話の展開、つまり二幕を書くことは難しい。
展開というものの捉え方が難しい。
前に進むこと、何かがやってくること、
話が転がること、移動していくこと、別のフェイズになること、
などと言葉で捉えてはみるのだが、
これで何とか思いつくこともあるし、
さっぱりな時もある。
で、今日思いついた言葉。
展開とは、深くなっていくことだ。
展開という言葉からは、
何やら二次元のイメージがする。
展開図という幾何学的なイメージ
(立方体がひらいていく感じ)
が僕は強いからかも知れない。
展も開も、ひらくだしね。
ちなみに英語ではdevelopmentという。
これは深く掘るイメージがついてまわると思ったのだ。
展開というイメージだと、
横の移動になりがちだ。
場所を変えたり、誰か別の人に会ったりだ。
勿論、どこかへ行ったりニューカマーが来るのは、
大事な展開である。
しかし、展開した気になっていて、
本当は展開してないんじゃないか、
と空間移動ばかりのときは疑ったほうがいいのではないか?
初心者は、ロードムービーをすぐ書きたがる。
移動していく感じが気持ちいいし、
しかも展開した気になるからだ。
これは以前も書いたと思う。
書けないとき、
無理矢理場所を変えると展開した気になるものだ。
その最も簡単なものは、誰かから電話がかかってきて、
「今すぐ○○に来い!」である。
今の空気を中断して、別の所へ移動できる。
移動を引き伸ばして、その間に呼び出された理由を考えればいい。
呼び出されたからには何らかのコンフリクト、
衝突が起こるわけで、新展開には持ってこいだからだ。
(呼び出されたが相手は来ない、しまった、罠だ、という変化球も可能)
Mi5は、横への移動の連続である。
手がかりを追い、何か局面が変わり、
手がかりが失われるが、まだ手がかりは糸一本繋がっている、
次の場所へ、
ということの繰り返しで成り立っている。
そのテンポもスピーディーだから、
目まぐるしく話が転がっているように、思える。
しかしそれは表面的なストーリーが動いているに過ぎない。
展開とは、深くなることである。
どういうことかというと、
主人公の心のなかに、より深く入っていくことである。
主人公からすれば、
表面上の気持ちや行動だけではダメで、
より自分の存在の根幹に関わることに、
対処しなければならないことを意味する。
出来れば触れたくなかった、
過去のトラウマ、自分の内的問題などに、
物語がはじまった当初より、
深い部分で関わらざるを得なくさせる。
つまり、徐々に、自分というものに向き合わざるを得なくさせる。
そもそもの自分の立ち位置、ルーツ、昔夢見てたこと、
自分の大事にしてることで他人に言わなかったこと。
それらの心の深い部分に触れ、
じゃあ今どうすべきなのか、
どう考えるべきなのか、に触れていく。
「タイムスクープハンター劇場版」の批評でも述べたが、
二幕の前半、主人公に新人の子が「何故この仕事に?」
と問う場面があって、とても上手いと思った。
主人公の心の奥により潜ることを、外に出せる質問だからだ。
そこで語られた主人公の思いはとても良く、
感情移入に足る素晴らしい深さだった。
問題は、この場面はのちのどの場面とも繋がっていなかったことだけど。
あなたが旅をともにしているその主人公の、
心の深くに入っていこう。
だから感情移入は深まるし、
表面上の展開だけではなく、
「今後起こる展開が、主人公にとってどういう意味があるのか」が、
加わって行くのだ。
(そして主人公は、いずれ自分の内的問題を、
自力で解決しなければならない。
外的問題の解決によってだ。
この一致する瞬間がカタルシスなのである。
相変わらずドラマ風魔で言えば、
仲間の死によって、小次郎は自分の深いところを問うことになる。
忍びとは何か?に)
要するに、事件の解決をただ追い、展開させるのは、
「浅い」のである。
Mi5は、とても面白い、しかし浅い話だったのだ。
逆に深いとは、
個人そのもの、人間の尊厳、人の思い、
人の心の奥底の深い何か、
などのことに、
触れることを言うのではないか?
展開とは、ひらいたり転がることでもあるし、
より深くなることでもある。
勿論、主人公の欠落や渇きに、
主人公が向き合い、
それを埋めるために自ら変わり、
それを手に入れること。
「それ」が、テーマであるのだが。
Mi5も、キャプテンウルフも、テーマのない映画なのだ。
映画は、事件とその解決である。
外的な事件と解決を描くことで、
主人公の内的な問題の解決も同時に描く。
その展開部とは、
事件の解決過程の展開であり、
主人公の内的物語の解決過程でもあるべきだ。
だから、はじまった当初より、
主人公の心の深いところに、
降りていかなければならない。
この深みを見ることが怖くて、
執筆が止まるのではないか、
という仮説を今立てているところだ。
深淵をのぞく者の恐怖、といったところか。
2015年12月17日
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