新配列に手を出そうという人は、
1000人に何人かのオーダーだと思う。
そういう人は気づいてしまったのだ。
qwertyの不合理に。
「qwertyは不合理だ」と思う人には、
二通りあると思う。
ひとつは、qwertyがマスターできなかった人。
たとえば僕だ。
最近はフリックはできるが、qwertyは下手な人も増えてる。
新しいメソッドとしてのqwertyブラインドタッチが、
フリックに比べて合理的な動線とは思えない。
つまり新しく学ぶ方法としては、qwertyは不自然だと思う人。
もうひとつは、
qwertyを人並み以上に打てるうえで、
なんか疲れるなあと思う人。
カナに比べれば打鍵数が多い、というのに納得したり、
頻度に応じたカナの配置、というのに納得したりして、
qwertyを相対的にいいものと思えなくなってくる人。
入り口で挫折した人か、
出口付近で別ルートを探すか、と思う人の違いだ。
後者の人には、
新下駄や飛鳥などの高効率な配列、
月などの高速配列が向くと思う。
前者の人には、
新JIS、蜂蜜小梅、薙刀式がおすすめだろう。
ふたつのクラスタを分けるのはなんだろ。
指の運動能力かな。
これは若い頃は鍛えられるだろうが、
おっさん以降は難しい。
秒10打なんておっさんは無理だ。
秒5打ならがんばれる。
とはいえ、
新配列はブラインドタッチ前提
(ブラインドタッチで威力が出る)だから、
そこまで学ぼうとする、
強い動機が必要だと思う。
簡単な方の薙刀式ですら、
動かすまで二週間はかかるから、
そこまで忍耐するだけの動機がないとその壁を越えられない。
新配列ではじめてブラインドタッチに矯正する人もいる。
そうしたら、
その配列の学習+ブラインドタッチの、
二重の学習が必要になる。
まあqwertyに比べれば合理的な動線だから、
養成期間は圧倒的に早くなるだろうが。
その強い動機をつくるためにも、
新配列のゴールイメージは豊富な方がいい。
薙刀式が動画を出し続けるのも、
こういう風になる、というゴールイメージを共有するためだ。
絵に描いた餅ではなく、実際に機能することを示すためだ。
詐欺ではなく、取り組む価値があると示すためだ。
qwertyで事足りている人たちの中で、
1000人に何人かの割合で、
ふとこれ変じゃね?と気づく人がいる。
みんなが同じ方向に歩いている交差点で、
一人だけ「この方向はへんだ」と気づいて、
脇道に逸れることのできる人だ。
とくに日本は同調圧力が強いから、
それに負けない人が、
脇道に逸れたり、流れに逆らうことができる。
「みんなqwertyなのに何故違うのか?」
という問い(日本では容易に非難や詰問になる)
に対して、
「この方が合理的だから」
ないし、
「この方が自分にしっくり来るから」
と、
堂々と答えられる人しか、
新配列を続けられないと思う。
あまつさえ、
自分でエミュレータを入れたり、
ファームウェアを整えたりなどの、
DIY的な手間をかけなければならない。
キーボードのボタンが自動的に薙刀式に変わればいいが、
そんなわけにもいくまい。
1000人の中で、
洞窟の中で毒ガスに先に気づくカナリアのような人が、
何人かいる。
論理的な新配列だけでなく、
物理的な新配列、すなわち自作キーボードも同じくだ。
本質的には同じことで、論理的か、物理的か、
の違いしかない。
「これは変じゃない?」
「これは無駄じゃない?」
「もっとましなものはないの?」
「なんかつらいんだけど」
のような、具体的には何していいか分からない、
言葉になっていない悩みを抱える人には、
論理の新配列、
物理の自作キーボードがおすすめだ。
腱鞘炎をきっかけに、
新配列や自作キーボードを知る人も多い。
手を壊す道具は、
道具として失格だと思う。
車に乗ってて痔になったら、
車が悪いのであり、
座り続けた人が悪いのではない。
車がそこまで座り続けることを想定してなかったとしたら、
痔にならない車を開発すべきであり、
そこまで乗らないでください、
とお願いするべきではない。
あるいは、
痔にならない座り方が無意識に出来るような、
新しい車の形を発明するべきだ。
qwertyローマ字は、
日本語を書くためのベストの方法ではなく、
新配列たちに比べれば10位にも入らない合理性の悪さだ。
左ロウスタッガード109キーボードも、
日本語を書くためのベストの道具ではなく、
あらゆるPC操作をするベストの道具でもない。
自作キーボードたちに比べれば、
10位に入らない合理性しかない。
1000人のうち999人が、
交差点で同じ方向に歩く。
「変だ」と気づく一人が、
この界隈を発見するといいなと思っている。
新配列はまだその段階だと思う。
自作キーボードに比べて、
映え写真がないのが宣伝の妨げだよね。
オシャレ配列図くらいしかないからね。
百聞は一見にしかずだから、
そんなにいいなら動画を撮れば済むと思う。
そしてタイピングゲームをする動画より、
配列の解説を書く動画より、
普通の文章を書く動画がベストだと思う。
新配列はタイピングゲームでハイスコアを獲ることが目的ではなく、
自分の解説をするための道具でもなく、
何気ない普通の文章を書くための道具のはずだ。
旅に行った話とか、タイピングと関係ない趣味の話とか、
家族の話とか、初めてバイトしたときの話とか、
コロナで激動した周囲の話とか、
久しぶりに出社したら周囲の飯屋が変わってた話とか、
なんでもいいと思うんだよね。
10分以上それを書く動画があれば、
「書く」ことがわかると思う。
画面と手元が両方入るアングルで、
何かにスマホを養生テープで貼りつけて撮影するだけだ。
もっとオシャレに撮ることも出来るけど、
まずはどんなもんか示せることの方が重要。
用兵は拙速を尊ぶ、は僕の座右の銘だ。
1000人に数人の人に届けるのは難しいが、
その人が検索した時に引っかかるものを、
置いておくべきだと思うんだ。
2021年11月23日
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