物語とは変化である。
しかしシリーズ物は変化を恐れる。
だからシリーズ物は期待はずれで飽きられて終わってしまう。
シリーズ物は、
キャラ人気、世界人気を当て込んでつくるものである。
だから、人気のキャラをそのまま使おうとする。
前のものと違いがあることは偽物ですらあるわけだ。
だが物語とは変化のことである。
あることを経験した人間が、
ある変化をする旅を描くわけだ。
だから、
シリーズとはいえ、
前のものから変化して終わる、
ということが往々にしてあるわけだ。
これがシリーズ物の商売の仕組みと相性が悪い。
シリーズ物での商売とは、
「なるべく無駄な投資をせずに、
儲けること」である。
一回受けたのだ。それまでにいくつ爆死したと思っているのだ。
だから、何回も受けるならば、何回でも受けたいのである。
その分、無駄な爆死する投資を避けられるからである。
これは投資から見た気分にすぎない。
観客から見たやり方ではない。
観客から見たら、
「前の冒険を超えるもの」を求めているのであり、
「前と同じもの」を求めているのではない。
だから、前よりもエスカレートした冒険で、
前よりも大きな変化を求めているのだ。
なのに、その期待を下回る、
変化のないものに仕上がっていたら、
離脱するのも当然である。
つまり、投資する側が分かっていないことが問題だ。
バンダイがガンダムを支配して、もう何十年になるだろうか。
ゼータ以降のガンダムは、
ただシリーズを続けるためだけにやっているように思える。
ファーストガンダムが提示した、
「人類の進化」について、
いまだに答えが出ていないのはどういう了見だろうか。
強化人類やサイコフレームは、単なる超能力でしかなくなってしまっている。
「人類が宇宙に進出したことで得られた、
認識能力の拡大」
というテーマは、
ゼータ以降単なる超能力に矮小化されてしまい、
「人類の変革」は依然として描かれていない。
なぜなら、
それを描いたらシリーズが終わってしまうからだ。
エックスメンも同様で、
マグニートとプロフェッサーの戦いは、
戦いのはじまりは描かれていても、
決着は描かれていない。
異常な少数民族として迫害を受けたマグニートの、
恨みは開放していない。
長期ものになればなるほど、
それはエンドへと変化していかない。
ベルセルクもパーティーの楽しさだけになってしまい、
蝕以降のゴッドハンドとの戦いや、
グリフィスの王国についてはついに追求されなかった。
はじめの一歩では、
強いってなんですか、とか、宮田との因縁や、
バトンタッチされた世界挑戦は、
すっかりどこかへ行ってしまった。
シリーズは、変化を恐れる。
一方、物語は変化することで完結する。
両者は相性が真逆だ。
プロデューサーは、制作委員会は、出版社は、
なるべくシリーズから変化を除いて長期的に儲けたい。
物語の作者は、
なるべく変化して劇的なストーリーにしたい。
観客は、
シリーズものとして楽しみつつ、
かつて覚えた興奮以上を求めている。
プロデューサーサイドだけが、
作者と観客の蜜月関係を邪魔している。
もちろん、邪魔するつもりで意図的に邪魔しているわけではない。
むしろ、邪魔していることを知らないことが、
僕は問題だと思う。
人の足を踏んでいるのに、気づかないことと同じだと。
スピンオフなどでも同様である。
本編で変化した以上の変化をしてしまうと、
本編に影響があるから、
スピンオフはどうしても変化の度合いは少なくなってしまい、
それゆえにストーリーの醍醐味は縮小気味になってしまう。
それってつまり、「微妙な評価」ということだ。
微妙な評価でもいいから儲けを続けるのか、
儲けは捨てて、よりよい評価を求めるのか。
投資から見たら、
リスクを避けて現状維持、という命令になるだろう。
つまり、リスクの少ない、丸い安パイが、
量産されることになる。
僕は、投資する側が間違っていると考えている。
投資の原則に物語商売が従っていないのではないかと。
僕は投資を専門にはやらないので、
誤解があるかもしれないが、
前作を超えるように、
前作よりハイリスクを抱える、
というやり方を聞いたことがない。
「前も儲かったから、今回も儲かるよね」
というとらたぬしかない気がする。
少なくとも、僕の周囲では。
いまだに忘れられないのが、
風魔2をやる条件で、
予算が7がけになるということだ。
初期投資をせずに継続で儲けたい、
という投資側の理屈と、
次は聖剣戦争になるんだから、
倍掛けの予算がいるだろうが、という現場の、
乖離がものすごかった。
どの口で、聖剣戦争を、夜叉編の7がけで作れるというのか。
(夜叉編だって全然予算がないのをあんなに工夫したのに)
物語は変化である。
変化しないものは物語ではなく、
人気キャラ商売である。
投資はおそらく、キャラ商売の原理なのだ。
物語に投資するとはどういうことか、
投資家に聞いてみたい。
なぜなら、投資家ぬきの物語商売は、
現在ほとんどないからだ。
2021年06月27日
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