この話のテーマは何でしょう。
元の物語はなかったので、
僕がディテールから創作してみました。
ねじまき侍のケースよりも、キツイです。
あの時は、ヒントがそこかしこにあり、
それを繋げるものを決めれば良かっただけです。
勇気とか、頭の使い方とか、頭突きなどの、
モチーフから、
この話のテーマ、
即ち、「これらのモチーフを使わずにこれらが暗示している何か」を、
創作しなければならないのです。
しかも、「世界で真とは限らないが、我々が真だと証明してほしいこと」。
風魔のときに近いかな。
頭突きというモチーフから、
僕はテーマを、
「一番大事な所を一番大事な所へぶつければ、事態は打開できる」
としてみました。
人付き合いの事と、喧嘩の事とを、
ダブルミーニングさせたものです。
(元のタイトルのギミックとなんとなく合わせています)
人付き合いのことを、頭突きという絵で示すことも出来そうです。
この為には、公男はアキラに対して、
一番大事な所をぶちこむ必要があります。
つまり、何故勉強が素晴らしいのかを、
教えなくてはならないのです。
当初僕は、
公男の教える教科を、物理、数学、生物など、
僕の得意ジャンルに寄せて、
勉強と頭突きについて語れないかと考えていました。
クライマックスは、その語りと頭突きで表現できないか、
と考えていました。
それを、捨てます。
このテーマなら、もっと本質をぶつけることが必要だからです。
こういうのはどうでしょう。
公男は数学教師である。
肉体派の虎と対比的にするため。
わからない勉強の代表としての数学、というのも分かりやすいから。
しかし、当然のごとく、
虎が何故こんなややこしいことをしなければならないのだ、
とブリブリ文句を言う。
それに公男は答えるのです。
学問は、複雑な現実を単純化するためにあるんだと。
現実があまりにも複雑で理解できないから、
それを単純にして理解するためにあるのだと。
公男にとって、複雑で理解できないのは、いじめの問題です。
いじめに比べたら、数学なんて簡単すぎる、
と公男が本音を言うのです。
虎は、似たようなことは喧嘩にもあるぜと。
パンチとかキックとかナイフとか色々あるけど、
最後には一番単純なのが効くんだと。
それが頭突きなんだと。
ややこしいことをシンプルにする。
それは数学でもあり、頭突きでもある。
さあ、ようやく主筋が見えてきました。
テーマを具体的な言葉やディテールで示せそうです。
公男は、数学を、単純化の美学で見ている。
複雑でややこしいものだと見ていない。
この「逆」が面白さに直結し、
テーマに直結し、
頭突きと勉強という(元原稿にあった)オモシロモチーフに、
直結することになります。
これで主筋のあらゆるディテールが、
テーマありきのものになってきました。
サブプロット、アキラはどうでしょう。
何故彼はいじめをするのか?
落ちこぼれていて、数学は複雑でややこしいものだと思っていて、
ついでに複雑な家庭を抱えていることにしますか。
父親が再婚で、義理の母とギクシャクしてるとか。
それに「母ちゃん」ってシンプルに言えばいいんだよ!
と、公男は啖呵を切れるような気がします。
サブプロットは、テーマを表現することの、
サブになるのでした。
この場合、クライマックスで頭突きをかますことは、
シンプルが答えだ、ということのまた一つの例だとも言えます。
さて、ここで、テーマは更に深くなったかも知れません。
「シンプルが答えだ」という一文に集約されてきました。
人生は難しいけど、シンプルにすればいいんだ、
ということが言えそうです。
ようやく芯が通った気がします。
元原稿になかった、心が震えるものとは、
こういうことを言うのです。
モチーフやイベントは書けてるけど、
その奥にある、テーマとは。
作者が必死で描きたい、ひとつのテーゼとは。
それを暗示する為に、
主人公の問題、動機、渇きなどの内面のディテール、
主人公の職業上のディテール(教科、その教科を愛する理由)、
問題の解決のディテール、
そこに至る道筋のディテールがあるのです。
逆に言えば、全てのディテールは、テーマの為にあるのです。
前記事で、オシャレとは何かを議論してみました。
これはオシャレな話にはならないでしょう。
熱血教師の話だからです。
だから、ストレートに集約することにします。
さて、プロット(一次元型)に集約してみましょう。
次回につづく。
2015年05月04日
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