2023年05月23日

3拍目に何かが起こる

昔CM監督の巨匠黒田秀樹氏に聞いた話。


彼は元々ドラマーで、
リズム感のある編集で知られる。

代表作は沢山ありすぎるが、
黄色と黒は勇気の印のリゲインから、
ペプシマンから、資生堂の椿から、
まあ色々ある。

この人が独自に編み出した技法があって、
音楽合わせで編集しているときに、
仮に4拍の音楽だとしたら、
3拍めに何か変な動きのあるものを入れると、
面白く、良くなるのだそうだ。

経験則だから理由はない。
8ビートなら、3ビート目と7ビート目か、
6ビート目が該当箇所ということ。

1、2、3、4と連続するリズムで、
1、2、さん!、4、とやるといいということ。
そういえば3の時だけアホになる人いたなあ。

これは時間軸に対する重要な示唆だ。

人は1、2はまあそんなもんか、と思っていて、
3が1や2と似たようなものならば、
同じものの繰り返しと思って飽きてしまい、
3で全く違うことをすると、
なんか違うぞ、と心惹かれるということだろう。

3と同じに4に行けばそっちの方向へいくが、
また元に戻ることで本線に戻り、
安心して次の4拍を迎えられ、
そして次の3でまた何か外しを期待する、
そしてそれがループになり、
グルーヴになっていく…

というようなことだろう。

これは、グルーヴの組み方として重要な示唆である。

打ち込み系のドラムでは、
8ビートで8拍目だけ二連打することがよくある。
これはまたべつのグルーヴであろう。


僕は音楽理論に詳しくないが、
リズムには様々なものがあるはずだ。
基本は心臓の鼓動と言われるが、
僕は歩くこと、と以前に記事に書いた。
アフリカンのリズムでは、これに手や跳躍が入るらしい。
だから複雑なリズムになるそうだ。

もし単調なリズムだなあ、と感じたら、
このことを思い出して欲しい。

破調するなら、1、2、と来たあとの3!!で、
4に戻ればいいと。

たとえばシーンの強弱やアクセントを考えるときに、
これを意識するとグルーヴが作れるんじゃない?



今取り組んでいるやつで、
これを取り入れてみたら、なかなか良くなったんだよね。
ループ性が退屈だったなあと思ったものが、
鼓動のように生命を持ち始めている気がしてきた。
ていうか無意識にそうやってるところがよくて、
そうなってないところでグルーヴが死んでるなあ、
と感じたので3の話を思い出したんだよね。

細かい構造だけでなく、大局的な3でもやってみると、
変化がついていいような気がする。

脚本における三幕構成理論は、全体を4等分して考える。
3に当たるのが二幕後半と呼ばれるパートだ。
1でセットアップしたものが、
2で展開してミッドポイントを迎えて、
3では死の予感やボトムポイントがやって来る、
大概は暗黒面である。
ハッピーエンドという明るい物語なのに、
ここの3があることで全体がよく見えるんだね。
あんこの中に入れる塩みたいな効果があるわけだ。


あるいは、起承転結の「転」もそうだよね。
これはもともと漢詩の理論だが、
同じ拍を刻む漢詩だからこそ、
三拍目に違うことをやろうぜ、となったんだろう。

ストーリーに起承転結理論を持ち込むのは、
僕は推奨していない。
4コマ漫画では成立する。4拍だからね。

でも120ページもある内容で、
転はじゃあどこからどこまでか、
となったときに、
転をクライマックスと解釈すると、
4拍で見ることは崩れる。
だから転はクライマックスと解釈せずに、
60〜90ページ、二幕後半と考えた方が、
拍の考え方にはあっている。


4拍で分かりやすいのは、
クイーンのWe will rock youの前奏だね。
ドン、ドン、パン、(休符)、
ドン、ドン、パン、(休符)
と、3拍目に手拍子が入る。
この感じ。

3拍目に何かが起こる。
困ったら思い出してくれ。
posted by おおおかとしひこ at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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