2024年02月10日

煮込むと体積が減る

そうならないとおかしい、という話。


リライトをしていく上で、
どんどん足していくことはしたくなるものだ。
説明が足りていない、ということに気づいたりして、
どんどん描写を足していくことはありがちだ。

だけど、
そのために、第一稿で持っていたテンポ感や、
シンプルだった分りやすさが減っていくことはよくあることだ。
しかし、それで足りないから足していったわけでもある。

煮込み料理を考える。
煮込んでいるうちに、
体積が減って来るものである。
それぞれの材料がなじみ、
うまく混ざることで体積が減る。
(具体的には水分が中にしみこみ、
余計な水分が蒸発する)

こうなるのが理想だ。
つまり、ただ単に分量が増えるリライトは、
まだ材料がなじんでいなくて、
鍋にぶち込んだだけになっているわけ。

そうじゃなくて、
そこからさらに煮込む、
つまり、
要らない所をカットしたり、
重複しているところを省略したり、
順番を変えることで省略できることに気づいたり、
省略するほうがむしろ豊かになることに気づいて減らすと、
どんどん分量は減っていく。

なので、
理想のリライトとは、
第一稿に足りないものを足していく段階があり、
それが減っていく段階がある、
これ以上増やしてもしょうがない、
これ以上減らしてもしょうがない、
どちらにせよ冗長である、
と判断できたときが、煮込みの完成、
ということだね。

煮込み過ぎたらまずくなる。
煮込みが足りなくてもまずい。
そのいい塩梅を見極めるには、
何度か失敗しないと難しいだろう。

リライトのバージョンを全部違うファイルに取っておくことをお勧めする。
どこかのバージョンで、あれがあったほうが良かったとか、
あれがない方が良かったとか、
色々俯瞰して気づくこともあるからね。

あるバージョンで考えていたことは、
あとになって忘れていることが多いので、
見返すためにも、全バージョンは、
俯瞰できるように取っておくとよい。

「今完成」と見極めることは難しいが、
慣れてくると、だいたいここらへんかな、
は分るようになってくる。
それは、素材がもたらす限界が、
なんとなくわかって来るからだね。

「これだけの材料を鍋にいれて、
こういう調理をすれば、
マックスここまでは行く」を、
料理人なら見極められるだろう。
そういうことだと思う。
posted by おおおかとしひこ at 06:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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