二つの形式について考えてみよう。
ストーリーには二つのタイプがある。
ひとつは古典的なもので、
主人公が出ずっぱりのものだ。
主人公が事件に出会い、
主人公が解決に乗り出し、
主人公が活躍したり困ったりして、
主人公がついに解決して終わる。
徹頭徹尾主人公に注目することになる。
いやでも我々は主人公と旅を共にする。
最初は嫌なやつ、乗らないやつだと思っていても、
その冒険が面白ければ面白いほど、
まるで十年来の親友のように主人公を感じて終わる。
これを主人公型と呼ぶことにしよう。
もうひとつはモダンなもので、
複数の場所で複数の登場人物たちが、
複数の事件に関わり、それらが同時進行するものだ。
それらを複数のプロットラインと呼ぶことにしよう。
それぞれのプロットラインは、
数シーンごとに切り替わり、同時進行する。
これがほぼ同時刻の違うところ、というのが普通だが、
実は50年離れた二つの世界の話であったとか、
実は並行世界の話であったとか、
構造自体に凝った仕掛けをしているものもあるだろう。
単純に主人公サイドと敵サイドのカットバックをする、
二つの世界の同時進行もこれに含まれる。
これを複数プロットものと呼ぶことにしよう。
複数プロットものを観察することで、
そのメリットデメリットは、古典的な主人公型の、
真逆であることを議論しよう。
複数プロットもののメリットは、
まず世界にバラエティが持てることで、
興味の分散ができることだ。
飽きが来る前にプロットラインを切り替えて、
次々に刺激を投入することが可能だ。
また、あるプロットラインで話が進みづらくなっても、
別のプロットラインから流入したりすれば、
話全体を進めることにも役立つ。
また、複数のプロットラインを俯瞰することで、
ある種の世界観を描くことが可能になる。
神の視点を与えることで、
世界はこのようになっているのだ、という、
物語ならではの世界の見方を味わうことができる。
デメリットは、この裏表だ。
興味の分散故に、一つに絞れずにどれも詰まらなくなってしまうこと。
いつまで経っても重なり合わない、バラバラの話たち。
一個一個が弱く、一本としては詰まらない話の、
単なる詰め合わせになる。
世界を俯瞰できるが、どのプロットラインにも夢中になれずに、
心が離れてゆく。
古典的な主人公型のメリット。
ひとつに集中することで、
集中力や感情移入が半端ない。
グイグイ引っ張る展開で、目が離せないほど面白い。
神の視点は、全部が終わり、主人公から目が離れたときにわかる。
なるほどこういう事だったのか、
と落ち着いて考え、主人公が世界に対して成した事について考える、
読後感が与えられる。
デメリットはこの裏表で、
集中するほどの魅力ある話がないとアウト。
焦点が絞れず、感情移入に失敗したら即アウト。
だれて来たら即アウト。
主人公の目線でしかものが考えられず、
俯瞰的なことは想像も出来ないパターン。
などが考えられる。
つまり、
主人公型のほうが、難しい。
実力がモロに出て、失敗したら即詰まらない認定。
(いや、だからこそ、面白くすることに、
全神経を使えて、結果面白くなるかもだが)
下手な奴はラストに辿り着く前に詰まらなくなるリスクが高い。
だから、
下手な人ほど、複数プロットものに逃げがちだ。
これが本題。
主人公型だと辛いし、次の魅力ある展開が作れないので、
リスクヘッジとして別プロットラインに場面を変えて、
目先を変えていきがちだ。
で、結局逃げがちだから実力もなく、
そこそこに安定したものを作っておしまいになる。
「主人公型で超面白い」が一番難易度が高く、
「複数プロットで超面白い」は技巧性が必要で、
「複数プロットでなんとなく面白い」はアンパイで、
「主人公型で詰まらない」「複数プロット型でだれて詰まらない」
は、最低ということだ。
あれ?
失敗のリスクはどちらも同じだね。
アンパイが取れるのは複数プロットだけど、
そもそも実力がないときは、ヤバい出来になるかもだ。
僕は、
主人公型を何回も面白くなるまでトライしたほうが、
バキバキのエッジに立ったようで、
勉強になるぞ、
ということを言おうとしている。
主人公型は、全部の責任を丸裸で取らなければならない、
最も実力のいるタイプである。
じゃあ普段の訓練もこれでやればいいと思う。
実際に、あ、これ難しいな、
と判断して、複数プロット型に逃げるのは、
ままあることだ。
毎回逃げるのではなく、すごく考えて主人公型で続けてみると、
新しい何かが生まれることもあるよ。
全シーン主人公あり。
(9割は最低でも必要)
そういうタイプのストーリーを書いてみよう。
2020年02月28日
この記事へのコメント
コメントを書く

