2022年04月22日

難しいことを言う人は、自信がないから

だと僕は思う。


表現はシンプルであるべきだ。
その方が強い。
練り上げられた強い表現とは、
俳句のように切れ味が鋭く、
一つのことにズバリと行くものである。

ところが、
そのレベルに達していないと、
難しく言おうとしてしまう。

そもそも練り込んでないため、
言いたいことが整理されてなくて、
ごちゃごちゃになってることもあるだろう。

それらの要素を減らしたら、
そんなに面白くなく、
平凡で、
つまらないものになるのがバレてしまう。
だから、要素を増やして複雑にして、
「その複雑さこそがアイデンティティである」
などと思い込もうとする。

だから、
その表現も理解し難いほどに複雑で困難なものを作ってしまう。


これは、自意識の迷路だと思う。
自分は複雑で繊細なのだが、
それをうまく表現する手段がなく、
どう単純に示しても自分を表現できてないと思うため、
複雑に複雑にしてしまい、
誰も理解できないものになってしまう。

誰かに理解されたくて表現しようとしてるはずなのに、
誰も分からなくていいなどと思ってしまう。
単純すぎるのは自分ではない、
自分はもっと複雑で、
自分の次元を落としたそれは、
みっともなくちっぽけなもので、
それを自分とは認めたくない、
という心理だ。

だから、
複雑な迷路のような、誰も理解できない表現を好む。

これは文学である、芸術である、
とうそぶくものの、9割くらいはこれだ。

要素を分解して単純化したら、
大したことないやんけ、とバレてしまうのである。
だから複雑なことを言って煙に巻くのだ。


つまり、複雑な表現は、防護壁である。



表現とは、門を開くものだと思う。
あけすけにして、
この中のものをなるべくシンプルにしたので、
見てってください、
気に入ったら隅から隅までどうぞ、
どんな角度からでも最高なように、
きっちり作っときましたよ、
というものである。

それが出来ない人が、
覗き込まれて大したことないとバレるのを恐れて、
門を閉じる。
複雑な表現を隠れ蓑にして。

だけど僕は長年芸術的なものに触れてきたから、
それって作者の言い訳にすぎないことを、
よく知ってるのだ。
「おれはたいしたことないから、ごまかすぞ」であると。


道は二つある。
一つは、たいしたことになるまで、
自分と作品を練り上げていくことだ。
そしてそれはものすごく時間がかかる。

第二の方法は、
「大したことないが、ここまでは出来てて、
ここはいいでしょ」
という部分集合を切り取り、
目標値と、自分の扱える範囲にまで落として、
その中で練り上げたものをつくることである。

つまらないものですが、
とまずはへりくだり、
ただこの小さな宇宙は、なかなかじゃないですかね、
という提供の仕方をしてみるのだ。

そこまで客観的に見れていれば、
「己の全てをそこに叩き込む」とか、
「完璧な表現」なんてのは、
ただの厨二病だということがわかると思う。



表現というのは、
実は、「どこからどこまでの範囲の、何をいうか」
を決めることが一番難しいのだ。

これは、俳句を考えればわかりやすい。
どの宇宙を切り取るかを決めなければ、
俳句は難しくわかりにくいものになってしまう。


もしそれが小さなことしか言わないことになる、
と恐れたら、間違った道へ行ってしまう。
複雑なもので門を閉じる道へだ。

そうではなくて、
「今はここが精一杯面白がらせられる範囲です」
に範囲を小さくして、
「次回はもうちょっと大きな規模でやりたいですが」
くらいまで縮めて、
そこで采配を振るうことをやるべきだと思う。

逆に、
「ここまでの範囲のことなら、
ゲラゲラ笑わせて、
ボロボロ涙を流させて、
人生ってええなあ、と思えることが、
自分ならできるもの」
は、
どれくらいなのか、
を知らなければならない。

これはつまり、
「今までやった範囲のことまでしか出来ない」
ということでもある。

次やるべきはもっと大きな範囲に挑戦するべきだが、
それはやったことがないからどうなるか分からない。

だから、
表現とは常に冒険なのだ。



あなたがシンプルに人を楽しませられるのはなに?
何回も習作を書き、
その範囲を徐々に広げていくといいぞ。

書ける範囲のことを完結させたら、
次はもう少し大きな範囲のことを書く。
そうやって雪だるま式に経験値を増やしていこう。


完成回数が少ない人ほど、
一気にデカイことをやろうとして挫折するか、
複雑な殻をかぶって門を閉ざしたまま自分は大きいとうそぶくか、
どっちか止まりだろう。

そしてそういう人は二作目すら書かず、
何も成したことがない人になる。
posted by おおおかとしひこ at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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