中盤はもっとも難しい部分だ。
序盤を利用できないか、と考えよう。
逆に、利用できるような序盤の振りをしておこう。
序盤に設定した部分があると思う。
まだ使っていないのがあるはずで、
あるならそれを使って何かを展開していくのだ。
主人公にある設定が付与されたなら、
それを使えないか考える。
場所の設定を使って展開できないか考える。
人間関係の何かを使えないか、考える。
逆から考える。
何が設定されていれば、
この先の展開がやりやすくなるかを考える。
今それをあらためて設定すると
「あとづけ」という大変かっこわるいものになるが、
それを序盤でしこむようにリライトすればよい。
展開とは、
設定なしにすすむことが出来るすべてのもの、
と定義してもいいかもしれない。
だから基本的には、
設定→展開→設定→展開……
と自転車操業になるものである。
速い展開というのは、
設定を一々しなくても済む、
これまでの設定を使って、
ただ展開だけをできる一連の部分を言う。
無呼吸自転車操業、みたいなことか。
設定とは、観客が聞いていないすべてのことだ。
「あそこに分かれ道がある」でもいいし、
「ここは東京」でもいいし、
「あいつは怒りっぽい」でもいい。
なんでもいいから、
「聞いてないぞ」となるのはすべて設定である。
だから、細かい設定から大きな設定まで、たくさんあるわけだ。
展開に困ったら、
小さな設定をして、
それと前のものを組み合わせて展開させていくことが、
まれによくあると思う。
それが小さな自転車操業だ。
そうでなくて、
あとで使うものを、
あらかじめうまく設定パートに入れ込むことで、
あとあとの展開をスムーズにしていくべきである。
この設定を上手にできないと、
なんでもかんでも設定することになってしまい、
非常に冗長な設定部になる。
ただ設定を並べられて退屈なパートになってしまう。
理想の設定パートは、
設定と展開が同時になされている部分で、
展開が設定に、設定が展開になるようなことだ。
つまり、
設定されていると観客が感じられないものが、
理想の設定である。
だから、
あとあとの展開を考えるならば、
設定を先にしこんでおくことは、
非常に重要なパートだということになる。
リライトでも一幕のリライトが一番分量が多く、
時間がかかるものだ。
それは、あとで使うものをどううまく入れ込み、
かつ退屈しないものに整えるか、
ということがいかに難しいかの証拠だ。
感覚的には、
ばねをしこむようなものだと僕は思う。
ばねをしこんでいないと、
そこから跳ねられない。
序盤でためこんだばねを、
中盤のここで開放する、
と計画的にやらないと、失敗する。
ここはあとで使うばねなのだ、
ということをあらかじめわかったうえで、
序盤を書く技能は、
とても計画的でなければならない。
で、その計画をプロットというわけだ。
プロットがなくても書ける人は、
天性でばねの仕込みをわかっている人ではないか。
プロットが破綻しがちな人は、
そもそもばねの仕込み方が下手な人ではないか。
もちろん、終盤では、
序盤から中盤まですべてしこんだばねを、
最大に開放してカタルシスを得るわけだ。
その開放計画こそが、プロットであるともいえるだろう。
複雑なばねのたわみと開放のペアを、
どのように面白くつくっていくか。
シナリオはパズルに似ていると僕は思っている。
2021年06月21日
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