2023年10月16日

脚本の上手下手の決定的な差とは

色んな要素がありすぎて、
脚本って難しい。

これだけやってきて分かることは、
「焦点に集中させられるかどうか」
で決まること、かな。


キャラクターが魅力的か。
会話がうまいか。
感情移入できるか。
好きになるか。
悪役ならば憎めるか。
人間的な魅力、せつなさ、業などを描いているか。
深いか。
感動するか、笑えるか、その他七色の感情を引き出すか。
構成がうまいか。
伏線の妙、設定の妙などがあるか。

などなど、
色んなうまさやチェックポイントがありそうだ。

だけど、
シナリオとして一番なくてはならないもの、
これを外したらどんなものでも下手、
というのはなんだろう?と考えると、
「焦点へのひきつけ力」
じゃないかなあと考える。

焦点とはつまり、
「今何をしなければならないか?」だ。

登場人物には、
動機に支えられた目的というものがあり、
そして今の状況というものがあり、
事件の解決という大きな方向で動いている。

そして「今、可及的すみやかにやらねばならないこと」
が焦点である。

書類を12時までに出さないといけない、
売り上げを50万上げないといけない、
崖から安全なところへいかないといけない、
○○に会う必要がある、
などなどである。

これに、どれだけ引き付けて夢中にさせられるか?
がシナリオの腕だと思う。

文字で書いてるだけだと、
単なるお使いゲームになる。
○○までいって、○○と話して、
それから○○と○○を交換して、
○○にそれを渡すために○○へ行く、
などのようにだ。

詰まらないゲームは、この作業リストでいっぱいになるだけで、
これを一個一個消していくだけの作業になるだろう。

これを、作業ではなく夢中にさせることが、
「焦点に引きつける」ということ。

「○○へ行く」という目的に対して、
「うおー、○○へ行くぞー!
めちゃくちゃ行きてえー!
行ったらどうなる?マジやばい!
ああー、早く行きてえなー!
今晩寝られねえよ、まるで遠足の前の日だ!」
と、
「観客」が思うことが、
焦点に引きつけられているということである。

多くはその登場人物の気持ちと観客は一致しているが、
たとえその登場人物が冷めてたり嫌々であったとしても、
観客だけはワクワクしていることが、
「焦点に引きつけられている」
ということである。

つまり、
「常にストーリーの向かう方向に対して、
身を乗り出している」
状態を、上映時間中何%キープしているか?
が、
上手いシナリオという基準になる、ということだ。


100はなかなか難しい。
でも50は超えたい。
70〜80あたりが理想?

詰まらないシーンの代表である、
説明シーンなどで冷めるだろうか?
いや、
「ようし!説明されるぞ!
把握しなきゃ!ああーそういうことかー!」
と観客がなっていれば、
「説明という焦点に引きつけられている」
わけだからそれもカウントできるわけ。


作者は運転席で運転する。
観客は助手席に座っている。

その助手席で、
ずっと「うわー!」って観客が言ってて、
ずっと「次は?次どうなるの?どこ行くの?
そっち?うわーそっちか!」
ってなってるか?
ということだ。

観客が子供ならばそうかも知れない。
でも子供は15分で飽きて寝ちゃう。
映画シナリオは、二時間のドライブだ。
二時間の間、
助手席に乗った大人を、
いかに夢中にさせて、
「今これをやらなきゃ」に夢中にさせ続けられるか?
が上手な運転ということである。


ジェットコースター的な緩急もあれば、
七色の感情もあろう。
泣かせたり笑わせたり怒らせたり驚かせたりしながら、
一体これはどうなってしまうのか?
に夢中にさせ続けること。

もちろん一つだけだと二時間持たないから、
焦点をうまくすり替え(小ターニングポイント)、
複数の焦点を走らせ(サブプロット)、
それらが合流したり分岐したりするべきだろう。

それでいて、
メインの焦点(メインプロット、センタークエスチョン)に、
一番関心と興味がある状態に保つこと。


これらが上手くいけば、
「途切れない」シナリオになり、
夢中な話になるのだ。

たぶん、100埋めると観客は疲れちゃうよね。
だから休むところも計算して、
うまく緩急をつくらないといけない。

そんなことできるの?
できてるのを名作と言うんだね。


もちろん、焦点だけがシナリオの粋ではない。
最初にあげたものもある。
テーマと時代の噛み合いもあろう。

だけど、
どんなに魅力のあるそれらだとしても、
焦点の誘導と引きつけがなければ、
夢中になるシナリオにはならないんだよね。
posted by おおおかとしひこ at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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