2015年12月05日

才能のなさと向き合うこと

僕らの世代はスポ根だから、
血と汗と涙にまみれたあとに成功が来るという人生観だ。
会社に入った頃(97年頃)は、
血尿出して一人前(女子は生理が止まって一人前)、
というのが半分本気だった。

だから、才能と向き合うより、
まず量をこなして、
その中でちょっとでも煌めけば、
上に上がって糞みたいなものから這い上がるシステムだった。

今はブラックじゃないから、
逆に量をやらずに、一回で成功しなきゃならなくなり、
才能にもろに晒される、というパターンが増えたかもね。

「才能のなさに向き合いたくない」という、
まさかの検索ワードで来た方がいた。
その恐怖との付き合い方。


自分は才能がない。
そう自覚すること。
これは確定だ。

ただし、才能だけでは決まらない。
努力で才能ある人のぎりぎりまでは肉薄できる。
あるいは、努力で才能を越えることもある。


才能というのは、何もせずに出来ること、
という程度のものだ。
一万人に一人、十年に一人の才能というのは、
たいした努力もせずに、
とりあえず出来ている、ということに過ぎない。
何もせずに出来るから、磨けばどんだけ光るのか、
という程度にしか、若手の才能というものは存在しない。

才能とその後について、
僕はハンカチ王子のことを思い出さずにはいられない。
彼が何故凋落してしまったのかは、
野球評論家の話を聞くしかないが、
彼の存在は、
才能があるともてはやされても、成功するとは限らない、
という事実を意味する。

彼が努力しなかったのか、間違った努力をしたのか、
指導者が良くなかったのか、指導者を注意する人がいなかったのか、
それは分からない。
プロスポーツマンとしてのいい時期を逃したことだけは確かだ。


さて。

あなたはハンカチ王子並の才能はない。
それは確定。
だとするとどうするのか。
努力しかない。

やりこみは裏切らない、なんてゲームの世界でも言ったりするが、
努力が必ず成功に結びつく訳でもない。

正確にいうと、
「その差を努力で埋めるしかない」である。

その差を自覚しなければ、
努力のしようもない。

才能ある奴に比べて、
自分はキャラクターが弱いと思えば、
人間観察をしたり、性格分析について学んだり、
変なやつと付き合ってみたり、
上手い人のキャラクターを全文書き写してみたり、
いくらでも努力のやり方を思いつけるだろう。
何がどう足りないかは、観察して分析して自覚するしかない。

何を努力すればいいのか分からないのは、
その差を自覚してない、
見る目のないやつということだ。
見る目がないのはどうしようもない。
見る目を鍛えるには、数を見ればいい。
100本、1000本、名作駄作を見ることだ。


ブスが自分は美人と思い込んでいるのと同じだ。
自分はブスだと見る目があるからこそ、
その美人にない愛嬌やセンスや人間能力で、
カバーするしかない。
そうやってブスは鍛えられるのである。

僕はクレラップCMを十年近くやっていたので、
子役オーディションを千人規模でやっている。
その時の経験則は、
ブスほど芝居が上手い、である。

美人の子は努力していない。
芝居は見た目ではなく、技能だ。
美人の子に芝居の上手い子役はいない。
上手い子役は、必ず自覚あるブスである。
こんなところにも、世界の真実を見ることができる。


きみは、才能がない。
現時点で確定だ。
何故ならヒット作を生むプロの第一線にいないからだ。

運がないのか?宝くじを当たるのを待つのか?
じゃあ、ここのブログに全文乗せる権利を上げよう。
そのチャンスが今来たとき、
面白い話を書けよ。

才能がないと書けない訳じゃない。
研究熱心で、映画が好きなことの方が、
継続して伸びていく。

ほんとうにやりたいのなら、
課題を自分で設定して、勝手に鍛えろ。
そのたびに自分の才能のなさと、向き合うことになる。
毎日鏡を見るブスの気分を考えることだ。

(僕は、顔がブスの子を認めない訳ではない。
面白い子が好きだ。顔はあまり気にしない。
味があればそれでいい。
美人も好きだが、中身がない美人はすぐ飽きる。
今まで沢山のモデルちゃんと飲みに行ったけど、
中身のない美人はほんと帰りたい。
メイク崩れてきたら、何もそこに残らない。
ブスは最初からブスだから、酔ってメイク崩れてきても、
中身が面白ければずっと楽しい。
詰まらないブスは最悪)


あなたの才能だけで行ける場所より、
あなたの努力で行ける場所の方が、遥かに高く遠い。

その場所を目指す為には、
自分の武器や足場や脚力を冷静に判断し、
何が足りず、何を鍛えるべきかを、
鏡を見て確認するしかないではないか。


鏡を見るのは怖い。
しかし鏡を見ないと、現状と未来の差も見えない。
ちゃんと見て、鍛えていけばいい。

鍛えて伸びないのは、鍛え方が悪いか、
即効性を期待しすぎだ。
伸びるのは十年かかるよ。
自分が物心ついて、今の身長まで伸びるぐらいの、
時間をかけて努力しよう。
それだけやったら、たとえ将来ダメだったとしても、
何かの作品は残せるよ。

あなたは才能と向き合うのが怖いんじゃない。
将来が不安なだけなのさ。
若いうちに本気出して、ダメだったら路線を変えればいい。

成功するのが目的じゃない。
誰もなし得てない、とっても面白い話をつくるのが、
目的だよ。

じゃあ誰かがなし得た面白い話を研究したり、
面白くない話を研究したりしなきゃはじまらないよね。
posted by おおおかとしひこ at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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